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キャリア理論にシステム理論を導入したマリー・マクマホンについて考える

 マリー・マクマホンはオーストラリアの女性研究者・実践家で、ウェンディ・パットンとともにキャリア理論にシステム理論を持ち込んだ人です。現役の研究者・実践家で、APCDAの大会によく出ていますので、大会に行けば会って話ができる研究者の1人です。クイーンズランド大学にご所属のようです。
 マクマホンらは、System Theory Framework(STF)として
①学校を卒業する頃を振り返る。どこに住んだか、どんな人物か、どんな生活か。その頃、人生に大きな影響を与えたことを思い描く、
②紙と鉛筆を用意する。紙の真ん中に丸を書きその中に「私」と書き、今振り返った自分の特徴、例えば性格、特筆すべき能力やスキルを書く、
③その頃の自分の人生に大きな影響を与えた人や考えはどのようなものか、思い描いたものを「私」の丸と交わる丸を書き、その中に書き入れる、
④それまでに書いた丸を囲む、もっと大きな丸を書く。所属していた社会やその社会や環境における重要な側面はどのようなものかを振り返る。その頃田舎に住んでいたか、社会的、経済的に恵まれていたか、政府の規制から影響を受けていた等を、丸の中に書き込む、
⑤更に外側に別の丸を書く。その頃の過去や現在を考える。特定のライフスタイルに魅かれていたり、目標とする人がいたり、その後の選択に影響を与えるような怪我や病気といった出来事があったか等を考え、丸の中に記入する、
というようなワークをさせます。

 

私の例です(多少加工しています)(汗)

 これまでの環境や周囲の人間関係からの影響を「見える化」し、そのしがらみや影響をこれからも続けるのか抜け出すのかを考えるきっかけとなるような気がしています。「もう子どもじゃないのだから、その習慣は変えてもいいのでは」とか「もう野球部ではないのだから、そのルールは変えてもいいのでは」みたいな感じでしょうか。
 日本でマクマホンの書籍が完訳されたものはありませんが、新目真紀(2015)「社会構成主義アプローチの実際」(渡部昌平編「社会構成主義キャリア・カウンセリングの理論と実践」第2章)で詳しく紹介されています。日本でももっと知られてもいい理論家の1人だと思っています。

※追記 マリー・マクマホン、2021年に金子書房から出た「現場で使えるキャリア理論とモデル」の編者の1人になっています(書籍ではメアリー・マクマホン表記)。第14章を執筆。10ページと短いですが、新目(2015)と並んで参考になると思います。
 


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