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キャリアカウンセリングのナラティブアプローチのTips

 ナラティブアプローチというと、傾聴を重視する先輩方から「前からやってたよ」と怒られるのですが、クライエントに語らせるテクニックというのは傾聴するに限らず。むしろ傾聴は(エンカウンターグループで言われるとおり)クライエントにとっては時に恐怖です。クライエントであろうがなかろうが、自分の嫌なこと・しゃべりたくないことを相手に知られることは恐怖でしかありません。
・ しゃべりたいことをしゃべってもらう:「好きなこと」「楽しかったこと」あるいは「頑張ったこと」はしゃべりやすいから、そういうことを質問する。しゃべりたくないことは触れない。(※CDAだと「もやもやすること」をしゃべってもらうことが多いと思いますが、社会人にそういうのはアリだと思います。私は就活前の大学生が相手なので「好きなこと」「楽しかったこと」をよくテーマにします。)
・ 「自由にしゃべってください」よりも一定のしゃべりやすいテーマを設定したほうがしゃべりやすい。「昔の楽しかった思い出をしゃべってください」みたいのがいい。
・ カウンセラーの自己開示が、クライエントの自己開示につながることも多い。
・ 上から目線で「しゃべれ」というよりも、下から目線で「教えてくれ」と言ったほうが相手はしゃべりやすい。
・ 「昔のことを感情を含めて語ってもらうことで、人生観が言語化しやすいみたいですよ」とか、こちらの期待を具体的に伝えたほうがクライエントも協力しやすい。
なんていうテクニックもあります。
 とにかくカウンセラーがへらへら笑いながら「お前は自由にしゃべればいいんだ、俺が救ってやるから」なんていうのは、不信を生むだけではないかと思っています。ノウハウをクライエントに伝えずにカウンセラーだけが「知っている」状態というのは、カウンセラーにとっては優位に立てて楽しいかもしれないけど、そこには信頼感だったり対等な気持ちはないような気がするわけです。カウンセラーはもちろん専門家であるべきですが、そこにあぐらをかいていてはいけないと思うわけです。もしクライエントが自由に語れないとすれば、自由に語れない原因はたぶんカウンセラーの側にあると考えたほうがいいような気がしています。日本のカウンセラーの大半が(指導教官の強制以外で)教育分析やスーパービジョンを受けていないのは、その辺りに原因があるのではないかと思っています。

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