【Vol.3】ナガセケムテックスと私の”化学反応”
こんにちは。ナガセケムテックスです。
ナガセケムテックスには、さまざまなバックグラウンドをもった個性豊かな社員がたくさん在籍しています。
ナガセケムテックスと出会ったことで、社員にどのような”化学反応”が生まれたのか―。
「ナガセケムテックスと私の”化学反応”」では、ナガセケムテックスで働く社員一人ひとりにスポットライトを当てて、深掘りしていきます。
第3回目は、機能樹脂事業部 半導体PJ部 MC材料課の杉浦 祐基さんにお話を伺いました。
※記事中の組織名・役職等はすべて取材時のものです。
プロフィール
モノづくりを志した学生時代
学生時代はどのようなことを学んでいたのでしょうか?
金沢大学薬学部で4年間、大学院で2年間有機化学の勉強をしていました。
薬学部なので、薬剤師になる選択肢はもちろん、薬理学、薬物動態学といった分野を専攻する選択肢もあったのですが、あまりそういった分野に興味は持てませんでした。
自分でつくったものを世の中に出すというところに興味を持ち、有機化学を専攻しました。
自分の将来について考え、具体的なイメージを持てるようになったのは研究室に入ってからでしたね。
研究室は、平日は9時から23時、土曜日は9時から18時がコアタイムとかなりハードでしたが、将来をイメージできたからこそ頑張れたと思います。
なぜナガセケムテックスへの就職を選んだのですか?
就職活動は、製薬業界や化学業界を中心に考えていました。田舎育ちだったので都会は苦手で、勤務地は中部地方よりも西側、特に関西で働きたいという気持ちもありました。
そのような中、大学教授からの推薦もあって、ナガセケムテックスにエントリーしました。
面接を何度か重ねるうちに、フィーリングが合いそうと思ったことと、会社に求められているなと感じることができたのが、ナガセケムテックスへの入社を決めた一番の理由です。
最終面接後に姫路駅で新幹線を待っているときに、当時の社長とばったり会って、ポジティブな言葉をかけていただいたのもいい思い出です。
ナガセケムテックスに入社後、どのような業務に携わったのですか?
2012年に研究開発本部に配属されてから7年間、おもに無機ナノ粒子の分散液を開発していました。
金属酸化物のナノ粒子を均質に分散させた液を樹脂と合成することで、機能性と透明性をあわせもった製品になるんです。
また、ナガセケムテックスと親和性の高い技術をもつフィンランドのInkron Oy 社と材料開発を行い、フィンランドにも4回ほど出張するなど貴重な経験もさせてもらいました。
学生時代に学んだことは業務に活かせましたか?
開発テーマは無機化学なので、学生時代に専攻していた有機化学とは使用する機器や知識は全く異なります。ただ、実験の組み方であったり、開発のゴールまでのプロセスを考えたりすることは有機・無機に関わらず同じ考え方なので、それほどハードルには感じなかったですね。
ナノ粒子開発から半導体材料開発へ
2019年に機能樹脂事業部 ME材料課へ。当時の心境はいかがでしたか?
実は、異動先の部署は「異動できるならここがいいな」と思っていた部署だったので、希望していた部署への異動はとてもうれしかったです。一方で、入社以来続けていた開発テーマはInkron Oy社との協業がうまくいき始めていた時期だったので、もう少しやりたかったという思いもあり、複雑な心境でした。
ME材料課のどのようなところに魅力を感じていたのでしょうか?
入社後2~3年が経った頃から、バリューチェーンのより川下側におりて、エンドユーザーに近いところで開発したいという思いがありました。
機能化学品事業部での開発は川上側で、他のメーカーに原料を供給する立場なのでエンドユーザーが本当に求めていることがわかりにくい。
でも、原料の詳細な情報を知ったうえで、最終製品を作ることができれば、エンドユーザーの求めるものに近いものが作れるのではないか、そしてそれが競合他社と差別化できる強みではないかと考えるようになりました。
機能樹脂事業部にマイクロエレクトロニクス業界向けの材料開発を行う部署があると聞き、電子デバイス向けの材料開発に興味があったので、異動するならエンドユーザーに近いこの部署が良いなと漠然と考えていました。
半導体材料開発の特徴にはどのようなものがありますか?
半導体業界の特徴かもしれないですが、とにかく略語が多い。打ち合わせなどでも聞きなれない言葉が飛び交っていて、理解するまで苦労しましたね。
業界の情報量も多く、それらをキャッチアップして、精査することにも時間がかかりました。
仕事がそれっぽくできるようになるまで半年ぐらいかかったんじゃないかと思います。
前の部署と大きく違うところは、既に売れている製品のケアもしながら新規開発もしないといけないという点。これまでは何となく自分でつくったものを世に出したいなと思っていましたが、実際に製品を作って顧客のもとへ届けるためには、生産技術、生産管理、品質保証、製造など数多くの部署が関わらないといけないということ、そして市場の激しい変化に対応するために各部署とうまく連携をとりながら対応していくことの難しさを実感しました。
現在はどのような業務をされているのですか?
AIやビッグデータ処理に使われるHigh Performance Computing(HPC)向けの半導体封止材をおもに開発しています。「アドバンスドパッケージ」と呼ばれる半導体は構造が複雑で、封止材に求められる性能は年々高くなっています。
顧客からの要求をいかに満たすかということはもちろん、市場で当社の製品を選んでもらえるようなしかけづくりもあわせて検討しています。
今年5月には、多くの人の協力を得て、自分も開発に携わった製品を販売することができました。
ナガセケムテックスで働き始めて13年目。正直もっと早く自分でつくったものを世に出せると思っていましたが、ようやくです。
2024年4月から管理職チャレンジ制度で課長に。心境の変化はありましたか?
身の引き締まる思いですが、「課長になったからこうしよう」、という気負いみたいなものは全くないですね。自分がこうだと思った開発の方向性をメンバーと共有しながら取り組むというのは、課員であってもチームリーダーであっても課長であっても同じだと思っています。
技術者としての矜持
仕事をするうえで大切にしていることはありますか?
ひとつは、「技術で他社を圧倒したい」という気持ちです。技術者として、入社以来今も変わらず持ち続けていますね。
もうひとつは、外に出るということ。他の人と比べても外に出ていく回数が多いのが自分の特徴だと思います。
もともとお客様と話すのは好きですし、入社1年目から当時の上司に外へ連れて行ってもらって、お客様と話をしたり、プレゼンするチャンスをたくさん与えてもらったりしたことがきっかけで、社内だけでなく、お客様のところにも積極的に足を運び情報を取りに行くようになりました。
今後どのようなことにチャレンジしたいですか?
製品開発部門のプレイングマネジャーをしながら製品を世に出していきたいという5年ほど前に持っていたキャリアデザインは実現することができました。今は明確なキャリアデザインを持っていないのですが、自分のキャリアより、重要な局面を迎えている半導体材料関連の事業を安定的に成長させるための体制を盤石なものにしたいという思いが強いです。
半導体事業の成長を見届けることができたら、また初心にかえって何か新しいものを世に出す仕事をしてみたいですね。
学生時代から現在に至るまで、技術者として「自分でつくったものを世に出したい」というモノづくりに対する熱い気持ちが杉浦さんの根底には流れていることがひしひしと伝わってきました。
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