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GFX50SⅡを買って1年が経った

タイトル通り、GFX50SⅡを買って1年が経った。
GFXとは富士フィルムが販売する中判デジタルカメラシリーズの名称で、一般的なミラーレスカメラや一眼レフカメラがフィルムカメラにおける35mmと呼ばれる画角のフォーマットとするならば、中判カメラは120mmなので少し大きいサイズとなる。
”サイズが大きい”ということはそこに写る情報量が35mmに比べて多く緻密なので、単に撮影しても画質が良いし、大きなサイズでプリントしても画質が良いまま写るのだ。

中判フィルムカメラにおいては、通称「バケペン」でお馴染みのPENTAX 6×7や、Mamiya RZ67、ハッセルブラッドが有名どころとして挙げられる。
普段、ロックバンドなどのライブ撮影をする時は常にCanonの一眼レフを使っているのだが、写真作品を作る時は決まってフィルムカメラを用いている。よくある声としてはもっともなのだけど、フィルムの質感が自分にとってはしっくりくるのが一番の理由である。

GFXを手にする前のこと

影響を受けた写真家は何人もいて、そもそも写真を始めるきっかけとなったのはポカリスウェットの広告写真や米津玄師さんのアーティスト写真などで有名な奥山由之さんなのだが、GFXを手にするきっかけとなったのは濱田英明さん、決め手となったのは三田村亮さんの写真だった。


お二方ともそれぞれの写真の美しさから長年ファンであり、濱田さんは広告写真やミュージックビデオ、三田村さんは海外アーティストが来日公演を行った際のライブ写真の質感にずっと惹かれ続けている。特に濱田さんは過去にご自身が撮影に使用する機材の内訳写真を一部Twitter(現:X)にアップしていて、GFXの存在を知ったのもそれがきっかけだった。しかも、マウントアダプターを使えばGFXでもオールドレンズが使えるらしく、アップされたその写真の押し付けがましくない、美しくやわらかな表現に思わず見惚れた。どこで見かけたかは忘れてしまったが、どうも三田村さんもGFXを使っているらしい。

その頃、デジタルで撮るライブ写真は好きだけれども、作品撮りには向いていないと自分の中で悩んでいた時期でもあったので、目の前に提示された新たな解はまさに天啓にも見えた。ライブ撮影で使うカメラにフィルムカメラのレンズを付ければ良いじゃん、という話でもあるかもしれないが、その手段はすでに何度も試してみたものの、やはりどこかしっくり来ずにいた。デジタルでは写真表現がくっきりと「バキバキ」していて、格好良いライブを撮るには十分すぎるのだけど、自分の作品撮りとのベクトルが正反対で、そのギャップをどう解消すれば良いのか悪戦苦闘していた。だからといって明らかにどう見てもフィルムライクに振り切って編集された写真は好きじゃないという、なんともめんどくさいこだわり付き。じゃあどうしたらと悩んでいたところに見えた天啓はひときわ輝いていた。

さらに同時期に写真撮影のワークショップに参加した際、上記の悩みを先生役の写真家さんに相談したところ、返ってきた答えのひとつがやはりGFX×オールドレンズだったこと、従姉妹の結婚式が決まってそこで撮影すること、その時期が富士フィルムのGFX購入キャッシュバックキャンペーンと重なったことなど、様々な要件が重なり、もうこれは買うなら今だと思い切って購入ボタンを押したのだった。
ちなみにその決断は決して間違いではなかったようで、GFXのレンズキットを買った数ヶ月後に同セットのディスコン(生産完了)が発表された。もし、少しでもタイミングが違っていたらと、スマホの画面を見ながら冷や汗をかいた。

初めてGFXを手にしてみて

新しいカメラを手にいれるたび、いつも鏡越しに撮っている
レンズキットに付いてきた純正レンズで撮影 GF35-70mm F4.5-5.6WR

先述の通り、従姉妹の結婚式開催に合わせてGFX50SⅡのレンズキットセットを購入。結婚式はスチールの他にメインとして簡単なムービー撮影を頼まれたので、別途ムービー用マイクを付けて撮影に臨んだ。ムービー撮影は完全に素人だったのでほぼ100%GFXの力に頼って撮影したのだが、その画質の美しさに度々圧倒されたのは言うまでもなく。しかし動画の画質が良いと言うことはそれだけデータサイズも大きいということで、約30分×2本の動画撮影の編集&書き出しに私のMacBook Airのスペックが耐えられず、永遠にフリーズした画面の前で頭を抱えたのだった(これを機に加えてMacも買い替えました、めっちゃ痛い)。

また、スチール撮影用にいつもライブ撮影にて一眼レフで使っている70-200mmの望遠レンズを専用のマウントアダプターに着けて撮影したところ、写真の四隅が暗くなってしまうケラレが発生してしまい、結局慣れない機材と環境の撮影で望遠を使うことは諦めてしまった。のちに調べてみるとGFX100には「35mmフォーマットモード」が存在し、中判ボディ×一眼レンズでもケラレが発生しないことや、そもそもケラレが発生しないレンズがあるらしいのだが、どれもその当時即座に対応できるものではなかったので今後の参考に覚えておくことにする。ケラレ以外の部分をトリミングする手段もあったな、と今更振り返って仕方ないとはいえ少し後悔した。

元々写真を始めるにあたって最初に手にしたカメラが富士フィルムのX-A1だったので、特にフジの醍醐味である「フィルムシュミレーション」機能を使えるのは大きなポイントで、使い勝手はさることながら、撮った写真を見た時にある意味原点回帰のような感覚にもなった。とはいえ、後々手持ちのオールドレンズをメインに使う人間がレンズキットを買って無駄ではなかったのか?GFXのボディのみで良かったんじゃないか?という声もよくわかる。あくまで一個人の意見でしかないが、確かに今、純正レンズは主に使っておらず防湿庫の中に入ったままになっているけども、GFXがしっかりと手に馴染むまでは純正レンズを使っていて正解だったなとも思っている。

GFX × オールドレンズ〜撮り始め

フィルムでの作品撮りにおいては、中判で撮影する時にはいつもバケペンとPENTAX 645を使っている。そのため、マウントアダプターさえあればいつでもGFXとオールドレンズの組み合わせで撮ることができるのだが、同時に注文したマウントアダプターだけが到着が少し遅れて、実際に手に入れたのは結婚式が終わってからだった。さらに、67(バケペン)と645では口径も異なるので、マウントアダプターもそれぞれの分必要となる。先に手に入れられたこと、バケペンに比べてレンズが軽いことから今もメインでは645のレンズを着けて撮影している。

着けるレンズごとによってGFX側での焦点距離の設定が必要となるものの、一度設定してしまえば撮影方法はいつものマニュアルモードやフィルムカメラの撮影とほぼ同じ感覚である。
撮る回数を重ねて手に馴染んできた頃、徐々にGFXとオールドレンズそれぞれの特徴が滲み出るようになってきて、純粋に撮るのが楽しくなってきた。フィルムで撮るのも楽しいけれど、フィルムそのものの値段も現像代も安くはないので気軽に撮るには勇気がいるのが正直なところ。フィルムの代わりにはならないが、GFXもGFXならではの楽しさがあり、フィルムカメラで撮影する際の感覚が衰えずに済むとも感じている。それは特にピント合わせがシビアであることから、そこに関しては失敗が効かないフィルムでの撮影に向けて、GFXで撮ることで同時に鍛えられる感覚や技能があるのではないかとも思う。

GFX 50SⅡ × PENTAX smc PENTAX 67 90mm F2.8

GFX × オールドレンズ〜現在

GFXとオールドレンズの組み合わせは、自分の作品撮り以外の場面でも活躍するようになった。もちろんレンズの種類と場面の組み合わせなど、試行錯誤する日々ではあるが、もう少し使い方を熟知すればライブ撮影でも活用できるのではないかと微かな手応えを感じている最中。この組み合わせで初めて本格的に撮影した『京都音楽博覧会2023』では予備バッテリーを2〜3個準備していたが、TYPE-CのUSBケーブルを使えばモバイルバッテリーからの充電も可能なのはかなり助かった。また、JPEG形式での撮影であれば、GFX専用アプリやケーブルを使い写真をすぐにスマホやパソコンに転送し、Lightroomなどで編集することもできる。クイックレポート的にできるだけ早く写真が必要な場面においてはこの方法を用いた。

【ウェブメディア・ANTENNA 【REPORT】完熟たい肥が育み芽吹いた「資源が“くるり”プロジェクト」と地域との現在地】

【ウェブメディア・ANTENNA 【REPORT】完熟たい肥が育み芽吹いた「資源が“くるり”プロジェクト」と地域との現在地】より


【おまけ】音博にて純情息子(くるりファンの愛称)の皆さんによる記念写真撮影→スマホに転送→Lightroomにてプリセットを当てる&書き出し→AirDropにて一斉送信のスピード感


【TOHOKU COTTON FESTIVAL 2023】

東北コットンプロジェクト 公式インスタグラムより

最後に

どうしてこのnoteを書いているかというと、ただなんとなく撮っているだけじゃあもったいないなと思って、これからも撮り続けるのなら下手くそでも今のうちにちゃんと思考を整理して書き出してみようと思ったから。なので、立ち位置的には本格的なハウツーよりも、一個人によるイロハの「イ」の所感くらいに思っていただければ、そして少しでも参考になれば嬉しい。このnoteを読んでいただいてわかるように、自分の作品撮りにおいては人物撮影の機会や作例が圧倒的に少ないのが事実。せっかく自分にとっての解を見つけ出しつつある中、ひとつだけではないそれをこれからもっと発見していけたら。

https://www.instagram.com/tm_amks/

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