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【史】スケールの大きい鳥瞰図の名人の話/地図も読み物だから(22)

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この記事は、Podcast「にゃおのリテラシーを考えるラジオ」の2023年3月25日配信の書き起こしです。

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にゃおのリテラシーを考えるラジオ

読書と編集の千葉直樹です。

このチャンネルでは、読書と IT 時代の読み書き、そろばんを中心に様々な話をしています。

今回のタイトルは、

【史】スケールの大きい鳥瞰図の名人の話/地図も読み物だから(22)

です。

土曜日は地図を読む話をしています。

絵地図の世界

以前、札幌の明治時代の地図を読んでいましたが、その時読んでいた札幌歴史地図には昭和編があって、これもたまに開いて楽しく読んでいます。

今日もペラペラとめくって眺めていたのですが、その中に昭和6年の札幌市鳥瞰図と、同じ年の定山渓電鉄沿線名所絵図というものがありまして、これも以前読んでみた市民グラフヨコハマ地図で見る横浜に載っていた湘南電鉄沿線名所絵図というのを思い出しました。

いろいろ出てきて、ちょっと複雑になってしまいましたが、これらの地図の特徴はすごいスケールでデフォルメされた絵地図だということなのです。

札幌市鳥瞰図

どれくらいすごいかというと、こんな感じ。

石狩湾から札幌を眺めた札幌市鳥瞰図では、中央に大きく札幌の町を描いているのは当然として、左端の方には遠く旭川や大雪山が描かれているのです。

で、そのすぐ右のあたりには定山渓温泉が描かれ、その右に藻岩山があり、そのさらに右に円山があり、その右には札幌神社、今の北海道神宮が描かれ、手稲山があって、右下の辺りに小樽があり、その上の方には羊蹄山があり、その向こうに遠く長万部や函館があり、さらに青森があり、そこから左右に分かれて左には東京、富士山から神戸まで書き込まれ、青森から右の方向はなんと下関から朝鮮半島の釜山まで書き込まれているのです。

話だけでは、どうやって収めているんだろうとか、妙なバランスの地図だと思うかもしれませんが、パースの描き方が見事で、実にバランスよくまとまっているのです。

定山渓電鉄沿線名所絵図

定山渓電鉄沿線名所絵図も、もちろん定山渓電鉄が西から見た感じで真ん中にどーんと描かれているわけですが、右上には蝦夷富士ー羊蹄山ですねーが描かれていて、定山渓の東にある山の向こうには樽前山があり、支笏湖が描かれ、定山渓電鉄の起点がある札幌は左の方に控えめに描かれてるのですが、その左の方には小樽、長万部、室蘭、長万部から右の方に函館、青森、そこから左に東京と富士山、右の方に新潟、鶴賀、下関、釜山、金剛山が描かれています。

さらには札幌から右方向に進むと旭川があり、大雪山があり、そこから左方向に稚内、樺太大泊、浦塩(ウラジオストク)があって、朝鮮半島の金剛山に繋がっています。そう、左上に日本海全域が湖のように描かれているのです、大胆でしょう?

湘南電鉄名所絵図

ヨコハマの方の湘南電鉄名所絵図も同様で、今の京急の全路線を中心に大きく描き、右上の遥か先には函館があり、真ん中のちょっと右に富士山があり、 富士山の左の遠くの方に静岡、名古屋、京都、大阪、九州は門司まで書き込まれているというものなのですね。

このように、自由自在に土地を伸縮するダイナミックな地図を作っていたのは、吉田初三郎という名人でした。

何度見ても楽しく惚れ惚れしてしまう絵地図です。

とにかく楽しいので、ぜひ国際日本文化研究センター吉田初三郎式鳥瞰図データベースを見てください。概要欄にリンクを張っておきます。

今日、紹介した一図を見ることができますよ。楽しんでくださいね。

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おわりに

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今日もワクワクする日でありますように。

千葉直樹でした。

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