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旅のあとに思うこと

先日、夫婦旅行に行ってきた。
我々は新婚旅行の行き先を考える矢先に妊娠が発覚したため、ハネムーンに行っていない。そのため今回の旅行は、少しだけ贅沢な国内旅行と称して、出産前の夫婦の思い出作りというコンセプトのもとに計画されたものだった。

妊娠中の旅行は本来あまり推奨されていないようだが、『マタ旅』などという言葉もあるように、安定期に入った段階で旅行を楽しむ人も少なくはない。
無理をしない程度に出かけてみるのも一興だ。

旅行の道中、夫はこまめに休憩をとってくれたり、重い荷物を運んでくれたりと、やさしさが沁み渡る対応。基本的にいつもやさしいが、この旅は特に終始あたたかい気持ちで楽しめた。感謝。
奮発した宿もとても居心地がよく、滞在中半分くらいの時間をホテルで過ごしてしまったほど。
出産や育児で大変なときもこの思い出を糧にがんばろうと思える、とても良い時間となった。

さて、帰宅した翌日。
すてきな思い出の余韻に浸りつつ日常に戻るわけだが。

夫の仕事はこの時期いわゆる繁忙期にあり、忙しいスケジュールの合間を縫って旅行の時間を捻出してくれた。
そのため帰宅した翌日から出張。さらにその出張から一旦戻った翌日にまた別の土地へ出張する予定になっている。こんな調子で3月いっぱいは出張が続くらしい。

一方で私はといえば、自宅で刺繡以外に特に予定がない。申し訳ないような、少しいたたまれない気持ちだ。
旅行が楽しすぎた分、揺り返しが大きい。これが旅ロスというやつか。

私は1人の時間に、これから訪れる変化について思いを巡らせた。あと110日前後で、お腹の子供は外へ出てくる。

子供は親を選べない。
親も子供を選べない。
だから多分、そのランダムな出会いの中で、親子の性格が合わなかったり相性があまり良くないことは当然あると思う。たとえば私は3人きょうだいだが、親との距離感や接する温度は3人それぞれ違う。

その点配偶者は、唯一自分が選択できる家族だ。当事者同士の意思とタイミングで決断することができる。これは、大人になった醍醐味だなあと思う。
いまのところ私は、自分の選択について胸を張って「間違いない」と言える自信がある。この人が夫になってくれたおかげで、私の人生の楽しさや愉快さ、しあわせさは、ぐっと引き上げられたと思っている。だから、同じように夫にも私といることで楽しい気持ちで生活してもらえるように心がけたいし、自分たちが築いたこの関係をずっと大切にしていきたい。

対して、いまこのお腹の中にいる子。
これはたしかに私たちがその誕生を望んだ結果出現した人間なのだけれど、どんな性格・容姿・特徴をもっているのかは現段階では殆ど分からない。
遺伝子的に私たち2人に似通った部分がある可能性は高いが、あくまで初対面の人間だ。私は初対面の人と打ち解けるまでに結構時間がかかるタイプなので、うまく親交を深められるかどうかかなり心配だ。そのうえ相手は赤ちゃんだから、最初は言葉が通じない。何を求めているのか、分かってあげられるのだろうか。なるべく「おれ、うまれてきてハッピー!」と思ってもらえるようにあたたかく迎える努力をしたいけれど、どうすればいいのか分からなくてそんな自分に対してイライラしてしまうこともあるかもしれない。

世の中の文献などによると『産後クライシス』といって、夫婦仲が険悪になることが多くあるらしい。女性は、産後ホルモンバランスの崩れや不眠によるイライラで夫に当たり散らすなどして、人が変わったようになってしまうというのだ。
産後の修羅場を潜り抜けてきた経産婦やそのパートナーの手記を読むと、それは壮絶なものばかりだ。

妊娠中のいま、こんなに夫を慕って凪のように健やかに暮らしているのに、産後はこの平穏な日々が一変してしまうのか。それもホルモンという、目に見えないよく分からない代物なんかのせいで。
せっかく新メンバーの家族を迎えることができるのに、それによって心身のバランスが崩れてしまうというジレンマ。

いま、やがて来るであろう出産の地獄の痛みよりも、その後自分が制御不能な不機嫌の塊に変わってしまうかもしれないことがただただ恐ろしい。

#日記 #妊娠生活 #妊婦 #マタ旅 #夫婦旅行 #妊娠出産 #産後クライシス

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