査定会議のリアル

もうそろそろ冬のボーナスが支給される頃でしょうか?
人事評価制度の構築、運用をコンサルティングさせて頂いている「ナカノヒト」的には、ピークを越えてあとは2021年に向けて色々、仕込みをしているような時期です。

さて今回のテーマは人事評価の査定会議です。もう時期的には終わったと思いますが、賞与などの査定会議、どのように進めていますか?

感覚的な鉛筆なめてます?

データに基づく調整ですか?

それとももっと独自のやり方で冬のボーナス決めていますか?

コンサルティング現場での、査定会議のリアルを少し実況中継的にお伝えします

ちなみに、「鉛筆なめなめ」って、もう表現古いですよね?

IPPONグランプリみたいに「令和版、評価の時の鉛筆なめなめを考えて下さい」っていうお題で、誰か大喜利やってないですかね?

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1.査定会議は一人ひとりやってたらキリがない

中小企業での査定会議と言えば、全社員の下記のようなリストをニラメっこしながら、あぁでもない、こうでもない、誰が高い / 低いとか延々と半日から1日くらいかけてやっているイメージがないでしょうか?
 ・所属部署
 ・役職 / 等級
 ・勤続年数
 ・年齢
 ・評価点
 ・賞与額の案
 ・前年賞与と増減

これはいつまで経っても終わらないですし、やればやるほどドツボで、結論は翌日持ち越し・・・。大事なのは総務・人事の方の事前準備となります。


2.事前準備と仮説が大事

それでは一体、何を準備するのか?4つの準備が必要です。

① 比較する対象を、等級や役職別、職種ごとに分布を作成します
② 異常値を発見しておく
③ 異常値がでた原因仮説を立てておく
④ 評価者に説明可能な調整方法をあらかじめ決めておく(解決仮設

一つ目の分布についでですが下図のように、階層別、社員数が多い階層は職種別に、どのような点数に何%分布しているのかを明確にします。

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3.異常値を洗い出す

次はどこが異常値かを洗い出す訳ですが、図のように良い評価や悪い評価に極端に分布が集中していないかをチェックします。

ここから個別に人事評価シートを見ていきながら、例えば下記のような原因仮説をたてます。
 ・ 製造職は上位に固まっているが、評価者の寛大化傾向なのか?
 ・ 部門や個人の目標設定が緩かったのか?
 ・ 評価基準が緩かったのか?などを確認します。
 ・ 営業部門は低いが、目標は標準的か?チャレンジングだったのか?
 ・ 指導職は成果評価の評価ウエイトが高かったのか?

本来は目標設定の段階で、もっと詰めておく必要があったことが、評価時に出てくることの方が多いです。

特にチャレンジ度合いが大きい目標は、取り組んでみないと分からないことが多いですので、以前に取り組んだ施策などは、プロセスと結果を記録しておいて、次にチャレンジする際の目安とするのも一つです。

ここまでが査定会議前の重要な準備です。

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4.「感覚で調整してはダメ」、「ルールの中で調整する」

査定会議では事前準備をした資料の説明や、分布、そこから考えられる原因を、アジェンダとして先に説明します。

よって査定会議はいきなり風呂敷を広げて、社員の点数一覧表をみてはダメです!全体像を明らかにすることが、査定会議を長引かせないコツです。

そして調整の範囲も明確にします。

① 目標(部門・個人に関わらず)が当初からチャレンジングだったものは、標準的な目標であった場合や、前年との伸びと比較して、チャレンジに該当する評価項目だけ、点数を調整する。
② 評価者の寛大化傾向は、該当する評価項目を、2次評価者や役員調整をする。よってフィードバックの際は、1次評価者は2次評価者とすり合わせする。
③ ルーティン目標は点数の上限をX点までとする。
④ 上記でも全体的に高い層があった場合、その層の中で相対調整する。

など、相対調整は本当に最終手段として、上記の①~③ような順番で調整することを確認して、ヒト基準で「あいつは頑張っている」とか曖昧な議論にならないようにすることが重要です。

そして①~③の中で明らかになった、次の人事評価に向けての課題と解決策は、人事評価のマニュアルを改訂して、社員に後日、新ルールとしてオープンにするという人事評価のPDCAに繋げ、ブラッシュアップします。マイナーチェンジをしながら、「より納得性のある制度」にすることが肝要です。

「~部門はスキルアップより、次は生産性向上にフォーカスしよう」
「~という成果目標では、個人の力量でコントロールできない要素が多いから、~というプロセス目標で量を評価しよう」
「できて当たり前の目標は、5段階を上限ではなく、3段階を上限としよう」
「部門長同士の部門目標を、もっと他部署に介入したり、自部門に関連する目標がある場合、どうしたらお互いに解決できるか議論する場にしよう」

など次への前向きな議論に導くことも重要です。


5.2~3時間が限界

時に上記のようなヒト基準の曖昧な調整に関する用語が出てきたら、ファシリテートしながら、「具体的にどの評価項目に該当します?」と促しながら、ハロー考課(良い/悪いイメージ・印象が、その個人全体の評価に波及する)にならないようにします。

正直いうと、ずっと評価の点数や、支給月数を見ていると思考回路が披露してきて「もう、良くないですか?」となりがちですし、長時間に及ぶと更に曖昧用語が飛び交うことになります。だからこそ2~4で述べた準備が重要です。

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会社によっては、査定会議の際に、金額を非公開にして、あくまで社員の評価点だけを査定したり、また勤続年数や年齢も非公開にして、ヒト基準の議論や曖昧な相対評価にならないようにするケースもあります。

査定会議に参加する方々が、どこにフォーカスしたら効率的かつバイアスが掛かりにくい議論に繋がるか?を考えて資料を工夫するのも一つです。

つぎの給与改定の時期(おそらく2021年の3月~5月くらいに集中するでしょうか?)や、夏季賞与に向けてのご参考になれば幸いです。

そもそも準備に時間を割かないようにするためにも、人事評価は紙やエクセルからクラウドに移行するのも検討しては如何ですか?

あなたの会社の評価者、どこか知らない所で紙を開いて鉛筆なめなめしてるかもしれませんよ?セキュリティのためにもクラウドを。





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