スタバの店員さん

 少し前にスタバに行った。それまでスタバに行ったことは数回しかなかった。誰かと一緒にいる時にしか行った事はなくて、1人で行ったのは初めてだった。

 未だにスタバにおしゃれなイメージが少し残ってるし、フラペチーノとか飲んだ事ないけど、甘すぎるのが苦手な僕は好きじゃないかなとか勝手に思ってる。店内もよく混んでるし、スタバにこだわっている人の気持ちがあまり分からない。ドトールが安くて最高だと思ってる。

 行ったところは本屋と併設されているスタバで、本を買ったついでに家以外で読みたかったので行った。

 今まで行った数回は一緒にいた人のおすすめを頼んでいた。1人で行くとなって何を頼めばいいか分からなくて悩み、1番スタンダードそうなスターバックスラテを頼んだ。

 お会計をしてくれたのは同世代に見える女性の店員さんだった。お金を払い、会計が終わるまでの数秒の間に「外は寒かったですか?」って聞かれて僕は凄くびっくりした。慌てて「あ、いやそんな事なかったです。」って筋肉で無理やり片方の口角を吊ったような表情で答えるしかなくて、そしたら「風が強そうに見えたんで、中にいると分かんなくて。ありがとうございます、受け渡し口は隣にお進みください。」って感じでまた答えてくれた。

 話しかけられて、びっくりして困ったけれど、嫌な感じは全く無く、終始笑顔で対応してくださった。自分だったらあんな事できるか、天候の話なんて振れるか、本当に信じられないけれど、ああいう人に出会うと、救われるし、大袈裟では無く世界が、数十分、数時間は愛しく思える。数十分、数時間でまたいつもの灰色の景色に戻ってしまう僕だけど。

 又吉さんの「劇場」に出てくる2人の出会い方が凄く好きで、主人公が彼女に対して、何でか分からないけれど、こんな自分を救ってくれるような優しさを、初対面ながらに思ったんじゃないかなと思う。烏滸がましいけれど、僕もそういうのに近い感覚をあのスタバの店員さんに思った。けれどお付き合いとかそういう話じゃない。スタバの店員さんと1人の客としての関係性のが良い。現実であった人なのに、幻想のような存在に思っている。幻想のような存在だけど、現実で起こった出来事という事実に僕は救われる。そのままでいた方が良いことも沢山あるんだろうなと思う。


 書いてるうちに気持ち悪いこと書いてるなと思ったし、もっと気持ち悪い自分の理想論を書いていたことに気づいて消した。

 とりあえず、スタバに行って良かったし、あの店員さんには感謝です。あのあと少しの間は視界がクリアでした。あと、スターバックスラテは無茶苦茶美味しくてびっくりしました。スタバに行って値段以上に満足な気持ちにさせられました。

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