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ほんの記録|2月前半の5冊

『編めば編むほどわたしはわたしになっていった』 三國万里子

ニットデザイナー・三國万里子さんのエッセイ集。

帯に、吉本ばなな氏からの「文章がうますぎる」というコメントが寄せられているのだが、ほんとにそのとおりで、「ああ、いい文章書かはるな…」としみじみ呟いてしまうエッセイだった。

前書きで、(書かないと)「自分から言葉が消えてしまいそう」になり、書くことは「解放」だと
語られている。
このエッセイにおける文章の「よさ」は、筆者にとっての書くことの切実性に由来しているんだろうな。

息子さんがNintendoDSを手に入れた次第を振り返る一編があるのだが、何度読んでも最後の2ページくらいで泣いてしまう。


『アレにもコレにも!モノのなまえ事典』 杉村喜光・大崎メグミ

娘が借りてきた中から一冊。

トライアングルを叩く棒の名前。
靴紐の先端の固いところの名前。
鉛筆と消しゴムをつないでいる部品の名前。
砂時計のくびれている部分の名前。
牛乳を温めると膜ができる現象の名前。

…知ってますか?
こんなものにも名前がという新鮮な驚きとともに、人類の名付けに対する狂気を感じる。
ことばを得るって、おそろしい。


『子どもを詠う』 西村和子

古今の俳人が子どもを詠んだ句を集めたアンソロジー。

俳句はまず写生からと言われるけど、自分の子どもから恣意的なものを排除し、写実的に切り取るのはほんとうに難しい。

子育ては気を確かに持たなければ、どんどん視野が狭くなっていく行為だと常々感じている。
そして、それが子どものためにならないってことも。

子どもを自然の一部としてありのままに詠もうと努めることは、心のストレッチになりそうだ。


『れもん、うむもん!-そして、ママになる-』 はるな檸檬

漫画家・はるな檸檬さんの妊娠・出産・新生児育児の記録。

娘を出産したとき、職場の先輩(2人の子どもを育てる母)から、
「これから大変だけど、楽しみもいっぱい。」
というメッセージをもらった。

時が経った今、この言葉は金言だったんだなということに気づく。

「これから大変だけど」が先に来るところに、先輩の万感が詰まっていることも実感したし、
その渦中で幾度か、祝福されているとでも言いたいような喜びの瞬間があったのも事実だ。

いろいろ思い出しながら読み、また泣きそうになってしまう(只今病院の待合室)。


『きみの身体は何者かーなぜ思い通りにならないのか?』 伊藤亜沙

ままならない身体について、吃音を通して考える一冊。

身体は思い通りにならなくて当たり前なのに、コントロールしようとして、薬や運動でたまにそれが成功することもあって、傲慢になりがちだったな…と反省。

コントロールできないと思って生きていたほうが、ココロのためにはいいはずだ。
これから来るであろうホルモンの大型台風に備えて、備えになる論考だった。


2月後半、3月前半・後半はおやすみします。

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