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「両親が与えたくれた良心」
自分のルーツを辿っていくと必ず両親の存在が今の自分に多大な影響を与えていることを再確認します。
昨日、母の日を迎えるにあたり母親との思い出を語る会を開催しました。
大人になり自分の母親の事を誰かに語る事はなかなかないものです。ましてや誰かの母親の話を聞くことなど滅多にないでしょう。
当初はざっくばらんに、参加者が母親とのエピソードを語り、それを聴いている参加者同士が気づきや感想をシェアができれば良いと考えていました。
しかし、普段は話すことのない自分の母の事を、知らない者同士の中でお話しいただくことはやはり難しいのではと思い、様々なお題を書いたカードを作成して参加者が引き当てた内容をお話しいただくことにしたのです。
主催者の私たちも一緒に参加して母親との思い出もシェアしました。
私が引き当てたお題は「母親との思い出の中で、特に感謝している瞬間はありますか?その理由や当時の気持ちを共有してください。」でした。
自分で考えたお題の中で「このカードを引き当てるのか!?」と考え深く思いました。
話を準備していたわけではないのですが、僕がシェアした母親との思い出は
20年前のことです。
当時、結婚を意識していた彼女から突然の別れを切り出されました。
「私、あの子のお母さんになろうと思う…」と
共通の友人が離婚をして娘を引き取ることになったのですが、どうやら彼女はその彼の元に行くと決めたとのことでした。
予想だにしなかった展開に頭がついてこなかったのですが、僕の口から出た言葉は
「わかった…」だったのです。
当時、心理学を学び始めていた時でした。
その学びの中で気付かされていたことは、自分は人間関係に甘えていたこと、自分の事しか考えていなかったことが、当時の人間関係が上手くいっていなかった原因なのだと考えさせられている時でもありました。
人生とは「自分で蒔いた種は自分が刈り取るのだ」という事ことを痛感していた時でもあります。
やがて彼女は同棲していて部屋を出て行きました。
しばらくして僕は母には伝えておかなければと電話をしたのです。
状況は大まかにですがお別れしたことを伝えたのちに母から聞かれました。
「あんたはこれからどうするの?」
「仕事もあるからこの家から通うよ・・」と伝えた後、学生時代ぶりに母親に大きな声で言われたんです。
「あんたがそんな場所で生きていけるわけないでしょ!いいから帰ってきなさい!」と
そんな簡単なことではないと説明して電話を切ったのです。
でも一度母親の顔を見て話をしておこうと思いしばらくしてから実家に顔を出すことにしました。
帰る日、帰る時間は伝えずに実家に帰り
ドアの鍵を開けて静かに玄関に入った時です。
奥のリビングから母親がものすごい勢いで駆け寄ってきました。
そして小さい声で「ただいま」と言った僕を力強く抱きしめたのです。
大人の僕が痛いぐらいの力で
母は僕の背中を叩きながら
「あんたは大丈夫!あんたは大丈夫!」と大きな声で何度も何度も言うんです。
僕は彼女から別れを告げられて以来、はじめて泣きました。
子供のように泣きました。
いつしか、素直に感情を出すことは誰かに負けたことになるのではと、本音を誰にも言えなくなっていた自分の心が解けていくのを感じました。
そして、母には敵わないと心から思いました。
この人の愛に僕は守られてきたのだと感謝の気持ちが込み上げてきました。
そのことがあってから意地を張らずに素直な自分の心を人に伝えられるようになった自分がいます。
今、僕がカウンセラーとして心を大切に扱う事を考えられるようになったのは母の存在がとても大きいのです。
今日は「母の日」です。
今年も伝えます。
「産んでくれて育ててくれてありがとう!」
今日も自分を愛してください!
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