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日本の孤独・孤立対策政策について③

孤独・孤立対策担当大臣に野田聖子さんが就任され、ますます孤独・孤立問題に力を入れている様子がうかがえます。
政策の内容は、様々な支援制度や相談窓口の拡充がほとんどだと思います。それ自体は素晴らしいことだと思いますが、私は一つとても重要なポイントが抜けているように思います。

それは「家庭」の重要性です。
家庭とは、実社会の縮図です。家庭の中に、父、母、子、そして孫へと長幼の順があり、また男女の別があります。年上の者と年下の者、男と女、それぞれの役割分担の違いを学ぶ原型が家庭の中にあります。子どもの多くが0歳から成人するまでその家庭の中にいて、社会のモデルをそこで学ぶようにできています。子どもがまずそこで見るのは、父と母という男女が、お互いに役割の分担をしている姿や、兄弟姉妹がある者は、長男、次男、長女、次女、そうした順を教えられます。そして、上の者には責任が重く、下の者の面倒を見なければならないということを教えられます。これが社会に出て、先輩や後輩の区別になり、上に立つ者が下の者の面倒を見なければならないということにもなります。

このように、家庭とは実社会の縮図であり、家族関係が円満にうまくいっているということは、円満な人格者を社会に輩出するためには必要なことです。その家族関係に、もしいびつなものがあると、その中で育まれる子どもは、何らかのいびつな側面を持つことになります。実際に、心に病を抱えたり孤独を感じて相談に来られる人の中には、家庭に何らかの問題があった人の割合はかなり高いです。

子どもが成長していくに際して家庭の中で最も大切なことは、両親が調和していることです。父と母がお互いに愛し合い、尊敬し合っている姿を見て育った子どもは、必ずその理想の夫婦のあり方というものを胸に刻んで、自分が成長しても、それ手本にして家庭を築いていこうとします。
社会に巣立った子どもたちが、円満な家庭生活を営めないような傾向性が出てきているとするならば、その両親に問題があるケースが多いはずです。それほど、両親の影響力というものは大きいということです。

私たちは、「家庭」というものが大事な仕事の場であるという認識を持たなくてはなりません。家庭の外で働くという形の仕事も、家庭生活の中の仕事も、どちらも大事な仕事です。ところが、外での仕事は仕事であるけども、内での仕事は仕事ではない、と考える人が多いのが実情だと思います。そう考える人は、家の中のことを軽視しがちです。すると、家庭というものを粗末にしていきます。そのつけが、やがて社会全体に回っていくようになります。

欧米などでは離婚率がとても高いわけですが、結果として、子どもたちは片親の経験をしたり、あるいは異母兄弟であったり、ほんとうの父母ではない人に育てられたり…、ということになっていき、どうしても家庭の荒廃を生みやすくなりがちです。それが、社会全体へも影響を及ぼします。
やはりすべての根本は、家庭にあります。素晴らしい家庭をつくるということ、家庭を守り育むということ、立派な社会人として子どもを巣立たせていくということは、何にもまして大切なことです。

この「家庭」という根本を押さえておかないと、いくら立派な仕組を作っても対症療法で終わってしまい、問題の根本を正すことはできません。
「すべては家庭から」です。

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