140字小説【一杯引っかける場所で一杯食わされた男】
「アナタは『好きな人の物になりたい』ですか? それとも『好きな人を自分の物にしたい』ですか?」
「私は……」
言いかけて、指先を真っ赤な唇に添えながら考え込む彼女。やがて出した結論は……
「……好きな人の物が欲しい」
バーを退店後、俺は身につけていたはずの腕時計がないことに気づいた。
「アナタは『好きな人の物になりたい』ですか? それとも『好きな人を自分の物にしたい』ですか?」
「私は……」
言いかけて、指先を真っ赤な唇に添えながら考え込む彼女。やがて出した結論は……
「……好きな人の物が欲しい」
バーを退店後、俺は身につけていたはずの腕時計がないことに気づいた。