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公務員試験を今まさに受けている(これから受ける)君たちへ~資格試験併願のススメ~

公務員試験はガラパゴス、民間就活との並行実施にはハードルが多い

 公務員試験は、筆記試験で出題される範囲が広く、特に法律・経済分野の専門科目ともなると、かなりの事前対策が必要となります。このため、公務員試験の受験と並行して民間就活を行うと、インターンシップや説明会への参加、エントリーシート作成などで時間を奪われるだけでなく、民間企業から内定がもらえたからもういいやと、辛い試験勉強から逃げる口実にもなりかねません。
 そのため、地頭がよく、民間企業就活との併願を要領良く両立できるような一部の人を除けば、公務員が第一志望である限り、民間企業との併願はなるべくするなとさえいわれることさえあります。
 本来、公務員試験と民間就活は、社会人になるにあたっての志望業界の違いでしかないはずですが、多くの学生にとって、このように両者の間には深い河、いや広大な海が存在し、公務員試験がいわば「ガラパゴス化」された状態にあるといっても過言ではありません。
 もっとも、公務員試験は絶海に浮かぶ孤島(ただ1つの島)ではなく、公務員業界全体でみると、職種や採用先(官公庁)が異なる多数の採用試験が存在し、年間を通じてそれなりの受験機会があることは確かです。
 たとえていえば「群島」のような存在。どこかの役所で公務員として採用されればいいという人にとっては、大学受験の本命校、滑り止め校のように、複数の公務員試験を併願するのは常識となっています。

結局、公務員試験のうち専門科目の勉強は、公務員試験でしか役立たないのだろうか?

 とはいえ、公務員試験の勉強で身に付けた専門科目の知識などは、あくまでどこかの公務員試験に合格・採用されるためのものであって、民間就活、あるいは実際に公務員として採用された後のことを考えても、人生の他の場面ではほとんど役に立たない(レバレッジが効くものではない)と思われているフシがあります。
 しかし、筆者はあえて、そういった常識的な認識に異論を唱えたいと思います。つまり、公務員試験の勉強の努力は、まったく別の場面で活かすことができるのではないかと。以下では、そのことについて説明していきます。

英語力が大学受験時をピークに落ちていくように、法律知識レベルも公務員受験時が最も高い。忘れていく前に活用すべし

 本題に入る前に、話を横道にそらします。
 多くの日本人は、中学校から大学入試まで6年ほどかけて英語を勉強してきたにもかかわらず、大人になると英語が使い物にならないという話をよく聞きます。留学や仕事で英語の勉強を続けるなどの努力をしない限り、ほとんどの人の英語力は大学入試を受ける頃がピークで、大変残念なことにそのあとは落ちていくばかり。
 しかし、英語は仕事以外でも、自分の海外旅行や、来日した外国人とのコミュニケーション、インターネット利用など様々な場面で、それこそ一生使う機会があるかもしれないわけですから、力が落ちることはもったいないという意見が出ることにも一定の説得力があります。
 さて、ここからが本題です。公務員試験合格に向け、せっかく身に付けたはずの知識(特に専門科目)についても、受験した頃が一番定着しており、勉強をやめたあと、知識はどんどん抜けていってしまうという意味で、英語と同じことが言えるはずです。
 個人差はあるにせよ、多くの人にとって、法律の理論や判例、経済学などは勉強していて決して面白い学問でもないでしょうから、勉強を続けていないと定着しないのは、ある意味当然ではあります。
 では、そうした知識の喪失は、英語と同様に、やはりもったいないことなのでしょうか。この点については、公務員試験の知識なんて、英語と違ってほぼ試験合格にしか役に立たないと考えるなら、別に失われてもよいではないか、と思えそうです。
 ところがです。世の中には、出題範囲のかなりの部分が公務員試験と重なるため、公務員試験と同じ年に併願すると、かなり効率的・有利に合格を手にすることができる資格試験がいくつかあるのをご存じでしょうか。
 筆者はたまたま、それらの資格試験を、公務員試験を受けた何年も後に受験しました。その際、再度法律科目の勉強をやり直すことになったのですが、さすがに「昔取った杵柄」で、ゼロから知識を詰め込むよりはマシでしたし、実際一発合格はできました。
 そしてその時思ったのは、公務員試験受験と同じ年に受けていれば、重なる科目の勉強はほぼ不要で、他の科目に集中でき、かなり楽勝だったのではないだろうかということです。しかも、学生または公務員浪人中の受験であれば、社会人で働きながら資格の勉強をするよりも格段に時間もあったわけですから。
 つまり、今まさに公務員試験受験生である皆さんには、勉強の中で積み上げる法律的知識を活かして、公務員試験と同時期に別の資格試験を併願して資格ホルダーになっておくことは、公務員試験の勉強にレバレッジをかけることにもなるし、社会人になった後に単独で資格の勉強をするよりも明らかに効率的だということがいいたいのです。

待遇安定の公務員を第一志望にしている人が、資格試験を併願して受かっておく意味

 もっとも、公務員試験が第一志望の人からすれば、資格試験の併願は、民間就活と同じで「浮気」に見えるかもしれませんし、リストラがなく一生安泰に見える公務員に就職できれば、一種の「保険」として資格を持っておくことなんてそもそも無意味だと思えるかもしれません。
 しかし、よく考えてみてください。

 公務員になったあなたが本当に定年まで勤め続けると誰が保証できますか?そうであるかなんて、絶対に分かりません。あなた自身も断言できないはずですよ。
 なぜなら、

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