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盗んだ本から構成された僕だけの本棚

僕の部屋には図書館の書庫のような金属の本棚があります。
その中には僕の17年間の本と今年で51になる父親の部屋から盗んできた本が混在しています。
年代もジャンルもバラバラで僕の買ってきたライトノベルがあるかと思えば、裏表紙に昭和の文字が入っているものも数多くあります。
特に僕のお気に入りは司馬遼太郎の「国盗り物語」と吉行淳之介と開高健の「対談美酒について: 人はなぜ酒を語るか」。
どちらも父の部屋から無断で取り出してきたもので、几帳面な父が買ってから数十年も傷一つ付けず保存してきたものですが、僕の手に渡ってからはひどい有様。
表紙は取れ、ふちはヨレヨレ、昔の親父が見たら多分、「なんだこれ」ってブチギレられたと思います。
でも、一度も怒られたことはないですね。
もう少し丁寧に読めよ、とは何度も言われましたが(笑)
この父の態度に対して当時の自分は本読んでるから許されたのだと思っていました。(当時小学校低学年だった僕は本を読むことが凄いことだと勘違いしていたのデス)
実はその態度が父の幼少の頃の経験に基づいたものと知ったのは結構最近のこと。
ふと尋ねてみたときがありました、なぜ怒らなかったのかと。
すると父はこう答えました。
「俺の小さいころ、親父の本を読んで怒られていたからだ。」と。
父は昔、僕のおじいちゃんの本を無断で読んでよく怒られていたそうです。
カエルの子はカエルというわけです。
そのおじいちゃんはいろいろと収集癖のある人で家にはいろんな珍妙物が並んでいます。
その中で本人は本は読まないのに、結構な数の本が置いてあったそうで。
読んでは怒られ、読んでは怒られを繰り返していたらしいです。
その経験から息子には本を好きなだけ読ましてあげようと思ったんだとか。
そのことは非常にありがたいことで、おかげさまで僕は速読マンになれましたし、白紙の履歴書に唯一「趣味 読書」って書くことができます。

こうして僕は自他共に認める読書家になり、父は日々お気に入りの本が部屋から消えていく恐怖を味わっているというわけです。
そういえば塩野七生のローマ人の物語だけは盗らせてくれませんでした。
最近はもう片方のおじいちゃんちとか、空手の道場なんかからも(こちらは許可を取って)本を持ってきてます。
親としては本読むのはいいけど、そろそろ勉強してほしいと思うところだろうと感じるところです。
以上、僕の本棚事情でした。

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