見出し画像

星降る山の露天風呂-タイ、チェンダオ-

ドイ・ルアン・チェンダオ。

「ドイ」は山、「ルアン」は大きい。
「チェンダオ」は星の街。
星の街の大きなお山。なんて素直な名前だろう。

コロナ禍が明け、久々のインド渡航の前に立ち寄ったバンコクの騒々しさにうんざりしていた私は、古都チェンマイにいてもなんだか心がざわついて、とにかく山に行きたいと思っていた。
そんな時に目に飛び込んできたのがこの名前。
行く前から好きになった。

チェンマイから北へバスに揺られて二時間ほど。
チェンダオの街にはタクシーも走っていない。バックパックを背負い、山に向かってひたすら歩く。天を衝き雲を頂く山容が目に嬉しい。

ドイルアンの遠景


キャンプ場にチェックイン。
客は自分だけ、山の景色を独り占め。
眼下に広がる森の静けさ。鳥の鳴き声が高原に響き、空の果てに消えていく。音の始まりと終わりが聞こえる。

キャンプ場からの景色



夜は借りた原付で未舗装の真っ暗な道を走り、川原に湧き出る天然温泉へ。
土管を立てただけの湯船。柵も壁も、遮るものは何も無い。またも客は一人だけ。
梢の間から顔を覗かすお月さまを眺めながら、ほのかに硫黄が香る熱めのお湯に浸かり、川の流れに耳を傾ける。水風呂は川へ。極楽々々。

昼に撮影したチェンダオ土管温泉



火照った体に夜風が気持ちいい。
キャンプに帰ると夜はしんと深まり、透明な星の光が眠る森を照らし、おぼろな山影が闇に浮かんでいる。

飲めないお酒を少し飲んで酔い心地、
夜空がゆっくりと巡る様子を、ひたすらに眺めて過ごした。
同じ夜でも、時間が深まるにつれて自然の様子は変わっていく。地上の生き物が眠りにつくと、より高い方へ、空へと気配の比重が移る。

そんな時中天に浮かぶ月は、ほんとうに神々しい。

私が高原を愛すのは、
こうして静かに、遮るものなく、
山と、空と、月に向き合えるから。

何をするでなく、
ただぼーっと星空を眺めるのが好きな方。

タイに行くなら、星の街チェンダオの大きな山、ドイルアンを訪ねてみてはいかがでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?