見出し画像

#5 自分が癌であることを受け入れる

昨日は帰宅後に姉弟の他、親しい友人に、体調が悪く病院に行ったこと、検査結果が思わしくないことをそれぞれ連絡した。

母親は、私がテニス練習中に体調不良になる2日前に倒れて入院中のため連絡をしなかった。入院してなかったとしても、要介護3の認知症である。
まずは母親自身の体調が良くなることを祈っている。

今回のことを連絡した相手は、これまで常に快活であった私からの報告内容に、一様に驚きを隠さなかった。
それでもこの時はまだ、全員が「陽性の可能性が十分あるんだよね?」というような反応だった。


とにかく睡眠をとらなければと、いつも通りに就寝した翌朝10時頃、仕事のためパソコンの前に座り、ノートパソコンを再起動させていたときにスマホが鳴った。

S病院からだ。

MRI検査の結果は12日と言っていたけど、やっぱり結果が悪かったんだな。


少し強張った声で電話に出たかもしれない。
スマホから聴こえてくる医師の声も、緊迫しているように感じた。
本日15時にS病院に行くことを約束して、電話を切った。


姉弟、親友のSさんとWさん、このメンバーには全てをありのままに報告したかったので、今日15時に再び病院に行くことを報告した。
それからリモートワーク仲間にも、14時過ぎから通院することを伝える。


14時過ぎに、いつも利用するタクシー会社へ電話をしてタクシーを呼んだ。S病院には14時40分頃到着した。

婦人科で番号を呼ばれ診察室に入ると、昨日帰るときよりいっそう厳しい表情をした先生が私を待っていてくれた。

「結論から言うと、やはりかなりの確率で悪性腫瘍ではないかと思ってます。これが昨日撮影したMRIなんですけどね、ココが骨盤で、この内側いっぱいに写っているコレ、卵巣なんです」。と言いながら画像をくるくる回して見せる。
「この広い部分は水がたまってるんですけど、ココにこういう黒いのがあるでしょ。これは癌細胞だと思うんですね。卵巣も膨れすぎてるし、血液検査のCA19-9っていうのは腫瘍マーカーなんですけど、僕これ、3000くらいまでの数値しか見たことないんだけど、5000越えてるんですね」。

昨日のCA19-9は5282(※上限値37以下)だった。

「僕の予想では50%以上の確率で悪性だと思う。それで、悪性腫瘍の方は大学病院を紹介させてもらってるので、紹介状書くから行ってほしいんです。じゃあ月曜日に、とかじゃなくて明日行ってもらいたい」。

先生の真剣な眼差しと言葉を受け、明日、紹介状を持ってH大学病院に行くと返事する。

このS病院は、自宅がある駅の隣駅で便利な場所だが、紹介されたH大学病院も、ドアtoドアで30分、タクシーを使えば15分程の場所にあって行きやすいのが助かる。

念のため、この病院では悪性腫瘍の手術をしてくれないのかと訊いてみると、「基本的に悪性の手術は行わない」。という返事だった。


そうか、やっぱり私は卵巣癌なんだ。


確かにそう心の中で何度も呟きながら、頭を下げて病室を出た。
もうこのとき、私は自分が癌に冒されていることを受け入れていたと思う。


2022/9/1

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?