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バイク・自転車用アプリのデザイナーが、他のナビゲーションアプリとの違い・工夫について話します。

こんにちは、YAEHです。
ナビタイムジャパンで、主に二輪車(自転車・バイク)に関わるサービスのデザイナーをしています。

当社ではナビゲーションアプリを中心に様々なサービスをご提供しており、その中にバイク専用アプリ『ツーリングサポーター』、自転車専用アプリ『自転車NAVITIME』があります。
しかし、トーナルナビでお馴染みの『NAVITIME』でも車ルートや自転車ルートで検索することができるため、「『NAVITIME』とバイク・自転車専用アプリとでは何が違うんだろう?」「どのような作り分けをしているのだろう?」と思われる方も多いと思います。

今回はバイク・自転車専用アプリならではの特徴的な機能や、アプリ紹介サイトでは触れていない、細かな工夫点についてお話しさせていただきます。

『ツーリングサポーター』『自転車NAVITIME』とは?

『ツーリングサポーター』は、バイク専用のナビゲーションアプリです。
原付から大型までバイクの排気量別のルート検索はもちろん、景色の良い道を優先して通るルートやツーリングロードの検索、バイオグラフィ機能、走行ログ機能など、ツーリングを楽しむためのたくさんの専用機能を搭載しています。


『自転車NAVITIME』は、自転車専用のナビゲーションアプリです。
目的地までの距離が短いルート検索だけでなく、坂道が少ない、坂道が多い、大通り優先、裏通り優先、サイクリングロード優先など、ライドシーンに合わせた細かいルート選択が可能です。
自転車専用なので、車通りの多い道や未舗装道路を回避することも可能です。

この2つのアプリについて、ライダー・サイクリストのユーザーの方々がより使いやすいよう、一般的なナビゲーションアプリやカーナビから変更を加えている細かい工夫が多々ありますので、その一部をご紹介します!


『ツーリングサポーター』の工夫

1. ナビ画面の色の工夫

バイク用アプリの機能について常に気をつけていることの一つに、運転中に画面を注視して事故に繋がらないか?があります。
バイクでは、同乗者にナビの情報を教えてもらうのは難しいため、画面を見る必要のある時間を減らし、かつ分かりやすいことをより重視しています。

『ツーリングサポーター』では、ひと目で次の曲がり角までの距離がわかるように、画面上部の色を交差点までの距離によって変化させています。画面をしっかり見なくても、「青色なので曲がるのはまだ先だな」と把握することが可能です。
併せて、曲がり角までの距離は音声ナビゲーションでも細かく確認できるようになっているため、よりユーザーが運転中に画面を見る時間を減らすことができます。


2. ライダー向けにカスタマイズした地図

『ツーリングサポーター』では、昼地図・夜地図の2種類をご用意しています。
時間帯による使い分けだけでなく、バイクにホルダーでスマホを取り付けていて時折発生する「画面が太陽光の反射で眩しくて見えない」という場合に、昼間でもあえて夜地図を使用いただくこともできます。
また小回りの効くバイクでは「大通りが混んでいるので裏道を通って目的地に着きたい」というシーンも多くあるため、縮小した画面でも細い道路をなるべく多く表示するようにカスタムしてあります。


3. 外部デバイス連携

車市場で後付けのスマートディスプレイがスタンダードとなりつつありますが、近頃はバイク市場でも同じ傾向が見られます。
それにいち早く対応し、一部の二輪車両に搭載されたスマートディスプレイ機器に接続・情報表示できるよう開発しました。

バイク専用の機能は搭載しつつ、大きな画面で見やすく、メーターからの視線移動を減らし、手元のハンドルバーを使ってより安全にナビを操作できるようになっています。

『ツーリングサポーター』はこの取り組みによって2022年度グッドデザイン賞をいただいています。
今後もご意見を参考に、ヘルメットやスマートウォッチなどウェアラブル端末等への対応を検討しています。



『自転車NAVITIME』の工夫

1. サイクリスト向けの地図表示

アイコンは設定で非表示にすることも可能です

『自転車NAVITIME』の地図には、ユーザーの皆様からのご意見を参考に、サイクリング中に立ち寄れる公衆トイレや、急な自転車故障時に役立つサイクルショップ、手軽に食べられるパンを販売しているパン屋などのアイコンを表示しています。
他のナビゲーションアプリと比べて、自転車の通れない高速道路は控えめに、自転車の通れる細かい道はしっかり表示されているのも、サイクリスト向けナビならではの工夫です。


2. サイクルコンピューター・高低差グラフ

サイクリストおなじみのサイクルコンピューターをアプリ内の1機能として提供しています。走行中の時速、最高時速、走行時間、現在の時刻、走行距離、消費カロリーが分かります。

高低差5%以上の坂だと黄色、10%以上だと赤色で表示されます

また高低差グラフでは設定したルートの高低差が事前に分かります。
通常のナビなら坂道は避けるべき要素として捉えられがちですが、サイクリストの中には積極的に坂道を登りたい!という方もいらっしゃいます。
ポタリング用途など坂道を避けたルートを選びたい方、逆にヒルクライムなど坂道を登るルートを選びたい方、双方にご利用いただける機能です。

サイクルコンピューターと高低差グラフはナビゲーション中に簡易表示して、走りながら確認することもできるようになりました。
坂を登る前の補給や休憩タイミングがより分かりやすくなり、ハンガーノック(長時間の運動による低血糖状態)の対策になります。

これらの機能はサイクリストへのヒアリングで開発を進めたものもありますが、実際に機能を出した後に「使って走ってみて、こういった機能も欲しくなった」と追加要望をいただき実現したものもあります。
サイクリストならではの視点でのご要望であることが多く、専用アプリを作る上での大事な情報の一つです。


3. もっと自分好みのコースを作成したい人へ

先ほど、積極的に坂道を登りたいサイクリストの方がいらっしゃることについて書きました。
他にも、信号が少ない道がいい、走りやすい大通りを通りたい、小回りの効く細い道を優先してほしい、急な左折は転けやすいのでなるべく回避したい、多少の階段なら通っても良いからとにかく最短ルートがいい…など、通る道にこだわりのある方が多く、また走り方の違いによって真逆のご意見が見られることもあります。

そのようなサイクリストの皆様のために、Webサイト「サイクリングコース作成」ではより細かく道を選択して、一人ひとりの好みにあったサイクリングコースを作成できるようにしました。

自転車の通れる道を考慮してコースを自動作成する自動モードの他、クリックした2地点を道路を考慮せずに結ぶ直線モードもあります。
Webで作成したコースは保存すればアプリから確認することもでき、公開設定をonにすれば他のユーザーに共有して、グループライドに使用することも可能です。


おわりに

上にあげた特徴は、アプリ内の工夫のほんの一部です。

どちらも他のナビゲーションアプリとは使用シーンが異なるため、想像だけでは作れなかった機能がたくさんあります。
専用アプリだからこそ、社内のライダー・サイクリストの意見を集めたり(開発メンバーにもライダーやサイクリストがいます!)ユーザーの皆様からのご意見ご感想を大事にしています。

基本のナビ機能も、専用ならではの便利機能が日々絶賛進化中ですので、ライダー・サイクリストの皆様には、ぜひ『ツーリングサポーター』『自転車NAVITIME』をお試しいただき、ご意見ご感想をいただければ幸いです!