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発案した商材のリリースまでに一体どれだけの経験が得られるの?

はじめに

こんにちは、考える人です。
ナビタイムジャパンで、ビジネス向けの公共交通関連サービスの開発を担当しています。

本日は、これまで研究開発チームに所属していた私が、現在の業務に携わることになった経緯と、その結果、様々な業務に挑戦することができた経験をお伝えします。開発者が一体どのような領域まで手を伸ばしていったのか、想像しながら読み進めてみてください。

年末にお届けしたプレスリリースに関連する話題ですので、こちらも一読いただくと、より詳しい内容が分かるかもしれません。もしまだご覧になっていない方がいらっしゃいましたら、ぜひご確認ください。

発端

ナビタイムジャパンには、チームや事業の枠に捉われず、社員が検討したアイデアを提案できる社内制度があります。

その制度の中では、サービス改善のアイデアから、事業化を狙うものまで、提案コースが分けられております。挑戦するコースによって、発表に折り込む内容が変化・高度化します。

コース1は機能改善や新機能の提案。コース2はサービスや技術などの提案。コース3は高い収益化が見込める事業系提案。コース4は高度な技術による課題解決する技術系提案。
挑戦することが出来るコース

これまでにも数多くのアイデアが発表され、実際にサービスに適用されたり、サービス化・事業化されたりしています。『運転代行 by NAVITIME』もその一例です。

一方で、研究開発チームからのコア技術の利用を伴った発案の件数がそこまで多くない点については課題がありました。

研究開発チームが作成した資産を取り込んで、事業チームがサービスを作成し、ユーザーのみなさまに届けられます

そこで、2022年度に、当社の技術を活かせるような視点からのサービス化、事業化をすることを目標として、研究開発チームから人を集めて、いくつかの発案チームが作られました。

私たちのチームも、ここで生まれたチームの1つでした。

発案活動

ここでは、チーム発足からの活動内容について、いくつかご紹介します。

チーム結成

2022年4月に前述の通りチームが結成されました。チームメンバーは私を含めて3名でした。

それぞれの業務領域や興味の有所から、バスデータやバスロケーションデータ、乗換検索などが得意分野だったので、ここに絞ってアイデアを探していこうとして始動しました。

与えられた期間は年末までであり、本業の方を疎かにしないよう、週に数時間程度の活動で結果につなげる必要がありました。

実際のアイデア出しについては、一般的なアイデア検討で用いられるブレインストーミングの手法を用いたので割愛します。

ビジネスワークショップ

今回の活動の中で、これまでのアイデア検討と大きく異なったのは、ビジネスワークショップへの参加がきっかけでした。

ビジネスワークショップとは、ビジネスや事業について学ぶ場所であり、こちらも社内制度のひとつです。実際に社内で事業化をした事例から、座学や発表を通して知見を深められました。

業務に従事しながらもこういう場への参加が出来るのは、恵まれた環境だと感じます。

ひとつだけ内容をご紹介しましょう。

Q. 「温暖化が進行している」は「課題」であるか否か?
A. この事象自体は問題ですが、ビジネスを考える上で「課題」とは言えません。この事象が解決された場合でも、課題を抱えていて対価を支払う必要のある、特定の主体が存在しないからです。

ワークショップを通して、課題の探し方やビジネスの拡げ方の要点を知り、適切な課題設定が出来たと思います。

事業メンバーと合流

活動をしていく中、ビジネス向けの公共交通関連サービスを取り扱うチームでも、同じような課題の検討をしている事が分かりました。

本活動の目的のひとつである「研究開発チームからの提案」という意図から少し逸れる懸念はありましたが、自由にしていいよとの事で、一緒に検討することにしました。

営業分野を得意とするメンバーが加わった事もあり、次の観点についての検討スピードが大きく上がりました。

  • 市場規模の計算の部分が詳細化

  • 実際のデータ作成に課題を抱えるターゲットへのヒアリングの機会

  • 課題を解決したその後のスケールの検討

ビジネスワークショップを通して知った観点でありましたが、実際やってみると一朝一夕にはうまく行かず、落とし込めなかったので関心した記憶があります。色々噛み合いを感じられた時期でした。

提案内容の発表

そんな流れで色々学び、アウトプットし、ビジネスワークショップで練習してレビューを貰い、を繰り返しながら提案内容を掘り下げていき、冒頭でお話しした提案発表の場で合格をいただきました。

サービス化に向けて

ここでは、提案発表に合格をもらってから、実際のサービス開発対応が始まって、リリースされるまでをお伝えします。

体制について

実際に開発を進めていくチームが作られました。開発リソースの捻出は難しく、マネージメントと開発の大部分は1人で担当しました。

そういった事情もあって、この期間は自分の裁量がかなり大きくなっていて、検討時期と比べても、責任と学びのポイントは大量にありました。

ただし、以下については協力者がいて、必要に応じて相談する事ができていたため、そこまで孤独な戦いではありませんでした。

  • 営業

  • デザイン

  • データ

コンセプトライティング

サービス化に向けての初動として、UXチームからコンセプトライティング手法を教わりました。

UXチームは、ユーザ体験の向上を目的としたあらゆる活動を実施または補佐するチームです。本活動中でもここまでにユーザテストやヒアリングなどを通して何度もお世話になってきました。

コンセプトライティングによって、サービスの軸が定まり、定義した課題をどのように解決するかが決まります。ここを誤ると大きな手戻りが発生するので、慎重に検討した項目でした。

ここで、プレスリリースにも掲載した「お手軽ダイヤ改正」というキーワードが誕生しました。

開発・システム構築

あとは、仕様検討、開発、システム構築を進めていくフェーズです。

新しいサービスをゼロから作るというのは、実際なかなか出来ないことです。それをリリースまでやりきった、しかもほとんど1人で、というのは、貴重な経験をさせてもらえたと思っています。

開発やシステム構築の流れについては、ある程度把握しているところでは有りましたが、チームが採用しやすい技術や、最新の技術など、これまでの経験が通用しない場面も多くあり、新しい学びの連続でした。

マネージメント業務

プロダクトを市場に提供するために、開発タスクの取捨選択、日程調整などのマネージメントを実施しました。

また、先ほどは「ほとんど1人で」と述べたのですが、実はフロント開発の時期において、1人月ほど開発者を付けてもらえる期間がありました。短い期間ではありますが、この機会を通して、メンバーのマネージメントにも挑戦することが出来ました。

ここでも社内制度として、マネージャーに対して相談先となるメンターを割り振ってもらえていました。短い期間でのメンバーの成果最大化のポイントや、育成方針に関する検討など、ご指導いただきながら挑戦していきました。

デザイン業務

協力者としてデザイナーに関わっていただいていましたが、デザイナー業務が逼迫していた時期がありました。それなら何でもやろうと考えて、デザインにも関わるようにしていました。

デザイナーの負荷を少なくするために、新しいダイアログやページを作る際には、事前にデザイン案を検討して共有したり、質素な表現で作成して先に動きを見てもらったりしました。

後日、助かったとの意見がもらえたので、負担減には繋げられたかなと思います。

まとめ

取り組んだことの全体像

さて、課題設定、ビジネス、コンセプト設定、Webアプリ開発、システム構築、営業、マネージメント、教育、デザイン、…。色々な要素が出てきましたね。

サービスの規模によって、ここは適切に人員割り振りされるものですが、この大部分に関われるというのは、非常に挑戦的で、そして面白い立場だったと感じます。

もちろん、本業の方々よりはパフォーマンスは落ちるので、1人で全て解決できた訳ではなく、協力してくださった多くの方が居たからこそ、ゴールまで走りきれました。それでも、サービスの提供までを通して多くの経験を積むことができた、その様子が少しでも伝わりましたら嬉しいです。

開発者、デザイナー、営業、データチーム、基盤チーム、UXチーム、ビジネスワークショップ講師、メンター、顧客、そして経営陣と関わりがありました
たくさんの関係者たち

最後に、当活動で作成した『GTFSクラウド by NAVITIME』は公共交通に関するデータの作成や活用をサポート出来たらという思いを込めて作成いたしました。

アカウント発行や資料の請求は、プレスリリースにあるフォームよりお問い合わせいただけます。どうぞよろしくお願いいたします。