ウォーキングアプリでユーザーに価値を正しく届けたら会員数が伸びたハナシ
この記事は、NAVITIME JAPAN Advent Calendar 2021の 5日目の記事です。https://adventar.org/calendars/6340
こんにちは。パトラッシュです。
ナビタイムジャパンで、楽しくユーザーの健康促進を手助けするウォーキングアプリ「ALKOO」の開発を行なっております。
今回はALKOOを題材に、ナビタイムジャパンでのプロダクトグロースについての事例と取り組みをご紹介させていただきます。
コンテンツの価値を、うまくユーザーに届けられていないと感じる方は是非この記事を通して何か気づきがあれば幸いです。
ALKOOについて
ALKOOは「健康に興味がある」「歩くきっかけがほしい」「散歩に最適なコースが知りたい」方におすすめのウォーキングアプリです。
日々の移動を自動で計測し、オススメコースやランキング機能で散歩やウォーキングライフをお手伝いします。
https://products.navitime.co.jp/service/alkoo/
アプリの課題
早速ですがみなさんの持ってるプロダクトの機能価値はユーザーに正しく伝わっていますか?
ALKOOには、「プレミアムコース(有料課金コース)に加入するとどんなメリットがあるのかユーザーに正しく伝わっていなかった」という課題がありました。
本章以降、実例を踏まえながらどうしてそのような課題が発生し、どのような施策をとって解決を試みたのかを紹介していきます。
内容に入る前にこちらがALKOOの無料コースとプレミアムコースの機能比較となります。たとえば、無料ユーザーの記録保存期間は2ヶ月のみですが、プレミアムコースに加入することで無制限に保管されるようになります。
このように、プレミアムコースのユーザーは様々な恩恵が受けられるのですが、どういった点でユーザーにメリットが伝わっていないと感じたか、以下に例を二つ挙げます。
まず、アプリへのご意見にて、「過去の記録が見られない」「過去の記録が全部見れると嬉しい」といった内容のものがいくつか届いていました。
このことから2ヶ月以上前の移動記録を見る方法に気づいていないユーザーが一定数存在することが考えられます。
これは先程述べました通り、プレミアムコースに加入して頂くことで、無制限に閲覧することが可能な情報です。
また、このご意見はアプリをDLしてから2ヶ月以上日々の移動記録を溜めてようやく出てくるものです。
2ヶ月間もの日々の記録を思い出とともに振り返っていたユーザーからすると、これまでの情報が閲覧できなくなることは避けたいと思うので、そういったユーザーへプレミアムコースのメリットを届ける必要があると考えました。
次に、アプリの数値分析をする中で、プレミアムコースのお試しをする前にアプリを使わなくなってしまうユーザーが多いことが判明しました。
これは1ヶ月の無料お試し期間があるにもかかわらず、プレミアムコースならではのよさをお伝えすることができていない可能性があることが考えられました。
これらを踏まえて、既にユーザーに価値がある機能はアプリに備わっているにも関わらずそれが正しく伝わっていないのではないかと仮説を立てました。
課題解決のための施策
こういった課題を解決するために、ALKOOの開発チームでは、いくつかの施策を取り入れたのでその一例をご紹介します。
①過去記録確認画面にて、「全ての記録をみる方法」の見せ方を改善
過去記録確認画面での、プレミアムコース加入導線を以下のような見せ方に変更しました。
翌月になると、前々月の記録が見えなくなってしまうことをユーザーに伝えるように変更しました。
このように、敢えてネガティブな表現を使うことで、過去の記録を残したいユーザーが直感的にやりたいことを実現できるような自然なUXを意識して取り入れました。
②アプリ初回起動時のプレミアムコース加入導線の改善
ALKOOではアプリを初めて起動した際に、プレミアムコースへのご案内がダイアログで表示されます。
これまでの見せ方だとプレミアムコースでどういった機能が使えるようになるのか直感的に伝わりづらかったので、今回以下のような見せ方に変更しました。
記事冒頭でご覧頂いたような機能比較表をいれることで、プレミアムコースへ加入した際のメリットをより直感的にユーザーがイメージできるようになりました。
これにより、無料だし試しに使ってみようかなと思うユーザーへ機能価値を届けられることが期待されます。
また、従来のご案内では「詳しく見る」ボタンを押した後に説明画面を表示してその先で加入ボタンを押すというフローでしたが、この段階で興味を持ったユーザーがスムーズにプレミアムコースへ加入できるように、説明画面を削除してすぐに無料お試しを開始できるようなフローへ変更しました。
施策の結果
当初頂いていた「過去の記録を全部みたい」といったご意見はリリース後は届かなくなりました。
加えて、施策導入後、過去記録画面・初回起動画面共に、日時平均5倍以上のユーザーにプレミアムコースへ加入頂き、ビジネス的にも期待以上の結果が出ました。
また、ALKOOのプレミアムコースには、月額課金と年額課金の二つのプランを用意していますが、この施策導入後の過去記録確認画面からの入会ユーザーは、半数以上が年額課金での入会をしてくれました。
これは、一定期間アプリを使って過去記録確認画面の特徴を理解しだしたユーザーに対して、プレミアムコースに転換する上でのメリットを適切に認識してもらう手助けができたのではないかなと感じました。
おわりに
プロダクトを運営していく中で、ユーザーを惹きつけるような魅力的で新しい機能を生み出すことはもちろん重要です。
ただ、その中でも既存のコンテンツに価値を見出し、ユーザーに正しく理解してもらう努力も同じくらい重要ではないかとこの一例を通じて学びました。
この記事を通して、みなさんがお持ちのプロダクトの価値を正しく届けられるような改善を行えることを願っております。
最後までご覧いただきましてありがとうございました!