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閑窓vol.6『常しなえの佳日』感想

『道の真ん中でふたり』熾野優さん

まだ使えるものは買い替えないという考えだったお母さんが、「そのために貯めてきた」とこれからの人生のために家具を買い換えていくのがワクワクしてきた。
こんなに人生を楽しんでいこうとしているお母さんだったら娘は安心だろうな。

この小説とお母さんがすきだ。


『ライク ア ラズベリー』大滝のぐれさん

冒頭から「何これ、もう面白過ぎるんですけど」という登場人物。なのに淡々と進んでいく日常的展開がまた最高に心地良かった。そしてなんとも言えない切なさまであった。


『細蟹姫』瀬戸千歳さん

「あの健康の」が笑えるんだけど、何だか笹仲間さんたちに良い意味で仲間として認識されたみたいで微笑ましかった。
終わりの方の先輩の声かけは、他人行儀になっていなくてホッとした。
きっとお店の中の笹を見たら、今後この小説を思い出すだろう。


『幻覚』伊藤美希さん

読み終えて「これ凄い!これ凄い!」と言いまくってしまった。ああ、この小説を多くの人に読んでほしい。そして私が体感したような「これ凄い!」をこの小説の読み終わりに感じてほしいです。


『シーラカンスの眠る海』望月柚花さん

前の作品である『幻覚』を読んだ後にこちらなので、とても優しい気持ちになる。

実家に帰って、野菜かなにかを押し付けられるとか、祖母のことを疎んでいるわけではないが、どうなのだろう、どうなのだろう、という表現が続いてもそれでも優しく心地良かった。
ちよちゃんでいられる日が一日でも長く続いてほしい。


『鬼の胎内』旗原理沙子さん

最近私が読む、旗原さんの小説の面白さが更新され続けている。
この小説もとてもとても面白かった。
内容に触れると読む前の方々に勿体無いので、あまり言えないんだけど最初の掴みから終わりのオチまで感嘆の「やっぱ旗原さんの小説は面白いわ」だった。


『大理石に泳ぐ』丸屋トンボさん

童話のような嫌なドキドキがない、けれどちょっとした「どうなるの?」という良い意味でのドキドキはあってあっという間に楽しんだ小説だった。


『画窓』鳥山まことさん

雪の日のようなシーンとした佇まいの主人公。
ステルスモモのような存在感なのに居なくてはいけない人のように他に移らずずっといる。
不思議な感覚の小説でした。


この閑窓シリーズ、ぜひ他のも読んでみたくなりました。けれど先日、トークイベントで瀬戸さんがあまり積極的に増刷しないような事をお話していたので、頑張って今買えるものを探してみたいと思います。

情報お待ちしています(笑)

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