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遠くまで来てしまいました

四月の雪(2005/韓国)
監督:ホ・ジノ 
出演:ペ・ヨンジュン ソン・イェジン

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見た。見てしまった。気がついたら、ファンでもないのにペの映画出演作を全部(といっても2作)見ている私である。

ペは、メガネをはずしてヒゲを伸ばしたら松尾スズキにソックリだ(『スキャンダル』参照)。ということは、松尾スズキがメガネをかけてヒゲをそり、髪をあんな風に伸ばしたらペになるはず。

なんてことを考えながら、しみじみと鑑賞したこの映画。

ペが演じるのは、不倫旅行中に事故に遭い、植物状態になってしまった妻を介護しなければならない夫の役。「いっそ死んでくれればよかったのに」とつぶやきつつ、妻のオシッコを処理したり体を拭いたりと、本当に気の毒な男なのである。

しかもその事故で若い男をまきぞえにして死なせ、その彼には若い妻と幼子がいるというダブルパンチ。しょうがないので妻の代わりに弔問にいき、その家族に殴られるペ。何もいわずに全てを引き受けてじっと耐えるペの姿に、ヨン様ファンは「なんて男らしいの。優しいの」と涙を浮かべることだろう。

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でもなんでこの人、こんなに怒らないのかな。一度だけ妻の携帯で浮気の証拠メールを読んだ時に、カッとしてその携帯を投げつけたくらいで、ただひたすら感情を押し殺して耐えている。たまに泥酔するか泣くけど、自分の思いもあんまり口にしない。

もしかして、この芸風は冬ソナと同じ?

私は冬ソナをまともに見たことがないのだけど、そんな気がする。少なくとも首から上は見た目が一緒。「好きな季節は?」と聞かれたペが、「冬です」と答えたシーンではちょっと笑った。

ところでペは、自分と同じ境遇で同じつらさを味わっている妻の浮気相手の奥さんと恋仲になり、逢瀬を重ねるのだが、またこの奥さんも泣くばっかりで怒りを全く表さない。

浮気そのものだけでなく、自分を裏切った夫の介護をしなきゃいけない怒り。夫が浮気相手と起こした事故の後始末をしなきゃいけない怒り。

あるだろうに。いろいろ。

そんな怒りよりも、彼女にとっては悲しみの方が勝っているのだろうか。

とにかく静かな2人。地味な2人。じとっとしている2人。たぶん2人は、もともと似た者同士なのかもしれない。

でもこの2人がこういうタイプだからこそ、ドロドロ状況が浄化されているのだからして。

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さて、こういう話の場合「2人がこの先どうなるのか」というのが大きな関心事になるわけだが、その前に「いつどうやって、2人がそういうことになるのか」という過程の描き方が、ものすごく重要だ。特にこの映画は超デリケートなストーリーなので、描き方が難しいと思うのよね。

だいたいこの2人がそういう関係になってしまうことは、すでにもうみんなわかっているのだから、彼らが登場した時点から「今か今か」ともうそればっかり。

そうして自然な流れと微妙な駆け引きを経て、2人はついにそういうことになり、ついに2人が初めて一線を越える緊張シーンがくる。

もちろん女の下着は白。ブラジャーの脇のところだけがレースになっていて、白々しいほど純なやつね。そしてペが、彼女のふくらんだ胸をそっと触る。そして今度は、彼女がペの胸をそうっと…あら?こっちの胸もふくらんでいるじゃないの。

なんでしょう。この鍛えた体は。『スキャンダル』の名残りか。

でもあの時は、松尾スズキ似のスケベ顔だったから違和感がなかったのであって、冬ソナ顔のペにこのAカップの胸はどうなの?いいの?

私は、ペと初めてベッドを共にした後この女が先に起きて、ペの服をきれ~いにたたんでいるシーンが大変気持ちが悪かった。「こういう女だから浮気されるんだ~っ!」とまで思った。うまくいえないけど、すごく苦手なタイプ。

ラストは、これでよろしいでしょうか?ちょっとイラッとしたのは、私だけでしょうか?

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