見出し画像

ステビアとは?~安全性と可能性を探る~

こんにちは!管理栄養士の松岡です。

最近、栄養指導の現場でも、
「血糖値が気になるので、砂糖の代わりにステビアで甘味をつけています。」という話を耳にします。

さまざまな食品や飲料の甘味料として使われている「ステビア」。
どんなものか知っていますか?
今回は、「ステビア」とは一体何なのか、その安全性と可能性について探ります。

・・・


ステビアとは?

私たちが普段、口にしている「ステビア」は、キク科の植物で、154種類以上あるうちの1種類「ステビア レバウディアナ ベルトニー(Stevia rebaudiana BERTONI)」という品種です。

その他の品種には、甘味はなく、観葉植物やハーブとして楽しまれているものもあります。甘味は、葉部分に集中しており、口に入れて噛むと穏やかな甘みが広がります。

図1 ステビア ステビア葉写真


ステビアが甘味料として広まるまで

「ステビア」の原産国であるパラグアイでは、元々、苦いマテ茶にステビアの葉を混ぜて甘味付けに使用されていました。
1970年に、ステビアの種子が日本に持ち込まれ、1972年に甘味料として世界に先駆けて商品化されました。
その後、品種改良、精製技術の確立、用途開発、安全性試験を繰り返し、
飴や子供用歯磨き剤など、様々な用途で使用されるようになりました。

ステビアの5つの特徴

1. 甘さは砂糖の200~300倍
ステビアの葉から作られる「ステビア抽出物」は、砂糖の200~300倍の甘さを持つ天然甘味料として、飲み物だけでなく、砂糖の代わりとして料理に使われたり、加工品や調味料にも使われたりしています。

2.褐変現象が起こりにくい
バナナやりんごを放置すると、表面が茶色くなりますよね。これを「褐変現象」といい、食品中の成分や酵素が空気と反応して起こります。
ステビアは、褐変現象を起こしにくいので、褐変しやすい食品に利用されています。

3.氷点降下が少ない
お水は、0℃で凍りますよね。
塩や砂糖を混ぜると0℃では凍らなくなります。これを「氷点降下(凍る温度が下がること)」といいます。
ステビアは、この氷点降下が少ないので、アイスクリームなどが溶けて、型が崩れてしまうということが起こりにくくなるのです。

4.非発酵性
微生物の栄養源にならないため、カビなどが繫殖しにくい特徴があり、砂糖の代わりにヨーグルトなどの食品に利用されています。

5.吸湿性が少ない
砂糖と比較して焼き菓子などに使用した際、吸湿しにくいです。


ステビアの安全性

◆ステビアの摂取量は、わずか0.25%(ADI比)
令和元年に調査された「マーケットバスケット方式による甘味料摂取量」の結果から、1人当たりの1日摂取許容量(※) 234㎎/人/日 に対し、実際の摂取量は、0.579㎎/人/日でした。ADI比は、わずか0.25%しかありません。

※ADI(1日摂取許容量)の上限×58.6(成人の平均体重,kg)
ADIとは、一生涯、毎日摂っても健康に悪影響がないとされる1日当たりの摂取量(㎎/kg体重/日)のこと。


◆過去の話となったステビアの不妊・避妊説
ステビアの不妊説や避妊説を聞いたことがあるでしょうか?
これについては、今や完全に否定されています。この誤解は、1968年にウルグアイ学者プラナスの「ラットにステビアエキスを投与したところ、妊娠率の低下が認められた」という報告が、有名な学術雑誌「サイエンス」に掲載されたことがきっかけとなったようです。
この研究結果に再現性はなく、研究そのものの信ぴょう性について疑問がもたれています。

詳しくは、こちらから。(ステビアの安全性について|ステビア工業会)


◆ステビアはアメリカでも認可されている
かつて、アメリカではステビアの使用は禁止されていましたが、2008年12月に、純度の高い(※①)ステビア甘味料が  GRAS認証(※②)されています。

2021年5月時点、約70ヵ国(EU27ヵ国含む)で、ステビア甘味料が許可されており、GRASへは、すでに66社が登録(2021年7月時点)済みです。

※①レバウジオシドAとして95%以上(シリアル、ティー飲料、ダイエットソフトドリンク等に限定)、または97%以上(肉製品と家禽製品以外の全ての食品)
※②アメリカ食品医薬品局(FDA)より、食品添加物に与えられる安全基準合格証


ステビアの3つの可能性

1.ステビアは甘くても、太る原因にならない
ステビアは、甘みが砂糖の200~300倍あるため、使用量はごくわずかです。例えば、100mlの水に10gの砂糖を入れた砂糖水と同じ甘さの水を作る場合、200倍甘味のステビアなら、0.05gで作ることができます。なので、ステビア甘味料の摂りすぎで太ることはないでしょう。

2.ステビアは、血糖値が気になる方にも魅力的な甘味料
ステビアには、血糖値や血圧を下げる効果があります。
ステビアで、血糖値や血圧が下がるなんて、いいことづくし!
と思われるかもしれませんが、日常の食事で摂る量での変化は期待できません。むしろ、少ない量で甘味に満足できるので、甘いものが好きだけど、血糖値が気になる方には、魅力的な甘味料です。


3.ステビアは虫歯になりにくい
ステビアは、微生物の栄養源になりません。虫歯菌(ミュータンス菌)のエサにもならないため、虫歯になりにくい甘味料です。




まとめ
過去には、否定的な情報が出回ったこともあるステビア甘味料ですが、現在では完全に否定され、多くの場面で重宝される甘味料となっています。使用量もわずかなので、日常の食生活で摂りすぎることはありません。

むしろ、砂糖に比べ「低カロリー」「血糖値を上げにくい」「虫歯にならない」といった可能性はとても魅力的です。



・・・

<参考>
・薬草データベース|熊本大学薬学部 薬草園 
・平成 30 年度 既存添加物の安全性評価 に関する調査研究(p55)|国立医薬品食品衛生研究所
・厚生労働省 e-ヘルスネット
・う蝕の原因とならない代用甘味料の利用法 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
・Scientific Opinion on the safety of steviol glycosides for the proposed uses as a food additive|European Food Safety Authority


この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?