劇団の公演チラシを描かせていただきました
私の知り合いに、劇団に所属している人がいます。
元々所属しているのはこちらの劇団で、
その人が立ち上げた旗揚げ公演が、今年の6月にありました。その時の公演の顔となるチラシを描かせていただくことになったのです。
制作したチラシはこちら。
初仕事
私の中では、初めて公に掲示されるものを仕事として制作することになったのですが、色々と大変でした。
わかってはいましたが、万人受けするようなデザインにするのは難しいです。自分の趣味を押し付けていいわけではないですからね。
でもそれ以上に、劇団の公演チラシは伝わるものにしないといけないという、強い思いがありました。
劇団演劇は特殊なものというイメージ
ラフ構想を描き始める前に他の団体はどういったチラシにしているのかを調べていたのですが…
こう、内容がごっちゃりしていたり、難しい単語が並んでいたりしていて、「?」が頭に浮かぶものが多かったです。
有り体に言ってしまうと、独りよがりというか、自己満足と言うか。内容が難しいものなのかもしれませんが、お客さんに伝えようという意思があるのか疑問を感じました。
劇団チラシのデザインについての記事も見つかりましたが、やはり私と同じような意見であり、また素人感丸出しのものを作るところが多い、とのことでした。
中にはタイトル通りでありわかりやすいものもありましたが、文字が多すぎたり、あらすじがよくわからなかったりするものも多々目にしました。
調べて分かったことは、地下アイドルのような、アンダーグラウンドなものがというのが一般人から見た演劇のイメージのようですね。おそらく、下北沢辺りでの印象が強いような気がします。
実際、高校の頃に演劇を目指す友人に連れられて観劇したのですが、まさにそれで全然内容が理解できず、こんなに難しいものなのかと一気に演劇が嫌いになってしまった程です。
何度も白紙に戻す
実は、今回デザインを依頼される前に一度劇団ぺりどっとさんの舞台を観劇した経験があり、演劇ってこんなに面白いんじゃん!と思い直せる程、楽しかったです。そして、その時脚本・演出をした方からの依頼でした。
イメージが浮かぶ度に描いては消し、描いては消しで、なかなか納得のいくラフが描けない日々が続きました。
あまりにも自分の絵柄が出すぎてしまったり、枠に収まらなかったり、見方によっては別の意味に見えてしまったり…要因は様々でした。
ジェネレーション(世代)がキーワードの物語ということで、
・昭和(巳)、平成(午、未)、令和(亥)の干支を使う
・学生物なので制服を着せる
などいくつか条件があったので、それにも沿うように試行錯誤の繰り返しでした。
元々アニメーションが専門だった為グラフィックデザインは学んでいなかったので、フォントの大きさやら位置やら、色がどうのとか調べつつ進めました。色彩学は学んだので、少なからず力にはなったと思います。
アイデアは突然降ってくる
だいたい皆そうなのではないかと思いますが、アイデアは唐突に湧いたりします。何かを調べている時、関係ないものを見ている時、本を読んでいる時…
今回は、こんな感じにしてほしいというラフをいただいていたので、大まかな印象は決まっていたのですが、いざ描くとなると何を描き込んだら説得力のあるものになるのか、という点で煮詰まっていました。
ラフの通りに描けば勿論進捗は進みますし、オーダーに沿ったものにもなります。でもそれではデザイナーの名が廃ります(プロではないけれど)。
今回突破口になったのは、「チョークアート」でした。
たまたまLineスタンプの新着を眺めていて、これだと閃きました。
学校といえば黒板。そして、キャラクターは生きているものでなくても良いわけです。ならば、A4のキャンバス内に黒板を作り、その黒板にキャラクターを描いてしまおう!きっと、会議に飽きた生徒の誰かが描いたのでしょう。
こういう、ストーリーが読み取れるようなものを描きたかったのです。
とはいえ、絵に込めたものを読み取ってくれる人がどれだけいるか、という話ですが…
そこは、そんなに期待はしていませんでした。
受け手は、ぱっと見の印象の方が大事だからです。
絵の力
本の表紙買いという言葉があります。
まさにそれで、ぱっと見面白いとか、気になるという、人を引き留める力があれば、一先ずデザインとしては成功だと考えました。
正直自分の絵にどれだけの力があるのか、見当もつきませんでした。普段から創作活動はしているものの、そこまでの人に見てもらえているわけでもないのでそこまでの力があるかどうか不安でした。
かといって、製作者本人が自信のないものを世に出すわけにはいかないので、出来るだけやってやる、と完成まで漕ぎつけました。
演者の方々からの評判は上々でした。特に女性から可愛いという声が上がったようでよかったです。
情報とSNS
裏面デザインの話をしていませんでしたが、そちらは表面よりも先に案が浮かんでおり、それをそのまま形にすることが出来ました。
今回の公演のテーマの一つに「SNS」というのがあり、現在人気のSNSが何種類もあります。その中で私もよく使う「Twitter」「Instagram」「LINE」「Youtube」に似た画面に情報を載せることにしました。
デジタルなものがアナログな紙面に描かれている…
現代をちょっと皮肉った感じにできたかなと思います。
裏面についても、演劇チラシにはないデザインで面白いとの声をいただきました。たまには普通じゃない、面白みのあるものを差し込んでもいいんじゃないかと思います。
観劇に来るお客さんは、演劇関係者や演者さんの知り合いが多いのでチラシより劇の内容の方が重要なのだと思いますが、それでもチラシを見てどうだったかはちょっと聞きたかったですね。
今回チラシのデザインをさせていただいて、色々なことを学びました。
元々グラフィックデザインの基礎を学んでいないこともあり、デザイン本を購入するなどして知識を深めているところです。
また機会があれば、是非デザインの仕事に挑戦したいと思います。
ちょっとしたところからでも、少しずつ出来ることを増やしていきたいです。
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