爆発ガール

 彼女は危険だよとみんなが城田まさしに言ったが、まさしはそんなことに聞く耳を持たなかった。彼は尾花咲子に夢中だったし彼女と付き合えるならどんな危険が待っていようが向き合う覚悟だった。城田はこう思う。誰だよ咲子を爆発ガールだなんて言い出したのは。確かに彼女は男を避けるところがある。私に半径1メートル以内に近づいたらあなたは身の破滅よ、なんて高校生のくせに大人びた事を言う。多分彼女生まれてから人に騙されどうしでだからそんなことを言って人を遠ざけてしまうんだ。

 城田は下校中に彼女に告白しようと勇気を出して立ち上がり、相変わらず他人から半径1メートル距離をとって一人歩いている尾花咲子の後を追った。僕が君の孤独を癒してあげる!君を救えるのは僕しかいないんだ!君はもう素直になっていいんだよ、さぁ僕の胸でお泣きと城田が尾花咲子に向かって告白しようとした瞬間である。尾花は突然後ろを振り向くとものすごい形相で城田まさしを睨みつけたのだ。城田は尾花の形相にビビったが、それでも怯まず告白した。
「ぼ、僕はずっと君が好きだったんだ!いつも何故かみんなから半径1メートル離れて歩く君を見ていたんだ!何故君はそんなに孤独なの?何故君はそんなにみんなを避けようとするの?できれば僕が君の孤独を分かち合いたい……」
「なにバカなこと言ってんのよ!アンタ私ずっと言ってたよね!私に半径1メートル以内に近くなって!ああどうしよう……ああ!もう手遅れだわ!もうおしまいだわ!」
「なにバカなこと言ってるんだ!まだ手遅れなんてことが……。あれ……なんか体が膨れていく!あぶぶおばなさんだぢげで……。ひっ、ひでぶーっ!」

「だからあれほど私に半径1メートル以内に近くなって言ってたのに。これで人を爆発させたのは三回目。本当に自分の静電気が嫌になるわ!」
 尾花咲子は爆発してもはや人肉のこま切れとなってしまった城田まさしに黙祷すると今のことは忘れてしまおうと決意しそのまま自宅に帰った。


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