口説き文句

「ブリジット・バルトーとジェーン・バーキンのどっちが好きだとかか、モーツァルトとベートーヴェンのどっちが偉大だとかそんな関係ない話をして何が楽しいんだい？僕はもっとリアリティのあることを話したいんだ。今日はもうそんな有名人の名前を並べるのはやめろよ。ピカソとマティスとか、ストラヴィンスキーとシェーンベルクとかダヴィンチとミケランジェロとか太宰治と三島由紀夫だとか今から口にするのは禁止さ。目を逸らさないで答えてくれよ。僕といつも君に絡んでくるアイツ。君はどっちを選ぶんだい？」

　彼女は同僚の突然の告白に驚いて口籠もってしまった。いきなりなんて事を言うのだろう。私の気持ちは既に決まっているのに……。

「バカね、そんなこと決まってるじゃない。あなたの言う君に絡んでくるアイツよ。あのぬ、あなたには言わなかったけどアイツとはもうエッチ済みなの。じゃあね。今日はとっても楽しかった。代金はあなたが全部払ってね！」