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眠れない夜のために

 夏の夜はどうも寝苦しい。というわけでこんなことをただ書いている。そういえばヒルティというスイスの哲学者に『眠られぬ夜のために』という本があるのを思い出した。この本は岩波文庫で翻訳が出ており自宅にあるが、知的怠け者の私は一度も本を開いていない。なので内容についてはタイトルから想像するしかないが、眠られぬ夜の時間をどのように過ごすか、ざっくりいえばどのように時間を潰すかが書かれた本のように思える。しかしそんな物を読んだら却って寝られぬ気もするし、第一わざわざ本を取りにいく気力もない。毎夜人の睡眠を妨害し痒みの地獄に陥れるあの蚊さえ寝静まった真夜中。私は一人目をガン開きにしてこれを綴っている。

 不眠、ホメロス マンデリシュターム。

 思いついた言葉の自動筆記。

 五目並べに揃えられた夜の星々。

 朝明けの鶏の鳴き声を肴にして

 フクロウは眠る。

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