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短編

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#小説

続・札幌でサッポロ一番を食べる ~彼女と過ごした奇跡の三日間

一日目  こうして僕はまた北海道に帰ってきた。勿論また札幌でサッポロ一番を食べるためだ。…

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バンド解散

 楽屋は重苦しい空気が立ち込めていた。人数分の紙カップのコーヒーだけが置かれた折りたたみ…

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欠勤届

「お前なんだよ昨日の欠勤のメールは!『体調が悪いから欠勤します』ってこれじゃなんもわかん…

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哲学的コント:プラトンとクセノポン

 プラトンとクセノポンは共にソクラテスの弟子であった。二人はソクラテスがアリストパネスの…

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ロシア文学秘話:チェーホフとスタニスラフスキー

 チェーホフは小説家としてより戯曲としての名声が高いといわれている。彼の戯曲家としての名…

秋(空き)時間
3週間前
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嘆きの壁

 壁画に描かれた女。彼女の無表情な顔はいつも濡れていた。それは壁画を見た人なら誰だって涙…

秋(空き)時間
3週間前
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ロシア文学秘話:ドストエフスキーとツルゲーネフ

 ドストエフスキーとツルゲーネフの仲が悪かったのは有名で、特にドストエフスキーは激しくツルゲーネフを憎み自作の小説で彼のスキャンダルさえ取り上げてぼろくそに貶していた。ツルゲーネフもまたドストエフスキーを軽蔑し彼の性格とその小説をロシア版サドだと言って忌み嫌っていた。  しかしこの二人は最初のうちは互いに非常に好意を持っていたのである。処女作『貧しき人々』を出した新人作家ドストエフスキーは兄への手紙でツルゲーネフが自分の作品を激賞してくれた事を綴っているが、その褒められたこ

無縁坂

 昼下がりの無縁坂は鬱々とした曇り空が名前通りの陰気さを醸し出していた。坂といいながらさ…

秋(空き)時間
3週間前
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ロシア文学秘話:プーシキンとゴーゴリ

 十九世紀に活躍した詩人で小説家のアレクサンドル・プーシキンはロシア文学の祖と呼ばれてい…

秋(空き)時間
3週間前
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ロシア文学秘話:マヤコフスキーの後悔

 ロシア革命が起こり人類初の社会主義国家ソビエトが誕生してから五年以上経った。革命の熱狂…

秋(空き)時間
4週間前
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ロシア文学秘話:トルストイを訪ねて

 汽車がヤースナヤ・ポリャーナの駅に着いたのでチェーホフは汽車からホームに降りた瞬間突然…

秋(空き)時間
4週間前
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ロシア文学秘話:トルストイの家出

 トルストイ家では何もかもが混乱していた。世界的な大文豪であり、その名声はニコライ皇帝を…

秋(空き)時間
1か月前
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文学とジャズ

 この間大学時代の親友と久しぶりに会った。道端でバッタリあってしばらく立ち話をしていたら…

秋(空き)時間
1か月前
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私の旅路

 住む場所から離れると不思議と自分が裸になっていくような感覚を覚える。それはきっと自分が社会で生きるために無意識に身につけたいろんなものがリセットされるからだろう。わたしたちのいる世界とまるで価値観の違う世界では、今まで培った知識や経験はまるで役に立たない。そんな世界で生きていけるのかと人は問うだろう。だけど人生は旅だ。見知らぬ土地に行くばかりが旅じゃない。そこで違う価値観を持った人たちと出会うのもまた旅だ。見飽きた世界から見知らぬ世界へ旅立つ私。きっとそこで私は予想だにして