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<本当の自分>はひとつじゃない。

平野啓一郎さんの『私とは何か――「個人」から「分人」へ 』という本を読んだ。

分人」とは、対人関係ごとの様々な自分のこと、と定義されている。

家族に対する自分、友人に対する自分、同僚に対する自分、上司に対する自分、赤の他人に対する自分…

この本を読むまで、人によって態度を変える「仮面」を被る自分が嫌いだった。「仮面」を被り過ぎて<本当の自分>を見失っていたと思っていたから。

この本では「分人」を肯定してくれる。
仮面のすべてが<本当の自分>であると。

そして「分人」は他人で依存する。
その人に合わせて、自分が作り出すもの。

つまり、「好きな人」と付き合えば、自分にとっても「好きな分人」が生まれ、「嫌いな人」と付き合えば、「嫌いな分人」が生まれる。

しかし、すべてが<本当の自分>であるならば、
自分が好きな「分人」を軸に生きていけばいい。要は、比率の問題である。

今日、一つのコミュニティだけで生きていくことは不可能である。
それならば「分人」を受け入れて、自分の精神状態に合わせて比率を決めてしまえばいい。

最後に一文、この本からの引用で締めたい。

もし、好きな分人が一つでも二つでもあれば、そこを足場に生きていけばいい。

私とは何か――「個人」から「分人」へ (講談社現代新書) 平野 啓一郎 (著)

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