見出し画像

特注じゃない既製品で宇宙に行くロケットを作る。ユニークでハードルが高いから面白いんです。

こんにちは、インターステラテクノロジズ(以下、IST)広報チームです!

地上から宇宙空間までの間、風などの影響を受けず期待した方向へロケットを飛ばすために、常に姿勢をコントロールし舵取りをしていることをご存知ですか?MOMOでは、方向を確認するためのジャイロセンサとエンジンの向きを変えるジンバルを設置して姿勢を制御しています。望んでいる場所に正確に飛ばすために、無くてはならないこの機能を作っているのが、メカトロニクスチーム。少数精鋭のISTメカトロニクスチームにお話を聞いてみました!

本日、インタビューに応えてくれたのは、東京支社(千葉県浦安)で勤務するメカトロニクスチームの3名、鈴木紘彬さん、森琢磨さん、木下直樹さんです!

画像1

<写真左から>
木下 直樹(きのした なおき)
1996年生まれ。大阪府摂津市出身。2017年4月にオークマ株式会社入社.2020年5月より現職.MOMO/ZEROのメカトロユニット開発を担当。

鈴木 紘彬(すずき ひろあき)
1993年生まれ。宮城県仙台市出身。2014年にIST入社。MOMO/ZEROのメカ設計・構造設計・生産技術・工場立ち上げなどを担当。

森 琢磨(もり たくま)
1978年生まれ。栃木県出身。2013年よりなつのロケット団参加、2016年4月より現職。MOMO/ZEROのアビオニクス開発(基板ソフトウエア等)、およびメカトロニクスのエレクトロニクス部分担当。


どんな経緯でISTに入社されたんですか?ISTに入社した決め手を教えてください。

森:「なつのロケット団」で面白いことをやっているなと思ったのが一番最初のきっかけです。国内でゼロからロケットを作ろうだなんて、そんな発想する人たちがいるなんて思ってもいなかったんです。それで、面白そうな人たちが集まっているし、自分が電子系で手伝えたので参加したら、いつの間にか入社しちゃってましたね(笑)

IST豆知識
ISTの前身は、宇宙機エンジニア、科学ジャーナリスト、作家らが集まり、国内における民間宇宙開発を目指す組織「なつのロケット団」。当時はメンバーが住むアパートの風呂場で最初のロケットエンジンの水流し実験を繰り返すなど、ISTのゼロから作る精神は「なつのロケット団」から養われたものです。詳しく知りたい方はこちらをご覧ください!

鈴木:僕は新しいものを作りたかったんです。”世界一低価格で便利なロケットをつくる”って、コンセプトとしてもユニークですよね。
僕が入社した2014年は、ジンバル(ロケットの姿勢制御のために必要な部品)を作るために、秋葉原のラジコンショップで売っているようなものを組み合わせてやってた頃で、メカをやっているスペシャリストがいなかったんです。人も少なかったので何でも出来ると思ったし、実際に本当に何でもやっています(2020年冬に完成する大樹町本社の新社屋の責任者も担当)。

画像7

木下:僕は2020年5月に入社したので、二人に比べると最近のことです。
ISTを知ったのもMOMO初号機を飛ばしたのがきっかけです。その時は、面白いことをしているなと思って、チラチラ眺めていました。MOMO3号機のときは、クラウドファンディングで支援していたくらい興味がありました!もちろん、今までロケットに詳しいわけでもなかったので、入社しようなんてその時は全く思っていなかったですね。
入社したのは、たまたま、2020年1月に採用イベントを東京で開催することを知って、募集要項を見てみたら「メカトロニクス」って書いていたんです。「もしかしたら関われるかも」と思って応募したんです!

森・鈴木:そうだったの!?


そんなみなさんは、いつも東京支社で働いていますよね?東京支社はどんなところですか?

鈴木:千葉県浦安市にIST東京支社と浦安工場があって、メカトロニクスチームの主な勤務場所は、この2ヶ所です。一緒に仕事をするアビオニクスチーム(電子装置チーム)がこの2箇所にいるのと、部品の調達を考えると浦安のほうが利便性が高いため、メカトロニクスチームは東京支社と浦安工場に勤務場所を構えています

森:実は、メカトロニクス部分に必要な部品は、ミリメーター単位のとても小さな部品を、ものすごく大量に使います。あんなに大きなロケットは、じつはこの小さな小さな部品たちが重要な役割を担っているんですよ。なので、工作機械や道具も全て、入手しやすい浦安なのです。

画像4


普段はどこでどんな仕事をしているんですか?

鈴木:普段は東京支社をメインに、浦安工場と大樹本社を行ったり来たりしています。時期によって異なりますが、ロケット打上げに向けて、設計・製造・試験を繰り返しています。

森:本社(大樹町)は朝8時15分から朝会がありますが、東京支社はそれには出ずに、わりと自由に出社しています。

IST豆知識
現在ISTが飛ばしているのは『MOMO』という高度100kmの宇宙空間を経て海に着水する、弾道飛行を行う観測ロケットです。『MOMO』の技術を応用し、高度500kmの地球周回軌道に100kgの超小型人工衛星を運ぶロケット『ZERO』も絶賛開発中です。『MOMO』を飛ばしながら『ZERO』も開発するという、とっても面白いタイミングです!

鈴木:どんな仕事をしているかというと、例えばロケットを定められた軌道へ飛行するために姿勢制御を行うジンバルは、エンジンの炎の吹く向きを動かす部品です。GNC(誘導航法制御)チームから要件をもらって、それを設計に落とし込んで作っています。実際にはエンジンを振るのですが、ロケット自体ものすごい速さで飛行しているので、ジンバルも一定以上の速さで動かさないといけません。加えて、エンジンはかなりの重さがあるため、安定して振ることができるよう軽くて頑丈にする必要があります。こういうリクエストをもらって、メカトロチームで設計に落とし込み、作っていきます。ジンバル自体、要件を満たせた作りになっているかの確認はメカトロニクスチームで行い、組み込んで制御が問題ないかどうかはGNC(誘導航法制御)チームで見たりしています。

森:設計が固まっているものは、完成物だけ本社(大樹町)に送って試験したりしていますが、作っている最中のときやロケット打上げ時には本社に行ったりしていますね。

画像2


他にはどんな部品を作っているんですか?

鈴木:ジンバルの他にも、モーターで動く電動バルブですね。『MOMO』は、エタノールと液体酸素を推進剤としています。この2種類をエンジンの燃焼室に送り、点火して燃やすのですが、そのエンジンに送り込むための弁です。あとは、液体酸素タンクの圧力を外へ逃がすためにも使われています。
液体酸素は非常に低温で、沸点が-183度なんです。そんなに冷たい場所でモーターを回さなければならないので、断熱機構を使って冷えないようにしていて、グリスも低温でも機能するようなものを使ったりしています。それにエンジンに近い位置にあるので、振動がすごいんです!その振動に耐えうるものを作らなくてはならないので、かなり気を使っている部分ではありますね。

画像5


『ZERO』の開発が始まっていますが、『MOMO』と比べての変化はありますか?

鈴木:ZEROを作るにあたって、やることがかなり増えています。我々が作るものは、一般の製品には無いくらい、極限の環境で使われるものなんですよね。例えば温度でいうと、電動バルブのように-183度で使われるものもあれば、600度を超える高温の場所で使われることもあります。どちらも極端ですよね、なので設置する場所によって使う部品が全然違うんですよ。
それに加えて振動もありますから、そういったことも加味して設計・製造をしていかなくてはならないんです。

森:それに、ZEROに向けて軽量化をしっかりとやっていかないといけなくて。かなり切り詰めて設計しながらも、100%動くことを担保しなきゃいけないですね。


さらなる挑戦が待っているんですね!どんな経歴であれば、入社後に大活躍できますか?

森:今はとにかく人が足りていないですね!

鈴木:特に、モーター関係や、試験関係が足りてないです。モータドライバを作ったり、設計から、実際に動かして試験まで出来る方がいたら理想です…!

森:ロボコンやってる人だったら大丈夫だと思います。

木下:モーターを使った設計や制御をしている人だったら大丈夫ですね。

鈴木:あと、これはよく聞かれるのですが、宇宙好きじゃなくても全く問題ありません。ちなみに僕は、宇宙オタクでも何でもないです(笑)

森:もちろん、とっても宇宙が好きな人も多いですし、意外とそうでもない人も多いので、安心してください。

画像6


ISTのおすすめポイントを教えてください!

鈴木:ISTでは、何でも出来るんです。例えば、自社で設備も持っていて、振動試験機、真空チャンバーなど、自分で作ったものは全部自分で試験ができる環境です。設計ソフトも充実しているし、工作機械を動かして自分でも作りますし、やりたかったら何でも出来るのがオススメです。

木下:ISTって、前向きな人が多いんです。環境的に自分たちで何でもやれる、というのもありますが、自分でこれがやりたいとか、何かしたい、と思っている人が多くて、一緒に働いていて気持ちが良いですね。

画像7


メカトロニクスという立場でISTでロケットを作る面白さってなんでしょうか

森:ロケットって、特別な部品を使って、めちゃくちゃ高度なことをしている、って思われがちなんですが、実はそうじゃないんです。ロボコン界隈で使われているようなギヤボックスを使ってロケットを作っているんです。意外ですよね?

鈴木:そうそう、それに「とりあえず動く」ものを作ることはそんなにハードルが高くないんですよ。でも「一発で確実に正しく動くものを作る」ことはめちゃくちゃ難しいんです。1つでもダメだったらロケットが飛ばないですから。

森:1つ1つはちゃんと動いてても、組み合わせた時にどうなのか。組み合わせて確実に全体が動いて、しかもそれが宇宙品質のものではなく普通に売っているもので実現することのハードルが高いんですよね。
そのハードルの高いことに、様々なバックグラウンドのメンバーが知識を持ち寄って作っていることが最高に面白いことだと思うんです。色々整ってないのでやらざるを得ないだけなのですが(笑)

鈴木:僕は、完全に新規設計なところにも面白さを感じています。既製品も取り入れながら宇宙に行くロケットを作るって、正に「今までになかったもの」。それを作る醍醐味は日々感じています。

木下:本当に新しいことに挑戦していけるのは、メカトロニクスチームというか、ISTの挑戦の高さでもあるし面白さですよね。それに加えて、自分で考えて仕事を進めていけることに、やりがいを感じますね。


***


ISTでは、メカトロニクスエンジニアを募集中です!
採用に興味をお持ちの方、応募を希望される方は、インターステラテクノロジズホームページよりお問い合わせください。

募集要項
http://www.istellartech.com/recruit

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?