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今なら「このロケットの設計図、俺がほとんど作ったぜ」って言える。ロケット全体の骨組みを作る構造班は、今がアツい!

こんにちは、インターステラテクノロジズ(以下、IST)広報チームです!

今回は少しお久しぶりの社員インタビューで、ロケット全体の設計を行う構造班のメンバーにお話を伺いました。

「専門知識がないとロケットの設計はできないのでは?」
という声が沢山聞こえてきそうですが、取材をしてみて分かったのは、「他業界からの転職で、構造班は特におすすめ!」ということ。
「ロケットに興味はあるけど、自分は貢献できるのだろうか」と躊躇している方に是非読んでいただきたいです!


ロケットの骨組みを作っている構造班のシゴトとは?

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今回は構造班の皆さんに、ロケットの設計について伺っていきたいと思います!
まずは皆さんの経歴やIST入社のきっかけを教えて下さい。

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【安 晋一(あん・しんいち)】
1996年生まれ。兵庫県神戸市出身。2017年に東海大学工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻を中退。2017年にIST入社、現在は観測ロケットMOMO機体、および地上設備の詳細設計を担当。


大学は航空宇宙学科に進学していて、学生ロケットプロジェクトで小型のロケットを設計・製作したりしていました。実はその時も大樹町で打上げ実験をしてるんです。
ISTには3年前にアルバイトとして入社して、1年半ほど前に社員になっています。
CADオペレーターとして入社したはずだったんですが、最初の1年間は図面を描きながら現場と工場の仕事をしていました。今は設計の仕事が中心ですね。

寺川
大学院卒業後、EPCコントラクターで化学プラントを建設する仕事をしていました。本業はエチレン分解炉を専門とする機械屋です。
ロケットエンジンもロケット構造も専門外だったので、入社してからは機体システムは山中さんに教わり、液体ロケットのエンジンシステムは独学で勉強しました。極低温流体や高温高圧機器の経験があったおかげで、新しい分野ながら共通点も多く、理解が早く進んだと思います。
ISTに入社したのは2年前ですね。MOMO2号機の打上げ1週間前だったんですが、入社早々2号機が失敗してしまって、少し不安になりました(笑)

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【寺川 健(てらかわ・けん)】
1989年生まれ。兵庫県養父市出身。2014年 北海道大学工学院機械宇宙専攻修士課程修了後、東洋エンジニアリング(株)入社。2018年より現職。ZERO機体構造系、エンジン詳細設計を担当。

山中
元々大学で航空宇宙工学を勉強していて、推進系の研究をしていました。
卒業後はロケットシステムメーカーに6年ほど勤めて、今年の4月にISTに入社しました。
メインの業務は機体システムですが、アドバイザーとして構造班にも顔を出しています。
前職では概念設計レベルでしか構造には関わっていなかったです。

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【山中 翔太(やまなか・しょうた)】
1989年生まれ。長崎県長崎市出身。2014年 東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻修士課程修了後、IHIエアロスペース入社。2020年より現職。MOMO・ZEROの機体システム、およびMOMOの品質保証を担当。

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では、構造班が普段どんな仕事をしているのかということから教えて下さい。


ロケットの「構造」と言われるとあまりピンとこないかもしれないですが、要するに「ガワ」、簡単な言い方をすると「骨組み」を作っています。
「エンジンや電子装置以外のハードウェア、骨組み」の設計ですね。
新しく機体を設計する時の流れを簡単に説明すると、
システム班から「ロケットがこういう飛び方をするので、こういう力がロケットにかかります」と教えてもらう

それを元に、ロケットが壊れないような材質や形、寸法を計算して設計する

工場の製造班に加工を依頼する
という順番ですね。

山中
どういうことを考えて設計するのかというと、まず第一に”作りやすさ”ですね。
打上げ直前の点検もやりやすいように作っています。例えば、何度もコネクターの付け外しをしないと点検が出来ないのなら、不具合が起きやすくなってしまいますよね。なので運用しやすい機体にするというのが第一に考えることですね。
二つ目に考えることは、先程安さんもおっしゃっていたように、ロケットには数トンレベルの大きな負荷がかかるので、それに”耐えられる設計”にするということ。
三つ目は、”振動に耐える”ということですね。構造に共振が起こると、それだけで壊れてしまう可能性もあるので、振動を許容するための剛性設計を行っています。
最後に、ケーブルがバタつかないような艤装設計。ハーネスなど、電子機器を繋ぐケーブルが適切な長さで留められているかももちろんのこと、液体ロケットではガスの配管なども大量に入っているので、"全てがちょうど良く留まっているような設計"にしなければいけないんです。
大きく分けるとその四つのことを考えてロケット全体のハードウェアを見ています。

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ロケットの頭からおしりまでを、それだけ多くのことを両立させながら設計するのは難しいでしょうが、やりがいも大きそうですね!ちなみにバタつくというのは、飛んでいる間に壊れてしまうということですか?

山中
そうです。
ロケットって飛んでいる間にものすごく振動がかかるんですよ。音も大きいので、その振動で壊れてしまうこともあるくらいです。

組立用MOMO3全体外観図_MOF3 (1)_page-0001

「宇宙品質にシフト MOMO3号機」の全体外観図


制約があるからこそ、設計は難しくて面白い

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ロケットの設計で一番難しいのはどういった点ですか?


構造が果たすべき機能は、極端に言うと「壊れないこと」です。
もちろん、なるべく軽量にしたりだとか、他に考えないといけないことはたくさんあります。でもエンジンのように派手で性能を追及するようなものではなくて、壊れなければ最低限OKなんです。
壊れないように構造を設計するのはロケットに限った話ではなく、車や家電など、モノを作る上での大前提の部分なので、実はそんなに他の業界の設計と違いはないかもしれません。

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2020年6月14日に打上げを実施した「えんとつ町のプペル MOMO5号機」の設計も全て構造班が行っています


山中
他業界との違いというと、航空宇宙産業では「軽構造」が重要になってくることですね。
モノを作る時には安全率ということを考えます。「これくらいの荷重がかかるけど、余裕を持ってこれくらいの荷重がかかっても壊れないようにしよう」という値ですね。
例えば10kgのものを置く棚を作るときに、偏った置き方をしてしまうかもしれないだとか、荷物を置く際の勢いを考えて、100kgのものを置いても耐えられる設計にします。これは安全率が10倍であるということです。
建築だと10倍を超えることも一般的だと思うんですよ。でも我々は機体を軽くするために1.2~1.5倍くらいのほとんど余裕がない設計にしています。
その中で、航空宇宙業界特有の問題もクリアしてなければいけないんです。座屈も考慮しなければならないし、亀裂が伸展するかもしれない、温度が高い部分もあるので高温クリープも考えなければいけない・・・一般的な機械よりも検討すべきところが多いのがロケットの難しいところですね。

寺川
高温クリープもそうですが、特にターボポンプなど高サイクル疲労領域で使うような、何千ヘルツの振動に晒されてる部品も多いんです。でも使っている材料はアルミなどのクリープ材なので、疲労曲線が飽和しない領域で使う部品が多い。だから破壊が予測しづらいんですよね・・・。
自動車だとテストコースで試験ができますけど、ロケットだと打上げでしか検証できないというのは大変ですね。

山中
そうですね、試験で完全に模擬するということが出来ないのはロケット特有の難しさかもしれません。

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以前アビオニクスチームの皆さんに伺ったときも、試験が出来ないのが難しいとおっしゃってました。

山中
そうですね。
ロケットは飛んでる間に空気の力などを受けるので、いろんな仮定を入れながら試験をします。試験のための道具の作り方次第で試験結果が変わりますし、「フライトの条件を模擬出来ているか」ということに大きな影響を与えることもあります。
まとめると、
・余裕がない上に色んな検討しなければいけないこと
・試験も工夫しなければいけないことがかなり多いこと

が難しいところですかね。

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「MOMO2号機」段間部圧縮試験の様子


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そんな中で、みなさんのやりがい、仕事の面白さってどういうところでしょうか??

寺川
構造班は花形ではないですけど、構造がないとロケットは飛ばないところですかね。エンジンとコンピューターだけあってもロケットは飛ばない。
ロケットのインフラとでも言うんでしょうか。

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おお、ロケットのインフラ!

寺川
ぱっと機体を觀た時、目に入るのは何でしょう?ペイロードが入るフェアリング(頭の部分)と、胴体と、エンジンと・・・実は一番大きい胴体の部分こそが構造班の担当なんです。
ちなみに、フェアリングやエンジンにも構造設計は必要で、MOMOの場合はそれらも構造班が図面を書いています、つまり外から見える部分はすべて構造班が担当しているんですよ。
橋とかダムとか・・・それこそ水道を作っているみたいな感じですかね。
水があっても水道がないとだめじゃないですか。なのでロケットのインフラという感覚ですね。



私は実際に図面を書いたり、ものを作ることが好きなので、部品とかを作っているのが楽しいですね。

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安さんが設計したフランジ


MOMOの改良、ZEROの開発…構造班は今がいちばんアツい!?

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構造班のホットトピックは何かありますか?


新しい機体の設計ですね!
現行の観測ロケット「MOMO」の改良版にあたるもので、システム班と仕様を詰めていってる段階ですね。現行機より信頼性や能力をあげていくために多くの項目を検討していきます。
ロケットのフルモデルチェンジは珍しいので、今一番アツい仕事といっても過言ではありません!
軌道投入ロケット「ZERO」も、燃料や酸化剤をいれる推進剤タンク等の要素部品の試作を進める計画があり、今年の夏と秋は忙しくなりそうです・・・仲間を求めてます!


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今のタイミングは本当に面白いですよね!ちなみに他業界からの転職だとどういう方が構造班で活躍できるんでしょうか?

寺川
図面を描ける人とか・・・?

山中
うん、特に、先程話した剛性設計とか亀裂伸展とか、そういうことをやったことがある人なら入りやすいと思いますね。

寺川
輸送機器をやっている方は結構向いているとは思いますね。電車、船舶、飛行機、自動車など。

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ロケットの打上げ当日は、打上げ運用メンバーとして燃料(エタノール)の充填作業なども行う


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使えなければいけないソフトなどはあるんでしょうか?

寺川
入ってから覚えてもらえれば大丈夫です。
使っているソフトも各社で違うかと思うので。


Googleが使えれば大丈夫です(笑)

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意外とハードルが低くてびっくりしてます。

寺川
ハードル低いですよ!
社内的にもロケット業界全体で見ても、人数が少ない分野なのが不思議なくらい。


他業種から一番入ってきやすいのは構造だと思います。
工学的な基礎素養があれば、最低限の条件は満たしている状態だと思います。どんなものを設計していても必要な知識なので。

寺川
一番入りやすいというのはあると思いますね。
ロケットだからといって、高圧ガスとか極低温流体とか、そんなマニアックな経験は必要ないです。

山中
そうそう。
さっき私が話した4つの要素(運用しやすい機体、負荷に耐えられる設計、振動を許容するための剛性設計、艤装性)っていうのは、機械の設計、特に輸送機械の設計をされてる方は、皆さん考えてることだと思うんですよ。
その能力さえあれば、文字通り即戦力になれるんです。他業界から転職してきて即戦力になれるのは構造班だと思います。


今なら「このロケットの設計図、俺がほとんど作ったぜ」って言える

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即戦力の方に入っていただけたら嬉しいですね!
寺川さんと山中さんは転職でISTに入社してますが、他社とは違うISTの特徴などはありますか?

寺川
自由なことかなあ。少人数ならではかもしれないけれど。

山中
人数が少ないのは特徴ですよね。
社員数が多い会社だと、いろいろな部署と関わり合いながら進めなければいけないので、組織内での調整が大変なことが多かったんです。
ISTの場合は人数が少ないので調整作業が楽なのは良いですね。部署にとらわれた縦割りで部分的な関わりではなく、材料調達から打上げ本番の点検まで一貫して構造班が関わっています。
もちろんどちらが正しいということではないですが、トータルで見たい人にはISTは楽しいと思いますよ。

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山中さんは普段浦安勤務ですが、不便はないですか?

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浦安工場には大型の横中ぐり盤があり、肉薄の構造部品を加工しています


山中
浦安勤務と言いながら、先日数えてみたら半分以上大樹町にいることが判明しました・・・

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半分超えてましたか(笑)

山中
それもISTの特徴とも言えますね。
私のように浦安常駐という名目でありながら、半分以上大樹町で勤務することも出来ますし、もちろんほとんど浦安で勤務していて打上げのタイミングでしか大樹町に行かない社員もいます。そのあたりも自由です。
大樹町に滞在するときには、会社で所有している合宿所があるので宿泊代もかかりません。
あと最近はZoomで各オフィスを繋げていて、相談したいことや話したいことがあればすぐに声をかけられる環境もあるので、大樹町と浦安と離れていても不便は感じませんね。

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Zoomを活用してますよね。オンラインでもすぐに顔を合わせて話せるというのがすごく良いと思います。
では最後に、皆さんがどんな人と働きたいか、また、即戦力募集のためのアピールポイントをお願いします!

寺川
人材募集をする上で、大きく分けて2パターン考えています。
一つは中堅以上のベテランの方。今のISTは若手社員が多いので、指導もできるような立場の方がいると良いなと思いますね。でも教育や指導だけでなく、積極的に手を動かせるかというのも重要です。
もう一つは若手の方。センスが良ければ新卒の方でも構わないです。広く機械に興味を持って勉強してくれるような、素直で吸収力の高い方と働きたいです。
機体全体がやりたい人はぜひ入ってきてほしいですね。中途の方で、「全部がやりたい!」とモヤモヤした思いを抱えてる人もいるかもしれないので。

山中
好奇心があったり、新しいことを吸収できる人が良いですよね。例えば「えんとつ町のプペル MOMO5号機」のノズル破損の原因究明で色々な論文を読んでいると、新しい分野に出会うことがあるんです。

【「えんとつ町のプペル MOMO5号機」打上げ結果に関するオンライン記者会見】

そういったときに「分からないからいいや」ではなく、知らないことでも勉強したり人に聞いたりして見識を広めた上で設計に反映出来る人と働きたいですね。
航空宇宙業界のハードウェア設計って、考えなければいけないことや細かい問題が次から次へと出現するので、ちゃんとそれを咀嚼出来る人が望ましいです。
あとは小さい企業なので、指示待ちになってしまうと仕事がなくなってしまうので、自分から仕事を取りにいったり、作れる人でないと厳しいと思います。


今はすごくタイミングが良いんですよ。
ロケットに興味がありながらも経験がないから分からない、と一歩踏み出せずにいる方でも、今ならMOMO改良型の設計に関われて、それを踏まえて大型(ZERO)の設計ができる。
しかもボヤッとした関わり方ではなくて、小さいロケットの実務から経験を踏むことができて、それから大きなロケット、というチャレンジが出来るのは今だけだと思います。
なのでまずは少しでも興味のある方はどんどん応募してきてほしいですね。

山中
確かに今が一番タイミングが良いかもしれない。
今なら「このロケットの設計図、俺がほとんど作ったぜ」って言える。
いきなり面接や選考ということではなく、ご連絡いただければ機体を見て頂くことも出来るかもしれないですしね。実際のモノを見たらイメージも湧きやすいと思います。
取って食ったりしないのでぜひ応募してきてほしいです(笑)

スクリーンショット (154)

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以上構造班の3名のインタビューでした!

ロケットの設計と聞いてハードルが上がっていた方、インタビューを読んでみて印象は変わりましたでしょうか?

もし興味を持っていただいた方がいましたら、ぜひご応募ください!

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