第25回 情報革命を乗り切る「神様の視点」
パナソニックの創始者であり「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助さんは、この世界を「生成発展」だとよく仰っていたそうです。
生成発展というのは簡単にいうと「どんどん良くなる」ということですね。
たとえば地球ができたときにはマグマが沸き立ち、二酸化炭素に覆われて、とても生命が育つような環境ではありませんでした。
しかし大地は固まって温度は一定になり、水分が循環して、多くの命が暮らしやすいように環境はどんどん良くなりました。
これは「地球の生成発展」ということができます。
また人類も同じように、誕生した時には猿と変わらない生活をしていたんです。
しかし火を起こし、畑を耕して米を作り、急速に文明を発達させて、生活の質はどんどん良くなりました。
これが「人類の生成発展」です。
わたしたちの人生も同じように、子供の頃は何の自由もありませんが、大きくなるにつれてじぶんでいろんなことを判断したり、選択できるようになります。
時には辛いこともありますが、それは発展のための学びとなるんです。
つまりこの世界もわたしたちの人生も、神様の愛情によってどんどん良くなっていく。そしてわたしたち自身にも、もっと良くしよう、もっと向上しようという性質が備わっているんです。
「生成発展」していくのがこの世界のルール。「天の理」なんですね。
最近でいうと、インターネットが発明されました。
今では誰もがスマホをもって、グーグルの検索サービスを使って、ネットで買い物をしますよね。
これは便利で素晴らしいことなんですが、こんなことになるなんて20年前まで予想もできませんでした。現在の社会はそれほど急激に変化しているんです。
この変化のスピードは、18世紀に起こった「産業革命」の時ととても似ているそうです。
それまで手作業でやっていたことを機械がやるようになり、大量生産ができるようにななったのが産業革命です。これによって人々の暮らしは一変してしまいました。
現代でも同じように、インターネットとPC、スマートフォンが登場し、大量の情報がやりとりされるようになったことで「情報革命」が到来したんです。
すごい勢いで社会が発展しているのは、これが原因なんですね。
情報革命は「革命」と言うくらいですから、誰も経験したことがないくらい発展のスピードが早い。法律も人々の意識も全然追い付かないんです。
そのため現在では「生まれた世代によって価値観が全然違う」という問題が起きていますよね。
しかしこれは決して悪いことではなくて、むしろ喜ばしいことなんです。人類が神様の愛情によって生成発展していく、その道中なんですね。
ただ、わたしたちはまさに「時代の変わり目」に生きているので、どんどん起こって来る変化に対応することが求められているのです。
わたしたちの身近なところでは「ユーチューバー」が影響力を持ったことが話題になりました。
大人から子どもまで、みんなスマホでYouTubeを見るわけですから、毎回面白い動画を上げる人が人気者になったんです。
現在ユーチューバーの中で人気一位の「はじめしゃちょー」という24才の方は、629万人の人から登録されていて、彼の動画は49憶回(!)再生されています。
こうした多くのファンを持つ人がネットで「この商品がとてもいい!」と言うと、その商品が何百万人の目にとまって、一気に売上ランキング一位になるということだって普通に起こるようになってきたんです。
世界で見ればもっとすごいことが起きています。若い世代に人気があるジャスティン・ビーバーというミュージシャンが「PPAPが面白い!」と一言言っただけで、その動画は一億三千万回も再生されることになり、古坂大魔王さんは億万長者になってしまいました。
どうしてこういうことが起きるかというと、ネット社会ではレビューや再生回数という形で、本来は見えない「人からの評価」が目に見えるようになったんです。
たとえばわたしがインターネットでものを買うときには、「レビュー」がどれだけあるかを見るんです。
お昼ご飯を食べに行くときにも、観光名所に行くときにも「レビュー」を見て、評価の高い場所を探すんですね。
レビューの数が多いということは、それだけ多くの人に評価されているので、はずれがないだろうという「信用」が生まれるんです。
これまでも、仕事や人間関係において「信用」が大切だとは言われてきましたが、インターネット社会になったことで「信用」があるところに人やお金があつまってくるということが、改めて浮き彫りになったのですね。
つまりわたしたちが豊かな人生を送るためには「人から信用してもらう」ということがとても大切だということなんです。
では、どうしたら信用ができるのでしょうか。
わたしが好きな天理教の言葉に「与えて喜ばせたら徳詰み」というものがあります。
今をときめく成功者たちは、この「与えて喜ばせる」というところから信用が生まれてくる。とにかく「ギブ&ギブ」することが大切だ、というんです。
たとえば最近、ちまたで有名なホリエモンや落合陽一さんなど、社会的に成功している若い世代の人が幻冬舎の「News Picks Book」というシリーズで本を出しています。
出すたびにベストセラーの大ヒットになる、すごいシリーズなのですが、なぜこの本がこんなに売れるかというと、「これからの時代がどうなっていくか」ということが書いてあるからなんです。
新しい仕組みがどんどん出てきて、急速に変化しているこの時代ですから、皆「世界はこれからどうなっていくのだろう」という不安を抱えています。
その不安に対して、成功している人たちが「これからの時代はこうなる!」とばっちり答えてくれるわけですから、読んだ人たちは安心できて、喜ぶ。
人の「ニーズ」に応えるように「与える」から、そこに喜びが生まれる。多くの人が欲しがっている情報を的確に与えて、悩みを解決してあげるから、ベストセラーとなるのですね。
また最近、ユニバーサルスタジオ・ジャパンが経営破綻寸前の状態から急成長し、日本のテーマパーク一位を獲得したことで話題になりました。
これも若者のニーズに応えるように「ワンピース」や「セーラームーン」「エヴァンゲリオン」など、人気のキャラクターを取り込んだ途端に、利用者が急増したんです。
人々が欲しがっているものを読み取り、それを与えてあげるところに、人気が生まれる。「ひとに与えて喜ばせたら徳積み」と教えていただくとおりですね。
つまりまわりから信用してもらえる人間になるには「相手が何を望んでいるのか」をしっかり考えて、それを与えてあげることが大切なんです。
そして「与えて喜ばせる」ときに重要なのは「じぶんも楽しむ」ということです。
与えると聞くと「じぶんを犠牲にして尽くさなければならない」と思う人がいます。
やりたくないことを我慢してやったり、じぶんの時間やお金を差し出さなければ人を喜ばせることはできない、と考えるのですが、それは違います。
成功者と呼ばれる人たちは、この「与えること」を楽しんで、熱中して行っている人が多いんですね。
天理教の教祖「おやさま」のおはなしに、ある時とある先生が
「こんなにもおやさまにご苦労をおかけして、誠に申し訳ないことでございます。」
と申し上げられますと、おやさまは、
「わしは苦労でも何でもないねで、人に頼まれてしていることやったら、またやめるということもあるやろうが、人に頼まれてしていることやないもの、やめるにもやめられんがな、苦労でもなんでもないねで」
とお聞かせくださった、というおはなしがあります。
実はじぶんが「熱中できること」を一生懸命やることは、苦労ではないんですね。
たとえばマラソンが好きな人は、わたしからみれば苦行のように見えるんです。しかしやっている本人は走ることが好きで熱中しているから、苦労を苦労とも思わない。
また、わたしは本を読んだり、おはなしを考えたりするのが好きなので、そこに熱中することができます。他の人からしたら苦労に見えるかもしれませんが、わたしはそれを苦労だとは思わないんです。
おやさまのお言葉に、
「どんな辛い事や嫌な事でも、結構と思うてすれば、天に届く理、神様受け取り下さる理は、結構に変えて下さる。なれども、えらい仕事、しんどい仕事を何んぼしても、ああ辛いなあ、ああ嫌やなあ、と、不足々々でしては、天に届く理は不足になるのやで。」
と聞かせていただきます。
やりたくないことを我慢してやったり、じぶんのお金や休みを削ってまわりに尽くしても、じぶんが喜べなければ、相手は喜んでくれません。むしろ逆効果になってしまうんです。
人に与えて喜ばせることはもちろん、じぶんも与えることに熱中して「楽しむ」。そうした魅力的な姿には「信用」が生まれるので、人が集まってくるということなんですね。
こうして、
①人を喜ばせて
③じぶんも喜べて
②さらには社会のためになる
みんなを喜ばせる考え方を「三方よし」といいます。
これは滋賀県の「近江商人」の経営哲学なんです。
「売り手と買い手が満足し、さらに社会に貢献できてこそよい商売といえる」という考え方をするんですね。
わたしたちの人生も「三方よし」を目指しましょう。
じぶんが楽しくて熱中できることで、なおかつ人の役に立ち、社会にも貢献できることを見つけていく。
全てが「WIN-WIN」であることを目標にすると、うまくいくんです。
誰かが得をしても、誰かが悲しんでいては、魅力のある姿とはいえません。
「皆を喜ばす」という、大きな目標を掲げて努力をする姿は、周りから見ればとても魅力的です。そうした前向きな姿に「信用」が生まれるのではないでしょうか。
先日とある方とおはなししている際に、こういう話をされたんです。
「わたしはマイケルジャクソンを尊敬しているんです。彼の歌とダンスによって、多くのひとが前向きになれて、元気をもらえた。これこそ人助けだと思うんです」
わたしは本当にその通りだと思いました。
彼はじぶんの好きなこと、得意なことを突き詰めた人なんです。彼が心から音楽を楽しんでいる姿は世界中の人を喜ばせ、アフリカの飢餓を救う社会活動にも貢献しました。
じぶんが喜び、人を喜ばせ、社会を喜ばせる。まさに「三方よし」の働きをしたんですね。
しかし彼が生きていた時代には黒人差別の意識が根強く残っていたため、彼は有名になるほど差別を受けることにもなりました。
じぶんのやりたいことに一歩踏み出して、まわりの人と違った行動をとることは「変わった人だ」と映ることになります。それはつまり「人から叩かれる」ことでもあります。
今日のおはなしでは、ユーチューバーやホリエモンなど、いろんな成功者の例を出しましたが、こういう人たちはみんな、じぶんの本当にやりたいことに向かって「一歩踏み出した人たち」なんです。
わたしたちもじぶんの力で「つまらない」を、「たのしい」に変えていかなくてはなりません。
だれだって陰口を言われたり、嫌われたりするのは辛いですよね。
しかし踏み出すことを恐れ、じぶんの言いたいことややりたいことを我慢して文句を言っているうちは、いつまでたっても幸せになんかなれないのです。
現代はある意味で「仕組みを変えるのにちょうどいい時代」でもあります。
まずはじぶんの得意なことに熱中して、楽しんで毎日を送る。
人に対しては欲しがっているものを与えて、喜ばせることを心がける。
それが社会にいい影響を及ぼすことなら、なおさら積極的に取り組みましょう。
全体が「WIN-WIN」で「三方良し」で「天の理」に沿うように、どんどんまわりの仕組みを変えていくんです。
一歩踏み出して、まわりと違った行動をとることで、人から叩かれることもあるかもしれません。
しかし神様から見れば、そうしてみんなの困りごとを解決して、周りを喜ばせようと努力するあなたは輝いて見えることでしょう。
こうして皆を思いやった行動をするところに「信用」ができ、人もお金も集まってくる姿が生まれるのですね。
この世は生成発展の世界ですので、あなたの人生は必ず良くなって行きます。
どうか楽しんで、毎日をお通りください。
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