見出し画像

【世界蒐集】8日目、夜色を愛す

明日こそはもっと明るい言葉に溢れたいと思って、キラキラひかるものを探してみても、自分の心を通すと夜色に染まってしまうのはどうしてなのか。
夜を愛しているけれど、光の中に憧れている、ずっと。
虹が地面に落ちていた。上を向いて歩けない日も、ハッピーを見つけてはいけないわけじゃない。


逃してもいいと、諦めた電車ばかりが捕まるの。

名前に季節が入っているから、私はずっと夏だけを生きられると思っていた。

キラキラとした海とともに生きていけると思っていた。

布団と埃の匂いを肺いっぱいに吸い込んだ冬の日、

夜の長さにほっと息をついて、私は一体何から隠れたいのだろう。

ポケットに入ったままの折れたカッターの刃だけが私の優しさの欠片で、

私は私以外を愛せたことなどないのではないかと思う。

ここではない何処かなら君を純粋に愛せる気がして、

早く私を壊してください と祈る。

どうか、何処にも行かないで。  


-帰り道、駅のホームの詩-


追い抜いて行く電車の中に見えた人々は、皆眠りについていた。

いいなと思ったら応援しよう!