床屋さん
【チャンさん年中の頃】
「もうすぐ七五三だから、床屋に行くか。」と、父さん。
…床屋
私の胸の中に数年前のざらりとした記憶がよみがえる。
その時帰って来たチャンさんは、襟足ともみあげが高い位置でパツンッと青剃りされ、結構なおじさん風情を漂わせていたこと…。
なので、今回は産毛を残しておいて欲しいという願いを父さんに託し、床屋へと出かけて行った二人。
すると今回は、さっぱり刈り上げて男の子感を増して帰って来たチャンさん。
もみあげの自然な仕上がりにホッとする。
…が、
しばらくするとチャンさんが『ここね、なんか、ぬられたの。』とおでこをさする。
よくよく見ると、おでこ下半分と、私が密かに愛してやまなかった眉毛の真ん中で渦を巻いていた産毛がない…。
「なんか、もみあげ剃れないなら、顔剃っとくかって言ってたよ。」と、サラッとコメントする父さん。
産毛を残してくださいっていう幼稚園児に、顔剃りサービス入っちゃうの?!と、私には少々理解できない床屋ワールド。
どやら、父さんが小さな頃から通い、親子二代で来てくれてたのが嬉しくって、床屋のおじさんは職人魂に火が付き、剃らずにはいられなかったらしい(笑)
『うふふふふ』
チャンさんが照れ臭そうにおでこを触りながら笑うので、私も床屋という男の世界をそっと受け入れることにした。
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