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流転の宴 (るてんのうたげ)

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身近な自然と日々の生活で感じたことを記しています。ふとした合間にご覧いただければ幸いです。
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#散文

ある川の風景

ある川の風景

 夏に白石川の「六本松」で、よく泳いだことを思い出した。その上流の右岸から流れの一部が隧道に取り込まれている。その隧道が江戸時代に作られたことを、小学生時に教わった。
 後に、資料で江戸時代後期に、白石城主片倉氏の家臣であった片平観平親子が中心となり、私財を投じ、十年がかりで隧道を完成させたと知った。
 その隧道は、白石城跡の西側で、二方向に分かれる。一方は館堀川として城山の内堀のように北から東、

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風の子

風の子

 出勤時、ビル風に遭遇したときにふと思い出した。
 かって、子どもたちがワイワイと日が暮れるまで遊んでいられたころを。近所の子どもたち、下は5、6歳から上は10歳くらいまでの男女、といっても男子は男子だけ、女子は女子だけで遊んでいた。男子は、近所の広場だけではなく、裏山などの斜面や里山の細い道を探検気分で遊んでいた。
そのような時に吹いてくる風は、子どもだちの声を遮ったり、投げたボールを逸せたり、

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徐行

徐行

夜8時発の特急に乗る。翌朝の会議に出席するための前乗り。1月は積雪も多く、鉄道の運行は心強い。新得駅で札幌行きに乗車すると、間もなく動き出した。窓外は、車内の明りが積雪を次々に流れるように映していく。自販機で買った熱い缶コーヒーを飲むと、温かさが身を包んでくれる。車内の暖房もあり、ホッと一息つき、間もなく心地よさでウトウト。広内信号場はもう過ぎたのだろうか。上り坂はまだ続くのだろうか。列車は軋

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