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牧野 一志
2023年6月24日 10:05
熟れた陽が落ち丘陵に帳が降りる 薄紫の空に星々が流れ落ち砂塵に洗われた藍色の玉石 静寂に放たれたその光沢は佳人の微笑みを映し出す
2023年6月23日 09:50
朱色の円卓に冷えた桃の産毛が濡れている 旗袍の給仕は陽炎が渦巻く大陸の巫女 蜃気楼に揺れる落日が小窓を透しその横顔に朱を放つ
2023年6月22日 10:38
高く蹴り出し漕ぐブランコ風が耳元でなにごとか囁く 迫る青空にバラが香り立ち身を乗り出せばノームの庭の初夏が
2023年6月21日 14:28
どんどこ太鼓が響き風を呼ぶ囃子の音が賑やかに裸電球がでこぼこ揺れる カルメ焼きや綿飴の出店の境内を親子がそぞろ歩き木立がざわめく 犬は頻りに吠え猫は無関心に石堂の陰を忍び足 父は少し酔い母は微笑み声をかけるが何事か思い出せず潮騒だけが遠くで
2023年6月20日 14:05
機影が閃き一直線に天空を遙か 青空に溶解する金色の極点星座は陰に休みこだまする鳥の声
2023年6月20日 13:43
大岩をくぐると背後は苔の壁 狭隘な砂地を踏みしめ風の道を巡るわずかに壁を這い伝う水滴はまだ止まない驟雨 明るみを奥に回廊は続く
2023年6月20日 13:30
夜に木々は湖底で眠る 朝霧が吹き払われ樹林は青空の底でさざ波の音を聞いている
2023年6月18日 14:02
ワインの赤い滴りが石畳の坂を静かに流れ陽炎に微かに香り漂う旧市街の昼下がり