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月々のうた

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毎月つくった自選短歌をピックアップしてまとめています。
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#うたの日

月々のうた:2023年2月

春の陽を抱き締めたくて走り出す冷たい風と同じ速度で 芋虫になってもきっと背伸びして高い葉ばかり見てるよ私 いまだって現実は窓の外だから返信を打つひとに抱きつく クタクタに過去も馴染んだ居心地が昨夜のカレーみたいなおとこ 嫌いとか進行形じゃないよもう星が綺麗だなんてずるいよ GODIVAより千のブラックサンダーで君とジェンガをする愛がいい 激寒、からの春の気配、など気候的には実はダイナミックな2月ですが短歌的には低空飛行で、あんまり詠めなかったなぁ、という印象では

月々のうた:2022年12月

かじかむ手さよならに既読をつけたダークモードの文字は初雪 明日より夏へとのぼる観覧車きみと乗り込む冬至の夜だ ルルルルルもう無理みたいルルルルル着信音を空へと投げた なお甲が乙を微笑ませる限り恋は延長される(無期限) 腹の虫宇宙生物説を説く君が怒りで育てる何か 僕Aと僕Bの交換日記引き継ぎ事項「起きたら逃げろ」 まだ何も言えず綺麗な思い出へ動物園に蛍の光 2022年もついに終わってしまい、あたらしい年になりました。 昨日と今日の連続にしか過ぎないのに、4桁の数字

月々のうた:2022年11月

親方が養生しとけと言うもので帰って養生しておりました ええねんがリフレインする東京行のぞみの中でようやく泣けた 北へ北へ、逃げるがごとき駆け落ちを祝福するか桜前線 でも君は行ってしまうね信号の赤は気を惹くだけの寂しさ 神様のセンスにしっくりきていないパンダは夢でシロクマになる アヒル口アヒルにすればざけんなよくらいの方がキスはしやすい 何ひとつ変はらぬ日だと言ふがごと文庫を捲る君去りし部屋 11月になりました。 この11月は文学フリマ東京があったり、スペースで私

月々のうた:2022年10月

さよならの真白い吐息、消えるのが寂しくてまたさよならを言う 僕たちが確かに家族だった日のありふれたありふれたファミレス スキップのしすぎで痛む脚がいう昨日のハグは本当だった 冗談が通じない日の電波塔スカイツリーは意外と低い すれ違うロープウェーで手を振ったくらいの縁で君に抱かれる 好きだった君よりドリアを選ぶから別れ話はサイゼでしてよ 片割れの雪見だいふくばかり増えもう偶数じゃない私たち 10月が過ぎました。 「スキップ」の歌は「うたの日」で初めて主席をいただい