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月々のうた:2022年12月


かじかむ手さよならに既読をつけたダークモードの文字は初雪

明日より夏へとのぼる観覧車きみと乗り込む冬至の夜だ

ルルルルルもう無理みたいルルルルル着信音を空へと投げた

なお甲が乙を微笑ませる限り恋は延長される(無期限)

腹の虫宇宙生物説を説く君が怒りで育てる何か

僕Aと僕Bの交換日記引き継ぎ事項「起きたら逃げろ」

まだ何も言えず綺麗な思い出へ動物園に蛍の光


2022年もついに終わってしまい、あたらしい年になりました。
昨日と今日の連続にしか過ぎないのに、4桁の数字の末尾が一つ変わるだけなのに、年が終わってまた始まることに、どうしてこんなに心が動くんだろう、なんて。
そんなこと今までは全然考えたこともなかったけれど、今年に限って思うのは2022年が短歌とともにあったからだと思います。そんな12月でした。

だからこうして詠んできたうたを見ていると、多かれ少なかれ、そうだな、季節みたいなものが反映されている。当たり前のようだけど、でも季節を感じることの少ない生活ルーチンの中にあって、その時々の陰影が確かにうたに滲んでいる。
人生のなかで二度とない一年。作歌することで、自分の過ごしてきた時間を、温度や色みたいな不定形なものとともに思い出せるのは、これはけっこう、素敵なことだと思います。


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