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放送論風味

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日本初のCMソングのはなし

日本初のCMソングのはなし

CMソングの日9月7日はCMソングの日、だそうだ。この日に初めてCMソングが流れたのでそう呼ばれている。1951年のことである。CMソングが流れるということは、CMが始まっていた、つまり「商業放送」が始まっていたということである。中部日本放送(CBC)が開局したのが1951年9月1日で、そこで初めてCMが放送された。この9月1日は「放送広告の日」となっている。
初めてのCMソング、コマソンは『僕は

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記憶と放送、旦過市場に寄り添ったドキュメント72

記憶と放送、旦過市場に寄り添ったドキュメント72

放送と記録放送はその表記、「放ち送る」のためか、電波に乗せればそれで終わり、あとは知らない。そんなイメージを持たれていることもあるが、実はそうではない。確かにラジオがマイクと送信機だけだった頃、あるいはマイクとカメラと送信施設だけだったテレビの黎明期には放ち送ることが作業の大半ではあった。しかしフィルムによる取材と放送、さらにはVTRの登場、そして現在のように番組がデジタルデータで編集され、送信さ

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【放送概論風味】2021八月テレビ

【放送概論風味】2021八月テレビ

8月は毎年、終戦に合わせた番組が数多く放送される。新聞や雑誌などの特集も合わせこれを「八月ジャーナリズム」と呼ぶこともある。
8月はまず、ヒロシマ・ナガサキにはじまり、815の終戦記念日を迎える。と同時に多くの地方では月遅れのお盆。テレビでも追悼の意味も含めた番組が多くなる。

コロナ禍の2021は、さらにオリパラの開催もあって、かなり特殊な8月であった。7月後半から8月前半はそもそも実施するのか

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【放送概論風味】この春から「放送概論」を学ぶだろうあなたへ

【放送概論風味】この春から「放送概論」を学ぶだろうあなたへ

いよいよ4月。春から #放送学科 で学ぼうというあなたは、本来ならば入学の式典に参加し、多くの同級生や先生方や先輩方に会い、ガイダンスやオリエンテーションを受け、大学生としての学習を、そして新たな生活をスタートさせる緊張と興奮のなかにいたはずです。しかし本年度は、発表の通り、授業開始は大きく延期されることになりました。

ウイルスによる感染症は、人と人が接することで感染します。あなたが通学するため

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【社会現象の解読風味】デマと不安と安心と

【社会現象の解読風味】デマと不安と安心と

2020、2月。おそらくそれは「コロナウイルス」という名前と共にかなり長く記憶されることになるのだろう。その月末には、社会学者としてはなんとも腑に落ちないコトバ「善意のデマ」なるコトバが流行している。
善意であろうが悪意であろうが故意ではあるので、デマはデマだろうと僕は思うのだが。

この瞬間に最も問題となっているのは「ティッシュやトイレットペーパーは、現在不足しているマスクと同じ原料であり、中国

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【放送概論風味】::数字つまりは視聴率のこと(仮)

【放送概論風味】::数字つまりは視聴率のこと(仮)

これを書いている今、視聴率調査会社ビデオリサーチにより、関東地区に次いで関西と北部九州でも個人視聴率調査が行われはじめている。これはPMメーターと呼ばれる測定機器で、性別、年齢層ごとに毎分、何人の人がその番組を見ているのかを調査するものである。

それまでの、いわゆる『視聴率』は、世帯視聴率である。『視聴率30%』とは、その地区の30%の世帯がその番組を視聴しているということを表す。より正確に言う

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【放送概論風味】::イチローの引退記者会見から見えた気がするもの

【放送概論風味】::イチローの引退記者会見から見えた気がするもの

まずは視聴率
2019年3/21深夜。日付も変わろうかという時間帯のことだった。日本テレビ系列『news zero』(23:00~23:59)は、記者会見冒頭で放送終了したが、番組平均視聴率は10.9%だった(ビデオリサーチ発表以下同じ)。『FNNプライムニュースα』(23:45~24:30)は番組平均視聴率6.1%をマークし、これはこの番組最高記録だったとのこと。絶好調と言われる深夜ドラマ「家政

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【放送概論風味】::NHK「のぞき見ドキュメント 100カメ」第1弾:ジャンプ編集部

【放送概論風味】::NHK「のぞき見ドキュメント 100カメ」第1弾:ジャンプ編集部

カメラ100台を、撮影期間4日にわたり、漢18人の週刊少年ジャンプ編集部に設置した。撮影スタッフはその場にはいない。通常(というのか、いままでの)ドキュメンタリーとはかなり異なる手法でのアプローチ。
NHKが近年開発した定点観測型ドキュメンタリの「72時間」をいわば空間的に拡張した、と考えてもいいのかもしれない。あるテーマを持って取材し構成するというのではなく、その場で起きていることを映像から発見

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【放送概論風味】::小さな手でおしゃべりする子どもたち
ETV特集「静かで、にぎやかな世界 ~手話で生きる子どもたち~」

【放送概論風味】::小さな手でおしゃべりする子どもたち ETV特集「静かで、にぎやかな世界 ~手話で生きる子どもたち~」

おそらく、いやかなり確実に、2018年に作られたドキュメンタリーの中では5本の指に入る作品だ。文化庁芸術祭ではテレビ・ドキュメンタリー部門の大賞となったが、それだけの力はあると思う。
テレビである。テレビ・ドキュメンタリーである。しかしナレーションの声がほとんどない。取材対象者のしゃべる声もない。なぜなら彼らは「手話」でしゃべるから。ところが題名の通り、本当ににぎやかなのである。子供たちだけではな

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