覚悟が足りなかった
歯列矯正を受けなければならなくなった。
昔から永久歯が生えてこないところがあるのは知っていて、だましだましやってきたけれど、でももう、歯列矯正をするしか方法がない。
時間がかかるし、ワイヤーをつけるのも嫌だし、何より問題なのは、お金。
見積を出してもらったら、歯列矯正代で120万。別途調整費を通院時に毎回払わなければならないらしい。
120万・・・。
世界一周もワーホリも行けちゃうよ。
正直、平々凡々な会社員のわたしには大きすぎる額で、呆然としてしまった。
どうして両親は子どものころに治療してくれなかったのだろう、と本気で思ったし、そこにそんなにお金をかけたら大好きな旅に出れなくなってしまう。
もうとにかく落ち込んで落ち込んで、死ぬほど落ち込みまくった。
わたしはどうしていつも、貧乏くじばかり引いてしまうの。
何度も声を出して泣いたし、もう死ぬしかないのか・・・というところまで思考が停止していた。(大げさ)
でも今日、高額な見積を改めてみていて、気付いたんだ。
どうしてわたしは、そのくらい働いて稼げる自分になろう、と思わなかったのだろう。
男の人の力は、極力借りずに生きていくと決めた。本当に最近のことだけれど。
子どもは欲しくないし、家族に対する憧れもない、パートナーさえいれば、結婚はしてもしなくても、どっちでもいい。
そんなわたしなので、パートナーからよほど求められない限り、結婚をしたいと思う日はこないだろう。
だから万が一ひとりで生きていくことを考えて、自分を自分で養う力をつけなければいけないと思っていた矢先の出来事。
たぶんまだまだ、覚悟が足りないんだ。
ひとりで生きていくと言いつつ、その意味を自分できちんと理解できていない。今はパートナーがいるから、尚更だ。
もっともっと、強く、逞しくならなきゃな。
歯列矯正くらいで死んじゃだめ。
わたしはもっと、背筋を伸ばして、まっすぐ前を向いて歩いていたいのよ。
世界はそれを愛と呼ぶんだぜ