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16才のわたしが聞いていたMr.Children

高校生のころ一番仲の良かった友だちは、大のミスチルファンだった。ノートを開けばミスチルの歌詞が書かれ、授業でいかにミスチルが魅力的かをプレゼンをし、恋愛話をしているといつも、その心情にぴったりなミスチルの曲を教えてくれた。

少し前にミスチルのサブスクが解禁されて、わたしは当時を懐かしむように、彼女が教えてくれたミスチルの曲を聴いている。

そんなわけで今日は、わたしが好きなミスチルの曲を紹介します。10年以上前に彼女に教えてもらった曲しか聞いていないので、たぶんかなり偏っています。


デルモ

Everythingのカップリング。最初から「え?」って言われるかもしれないけれど、わたしはミスチルの中でこの曲が一番好きです。

寂しくて皮肉で、弱さと強さの狭間に揺れる女性。当時わたしが抱いていたミスチルのイメージを覆した曲、デルモ。高校生のわたしには、想像でしかこの曲の痛みを感じられなかったはずなのに。背伸びしていたんだなあと今は思うよ。

彼女はわたしにこの曲を「みどりも聞いて!絶対好きだしめっちゃいいから!」とゴリ押ししてきて、言われるままイヤホンを片方借りて聞いてみたら、どハマりしたんだったな。8センチのCDを買ったのは後にも先にもこれが最後です。

おりも政夫ってほんとに何の意図があったんだろう、桜井さん。


深海

わたしはこのアルバムをいつも、最初から最後まで一曲も飛ばすことなくすべて聞いている。世界一の名盤です。名もなき詩が収録されているアルバムで、ミスチルの中ではかなりダウナーで異色な扱いを受けているみたいだけれど、それが最高なんだ。

アーティストは一曲一曲、テーマや構成など隅々まで考え抜いた上でアルバムを作っているのだろうけれど、いつのまにか飛ばしてしまう曲、こればっかり聞いてしまう曲があると思う。でも、深海にはそれがない。かいつまんで聞くなんて失礼だと感じてしまうくらいのアルバム。人生をかけるほど好きなアーティストは他にいるけれど、墓場に持っていくなら深海がいい。

思い返すと、当時のわたしたちの深海愛は少し異常なところがあった気がするよ。笑
花-Memento mori-の素晴らしさを彼女がプレゼンしたとき、わたしもその良さを一緒に語りたくて仕方なかったんだよ。


CANDY

なんて深夜が似合う曲なんだろうと思う。片想いで何より辛く愛おしいのは、孤独な夜に想いを抱え込む時間ではないでしょうか。かくいうわたしも、夜に自転車に漕ぎながらこの曲を聞いて、叶わぬ恋に浸っていたよ。たしか彼女も、失恋したときこの曲をずっと聞いたと言っていた気がする。

この曲でチラつく「みっともないほどの恋」って表現、とても好きなんですよね。恋なんてだいたいみっともないし。

甘酸っぱいキャンディーが僕の胸のポケットにあるんだ/君が食べておくれ

という、ラストサビの歌詞をわたしはずっと「叶わぬ恋を君に還してしまいたい」と解釈していて。でも最近は「結ばれたい」という限りなくシンプルな意味だったんじゃないかなって思い始めました。
「懲りもせず/君を欲しがってる」ってフレーズもあるくらいだし、何よりそのほうが、みっともなさが際立つ気がしてる。


隔たり

高校生のときはこの曲を好きというのが恥ずかしかった。彼女も「えろいよね」と笑いながら言っていたから、同じ気持ちだったんだろう。

ハグやキスの延長線に興味はあれど、人と付き合うことの本当の意味もわからなかった当時。「恥ずかしいこと」「下品なこと」という誰からか植え付けられた刷り込みを、この曲はひっくり返した。隔たりを聞いていると、まるでそれが神秘的で尊いことのように思えた。少なくとも「下品なことでも、笑ってごまかすことでもないんじゃないか」と思えたほどだった。

ちなみに大人になった今は、0.05ミリって分厚いな、と思っている。


10代やそのころの友だちを思い返すすべを音楽という形で持っていることは幸福だね。

本当は他にもたくさんあるけれど、特に思い入れのあるのはこの1枚と3曲。わたしも好きだよ!という方がいたら全員と握手したい。とくにデルモや深海好きの人とかなかなか出会ったことがないので、そんな方がいたら嬉しいな…!

ではでは、また次のnoteで。




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