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長崎で急遽ご自愛デー

上のベッドの人のアラームが鳴り続けている。ドミトリーでこれだけ長時間アラームを鳴らし続けるとはなかなかのふてぶてしさ。

ちゃんぽんを食べ終え、胃を落ち着かせているところに鳥山明の訃報が届く。自分でも驚くほど悲しくて、カウンターで思わず少し泣いてしまった。

今の鳥山明の作品は追っていなかったし、ドラゴンボールもDr.スランプも完結していて、その作品は残り続ける。それでもこんなに悲しい。

本当はさくらももこ展に行くつもりだったけど、とてもそんな気になれず歩き回る。コーヒーでも飲もうと思ったのに、なぜか出島に入ってしまった。

カニいた

出島はキリスト教の布教を防ぐために作られた埋立地で、最初はポルトガル人、のちにオランダ人を出島一ヶ所に集めることで勝手に出歩かないようにしていた。壁こそないけど、「進撃の巨人」的な発想の場所。

唯一長崎くんちだけ見学に行くことが許されていたらしい。長崎の日常を知らないまま非日常の祭りを見て、長崎の印象はどこに落ち着くのだろうか。

オランダ東インド会社のオランダ船は南アフリカとジャカルタを経由して、半年かけて日本に来る。超遠い。

当時、キリスト教のイベントゆえに大っぴらにできなかったクリスマスを「オランダ冬至」と呼んでいたという説明が妙に印象に残ってしまった。オランダ冬至。

江戸時代は日本と西洋で時間の決め方が違ったそう。西洋は今と同じだけど、日本は夜明けと日暮れを基準に1日を昼と夜に分け、それぞれを6等分していたらしい。当然季節によって変動するし、今でいう1時間が30分だったり70分だったりしていたのだろうけど、生き物の生活という点ではこちらの方が自然な気もする。

一番好きだったのは献上品のゾウの話。はるばるインドから連れてきたのに、幕府はそれを「いらない」と断ったそう。それ以前にも中国船経由でゾウをもらい、飼育が大変で懲りていたらしい。

運んできた人からしたらたまったものではないけど、ゾウにとってはよかったのかもな……と思ったが、積荷としては重すぎるゾウをそのままインドに連れて帰ることはしなさそう。

ゾウのその後の説明はなかったけど、せめて別の国への献上品にされていればいい……と思ったけど、再び狭い船に閉じ込められて波に揺られて別の場所に連れて行かれるくらいならいっそ殺された方がゾウ的によかったのかもしれない。

出島のおうちはふすまや壁紙の唐紙がラブリー。

散漫な意識のままどうにか一通り出島を見終え、ようやくコーヒーが飲めるお店に入り佐世保を舞台にした村上龍の「69」を読む。大好きな本で学生時代に何度も読んだけど、読み返すのはたぶん十数年ぶり。バカバカしくて思わず笑ってしまう。持ってきたのが明るくて楽しい本でよかった。

サービスのほうじ茶とボウロ

静かに過ごしたい気持ちになってしまったので、バスで大きなお風呂へ行く。

塩サウナで塩を体にすり込むとき、いつも「注文の多い料理店」を思い出す。塩で臭みをとり、蒸気をあて、柔らかくした肉。牛や豚も生きた状態で塩サウナの工程を挟んだらおいしいのだろうか。

そんなことを考えながら塩サウナの説明を見ると、「事前にお湯に浸かって下茹でするといい」と書いてあった。「体を温めましょう」はよく見るけど、あれは下茹でだったのか。こうなるといよいよ料理。

今日の眼鏡橋

ベッドで鳥山明の訃報に対する漫画家や著名人のコメントを読む。鳥山明の功績についての記事も読む。いよいよ泣けてきた。

わたしにとって、初めてわけも分からず夢中になって読んだ漫画がドラゴンボールだった。Dr.スランプも、ドラクエも、全部大好き。

鳥山明先生、本当に本当に、素晴らしい作品をありがとうございました。

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