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佐渡島で野生のトキ探し

散歩の日。おいしいと教えてもらったお店にバスで行き、お昼ごはんを食べて散策スタート。

自然に侵され始めている椅子

張り切って歩き始め、30分もたたずに古民家カフェを見つけたので休憩。佐渡島の金山を舞台にした松本清張の短編があったので読む。登場人物全員クソで、ひたすら陰湿で最低のお話だった。

スーパーマーケットや農協をのぞく。笹団子を作るための材料がそろっていた。さすが新潟。

道中はお花がたくさん。毛虫も見つけた。小学生の頃、お出かけ先で母が毛虫をつつき、後日かぶれていたことを思い出す。当時の母はおそらく40代半ば。やんちゃな母。

絵に描いたような花

野生のトキは道路から外れた田んぼのあたりにいると聞いたので、探してみる。昨日のお寿司屋さんで「この時期のトキは薄汚い」と言っていたおばちゃんは、「トキは足が短くてずんぐりしてるから水を張った田んぼにはいない。探すなら耕した後の田んぼ」と教えてくれた。おばちゃんはシロサギ推しで、トキに厳しい。

見事に何もない
左側も何もない
当然右側にも何もない

トキは見当たらず、遠くの方にそれらしき鳥が見えたが、確信はもてず。そもそも野生の鳥を探すのに目が適していない。視力低下と眼精疲労により遠くのものが見えない。日々パソコンと向き合う都会っ子の頼りなさたるや。

結局トキの保護センターに行く。トキはドジョウを食べていた。見ている人たちは「気持ち悪い」と呟いていた。トキ、どうやら人気ない。

ドジョウをくわえた瞬間

トキはペリカン目とのこと。わたしはオーストラリアで目が怖いペリカンを見て以来、ペリカンが苦手。トキの好き度がちょっと下がった。

目が怖いペリカン

展示場ではトキと仲良しだった宇治さんのお話に悲しくなってしまった。行政がトキを保護するために捕獲しようとするもうまくいかず、最終的に捕獲を宇治さんに依頼。

宇治さんは苦悩しつつも、トキを捕獲し、トキは抵抗もせずにおとなしく捕まり、そのまま保護施設へ。宇治さんは生涯、自らの手でトキの自由を奪ってしまったことをくやみ続けたと書いてあった。

そのトキが日本最後の1羽。中国からトキを送ってもらったものの繁殖することなく、捕獲されたトキは保護施設で生涯を終えたとのこと。

結果論だけれども、それなら野生のままでいさせてあげればトキも宇治さんも幸せだったろうに……捕獲後の宇治さんの罪悪感はどれほどのものだったのだろうか、なぜ宇治さんがここまで背負わなければいけないのか……と、宇治さんのことばかり気になってしまう。

おじいちゃんが羽ばたくトキの折り紙くれた

愛のお手本作戦と題した説明ボードには、繁殖を促すため、隣にペアのクロトキを入れたケージを置き、トキの繁殖意欲をあおろうとしたと書かれていた。平たく言えばラブホテルでアダルトビデオによって性欲をあおろうとするのと同じこと。人間もトキも同じ動物。

展示には宇治さんと仲良しだったトキの晩年の心境を想像で書いた、トキを一人称にした文章もあった。わたしは動物の心境を人間が勝手に代弁する行為がとても嫌い。各自が想像するのは自由だけど、人間にとって都合が良いように代弁するのは悪趣味であり、ていのいい責任転嫁だと思う。

宇治さんのこともあって変に憤ってしまったが、せめて捕獲して自由を奪った責任は人間が負わねばなるまい。

ポストもトキ

帰り道、バス停に向かう道中でついに野生のトキ発見。羽はたしかに薄汚かったけど、飛んでいる時の羽の内側はピンクできれい。

4時間近く歩き回ってようやくトキ発見。うれしい気持ちでバスに乗り、一気に疲れて眠たくなった。宿でサクッとごはんを食べて、一仕事して、もう今日はおしまい。

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