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醤油作りからやってみた!バター醤油ごはんを食べて気づいたこと

2017年、はじめて醤油作りをしました。

わたしたちの食卓に欠かせない醤油が、何からできていてどんな過程を経て作られるのかを体験してみたかったんです。

|人生初の醤油作り

毎日使う醤油という調味料を自然に任せて作る時、こんなにも年月をかけて美味しく出来上がるのだとわかったら、生産者の方々のおかげで当たり前の暮らしが支えられてるのだと感動しました。

醤油の仕込み(2017年)

2年の醸造

しぼり(2019年)

バター醤油ごはんを食べるまで

以上の「やってみた」過程をまとめてみたいと思います。

この記事は料理家として「美味しい体験レポ」の立ち位置で綴ります。

詳しい知識や製造構成については、職人醤油さんのサイトがオススメです。
分かりやすく面白く、何度も繰り返し読んで、グイグイ醤油にハマってしまうので、ぜひご覧になってください。

さぁ、兎にも角にも食いしん坊な方は、ぜひ最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。

|醤油作りは瓶選びから

はじめに、醤油作りを家でやってみるには梅仕事と同じで瓶が必要です。

インスタなどでおしゃれな瓶をズラリと並べてる方を見て、「こんなすてきな瓶はどこでうってるの〜?」と思う方も多いのではないでしょうか?

わたしの住んでいる近くのスーパーやホームセンターにも、昔ながらの赤い蓋のタイプしか売っておらず、まずは瓶をネット通販で取り寄せるところから始まりました。

2ℓ瓶だとかなり出来上がりの醤油が少なくなってしまうので、最低でも4ℓ瓶がおすすめです。

▼セラーメイトの4ℓ瓶

左:セラーメイト、右:昔ながらの赤い蓋の瓶

ただ、やはりおしゃれ重視のデザインなのでセラーメイトは取手が細く、中に入れたものの重量で持ち運びする時に取手が外れてしまうんじゃないか、という危うさを感じます。
(危うく感じるだけで実際取手が外れたことはないんですが…)

やっぱり昔ながらの赤い蓋の瓶は、取手が太くて頑丈なのでバツグンの安心感がありますね。

|いざ、仕込みます!

まずは、水と塩を瓶に入れて、食塩水を作ります。

手を入れて、ぐるぐるかき混ぜると真っ白に。塩がしっかり溶けるまで根気良く混ぜます。まるでドラム式洗濯機みたい。

しっかり塩が溶けて、食塩水が透明になったら「醤油の麹」を入れます。

醤油の麹は、蒸した大豆と炒った小麦に種麹をつけて繁殖させたものなんです。

ちょっとびっくりする色をしていますよね。この時点では、まったく醤油になる想像ができません…!

食塩水と醤油の麹が均一になるように、ぐるぐるかき混ぜます。こうして見ると、ぬか床みたいです。

仕込みはこれでおしまい

あとはときどき様子を見ながら、沈殿していたらかき混ぜるくらいで、基本放置しておくだけなんです。

通常、醤油は2年醸造します。
なので、いつ仕込んだか忘れないように日付をメモメモ。
「十二水(じゅうにすい)仕込み」というのは…

汲み水:
麹に塩水を加えたものが諸味(もろみ)ですが、この塩水を汲み水(くみみず)といい、麹の量に対する数字をつけて表現されることがあります。例えば、「12水」とは、原料容量(大豆・小麦から作った麹の量)に対して1.2倍の塩水を用いて仕込まれるという意味です。

職人醤油|醤油の諸味

仕込んだものをズラリと並べてみました。

圧巻です…!こうして眺める時は、やっぱりおしゃれ瓶がいいんですよね。うっとり。

|2年醸造したもろみを絞ってみた

さて、仕込んでいる最中に準備しておいたのが、2年前に仕込んだ「もろみ」を絞ること。

ぬか床のようなベージュ色だったものが、時をかけてこんな褐色になるんです。それでも、これが醤油になるの…?とにわかに信じがたいですよね。

少量を絞る時には、コーヒーフィルターを使うのがよいそうですが、多めだったので、目の細かいザルにのせてぽたぽた自然に落ちるのを待ちます。

しばらくして、ザルを外してみると…

おぉ…!!!とおもわず歓声があがります。
まさに、馴染み深い醤油がお目見え。

この後、キッチンペーパーや布でもろみを包んで、重石をのせてさらに絞ると更にたっぷりと醤油が絞れます。

|神々しい…!バター醤油ごはん

わぁぁ、なんでしょうこの感動は…!
炊きたてごはん、ちりめん、バター、そして搾りたて醤油。

ふだん当たり前に食べているものが、こんなにも尊く、神々しく見えるものなのですね。

「なつみ先生、写真撮ってないで早く食べさせて〜!」と言わんばかりにみんな箸を持ってスタンバイ。

土鍋で炊いたごはんが瞬く間になくなったことは、言わずもがなです。

|当たり前の有り難さ

田植え体験をするとたった一粒のお米を大切に思えるように、醤油作りの過程を知るだけでも「当たり前の有り難さ」を感じることができました。

醤油があるから美味しい料理が作れるわけで、もしなかったら?
他に醤油に代わる調味料は存在しません。醤油がなかったら、私たちの食卓はどうなっちゃうんでしょう…。

|「やってみる」が最高の隠し味

日本人に生まれた私たちにとって、醤油を大切にする気持ちは、日本の文化や風土を大切にすることにつながると思います。

って、カッコつけて言うとちょっと大袈裟?自分ごととして捉えられない?という気もしますね…

ストレスが溜まるとつい刺激的なものを欲してしまうと思うのですが、本当に弱っている時に食べたくなるもの、ホッとするものって、やっぱりごはんと醤油の組み合わせじゃないですか?

年を重ねるほど、ますます和食の美味しさが身に沁みるものです。それがもう、文化や風土を大事に思うってことなんじゃないでしょうか。

結局、美味しいものをもっと美味しく食べるために、わたしは「やってみたい」のです。

美味しくなるまでのストーリーを知れば知るほど、なぜこんなにも感動が増すのか、不思議で楽しくてたまりません。

大人の美味しいの楽しみ方は、食べるだけではなく「やってみる」ことが最高の隠し味になるのかもしれません。

*追伸:当時はまだ乳製品アレルギーだということに気づいていなかった私。今は食べられないバター醤油ごはん...。早く食べられる身体に戻って〜!

|発酵調味料・旬ごはんの食材別レシピ索引

ここまで読んでいただきありがとうございました。もしレシピを作ってくださる方がいらしゃれば、インスタグラムで教えてもらえたら、とっても励みになります。

発酵調味料・旬ごはんの食材別レシピ索引、作りました。今日のご飯作りにお役立ていただけたら幸いです。


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