「1つ1つ、目の前のものを楽しみなさい」〜バナナケーキが教えてくれたこと

GWに台湾でコロナ感染し入院。
帰国後は、肺や胸に水が溜まってしまい圧迫感で眠れず、歩行困難になるほどの浮腫みで＋6kgも体重増加。
コロナの後遺症は、思わぬ形で降りかかってきました。

｜後遺症で体重が6kg増加。不安でたまらない日々…

足の裏まで腫れがっているかのような浮腫みで、飲み薬だけではびくともしなかったので、今は通院して注射で投薬をしています。わずか2日で体重はー5kg減。

たった10日足らずの間に体重が5kgも上下するなんて…。
でも、明らかに歩幅が広がり、お風呂に入ったりや階段を上がるのもだいぶマシになってきました。

そして、昨夜は、約20日ぶりに朝までぐっすり眠れました。それまでずっと、寝る体勢をとるほど息苦しくて、長すぎる夜が怖くて…このまま症状が良くならなかったらどうしよう…と不安でたまりませんでした。

｜非日常に陥った時、日常とは違う思考が働く

歩行困難だと外に出ることもままならず、かといって横になっているのが辛い。頭は元気なので、何もせずに時間を過ごすのはあまりにも辛く、虚しさで心が支配されてしまいそうでした。

「なにもせずに過ごすには、24時間はあまりにも長すぎる…」

心穏やかに時を過ごすため、何をしようか…と思った時に、ふと「お菓子作りでもしてみよう」と閃きました。非日常に陥った時、日常とは違う思考が働くものです。
滅多にお菓子作りはしませんから…。

そうして、なんとか車に乗って（アクセルとブレーキを踏むことはできました）小麦粉、ベーキングパウダー、バナナなどを買い出しに行きました。夫が小麦アレルギーなので、小麦粉を買うのもいつ以来でしょうか….。

材料を計量して、混ぜて、焼いて。
調理器具もいっぱい使うから洗い物もいっぱい…。
焼き時間だけで45分もかかるし…冷めてからさらにツヤがけ。

でも、「面倒臭さ」がとても愛おしかったのです。
1時間以上もかけて、たった1つのバナナケーキを作ることが…
時が経つのを忘れるほど、目の前のことに夢中になれることが…
こんな感覚になれたのは久しぶりでした。

｜1つ1つ、目の前のものを楽しみなさい

料理、お菓子、パン。全てを自分で作っていた時期もあるのですが、全てを続けることはできず、わたしは「料理」を選びました。
料理だけは、必要に迫られていました。25歳で白血病を患った以後、毎日の食事を整えることくらいしか、病気を克服する手立てが思い浮かばなかったのです…。毎日しないと困るもので、からだの健康に直結しているものだから…と思って必死に料理に向き合ってきました。

ありがたいことに、10年たった今は寛解状態にまで回復したけれど、当たり前の日々を重ねていくと、目の前のことがどれほどありがたいことか気付けなくなります。料理に対する思いや楽しさ、無我夢中だった頃の感覚を忘れかけていたのでしょう。

お菓子作りという不慣れな作業を通して、目の前のことに無我夢中で向き合うことが、心とからだを浄化してくれる感覚を思い出しました。

「最近忘れてると思うけど、1つ1つ、目の前のものを楽しみなさいよ〜」という神様からのお告げなのかもしれません。

｜今に夢中になって楽しめばいい

「目の前のことに夢中になること」は、きっと想像以上の可能性を秘めているのです。もう何人もの方が断言している定説でしょう。
けれど、わかったつもりになってるだけで、どれほど無意識にマルチタスクをしているでしょうか…。
仕事のこと、家族のこと、未来のこと、過去のこと…考えても答えの見つからないことをグルグル考え続けてしまっています。グルグルの延長線上に答えは、見つからないのに…。

不安でたまらなくなった時
なぜか虚しさで押し潰されそうな時
からだが思うようにならないほどしんどい時
気持ちばかりが焦ってしまう時

一見なんの関係もないかもしれないし、遠回りにさえ思えてしまうけれど、
時間を忘れるほど夢中になれること
心地よく話せる人との会話
自然の中に身を置くこと
noteやメモにアウトプットして整理すること
などを通して、

なんかスッキリした
どうでもよくなった
なんとかなると思えて
フッと脱力した瞬間、ふと解決の糸口が見つかったりするものです。

8日間点滴に繋がれっぱなし、日本にいつ帰れるのか分からなかった状況に比べたら、バナナケーキ作りに夢中になれて、出来上がったケーキを毎日少しずつ切り分けて食べられるだけでも言いようのないほどの喜びと安堵感が込み上げてきました。

今はまだしんどい最中だけれど、きっと大丈夫
こんな経験さえも笑い話にしてしまおう。
もー、なんとかなると信じるしかないな〜
今月いっぱいは安静に、おうち時間をめいっぱい楽しもうじゃないの

と、じわじわ力みが抜けていきました。

バナナケーキが教えてくれたこと。
それは、「今に夢中になって楽しむこと」の大切さなのでした。