自分の悩みは案外、人には全く見えていないらしい

１　悩みの種

このあいだ、胸のあたりをバズーカで撃たれたくらい衝撃的なことが起こった。

私が、いかに自己開示できないで、他人を信じられなくて、それについて過去のトラウマを考えたり、うじうじしながら、悩んで、自分ってどうしようもないなと失望して、最後にはシャーっと、人に慣れていないシェルターにいる猫のように取り乱すさまを、書いたばかりである。

ああでもない、こうでもないと何度でも悩んでしまう事項が、人生の中にはある。私の中で「自己開示」というトピックは、ここ数年何度となく出てきて、ああーと落ち込んでしまう類の話だった。

２　シンクロニシティ

で、こないだふと、ポートランドに住んでいた時のことを思い出すことがあった。黒人の権利のデモとトランプサポーターがぶつかって、そこへ誰かが銃を持ち出して、末に一人亡くなったというニュースがこの間、日本でも報道されていた、あのポートランドである。

あの頃、私は向こうの大学を終えて、「留学生」という立場から「働く人」の立場になったばかりだった。日系の会社に勤めていた。あの頃に一緒の時期に一緒の会社に入った、友達Mちゃんのことを考えていた。

Mちゃんはとっても明るくて、天使みたいにかわいくて、前向きで、料理もうまくて、麻婆豆腐の作り方を教わったこともある。一緒にいるだけで楽しいお友達だった。Ｍちゃんどうしているだろう。と考えていたら、ちょうどそのとき、アドレス帳からＭちゃんの誕生日を知らせるリマインダーが入ってきた。

これは、Ｍちゃんと連絡を取れというサインだな。と目論んだ私は、Ｍちゃんに早速ＬＩＮＥで連絡した。

３　衝撃のバズーカ

Ｍちゃんは、とっても元気にしていた。数年連絡を取っていない間に、子供が一人増えていた。相変わらずテンションがやたらと高いし、やっぱりあの頃と同じだ！私もとっても嬉しくなって、話が続いた。

やっぱり、明るいし、楽しいし、Ｍちゃんはこんなだから、友達もたくさんいるし、前向きに人生を生きられているのだな、、（私とは違う）と思った。

そういうＭちゃんが、ふとＬＩＮＥでこういうことを言った。

ナッス―ミは、自己開示？っていうの？自分のことを誰にでもオープンに話すから、すごいなあ、いいなあと思って、ずっと見てた。

私は、誰にもオープンになれないし、何よりあまりたくさんの人に興味を抱けないから、会話が続かない。会話を続けるための本を読んだりして、ずっと悩んでいた。

え。。衝撃。。。ずばりの「自己開示」という言葉まで使って、Ｍちゃんは、私のことをできてる、って言ってきたのだ。私がこんなにできない！って悩んでいたのに！！

自分でこういう人間だとずっと思って生きてきたことって、案外人には伝わってないらしい。私はＭちゃんにこう返信した。

ものすごいびっくりしたんだけど、私は自己開示がずっとできないって悩んでいたんだよ。で、Ｍちゃんは誰にでもオープンだし、だからみんなに好かれて、楽しい存在なんだなって思ってた。

人の心の中の悩みなんて、分からないもんだよね！

４　私の悩みなんて、他人には全く見えていない

まるで、キツネにでも化かされたような気分である。

自分がここがダメだ、と悩んでいたことが、他人の目には全くそうとは映っていなかった。単に自分の思い過ごしだったのか、他人がそこまで見えてなかったのか。

私から見た私、Ｍちゃんから見た私というのはまるで、同じ時間軸を通ってきたのに、パラレルワールドに住んでいるくらい、全く違う人間として伝わっていた。（Ｍちゃんから見たＭちゃんと、私から見たＭちゃんもしかり）

そうやって考えると、自分のダメ出しをして、ぐるぐると悩むのは、全く意味がないように思えてくる。今まで悩んでいたことが、Ｍちゃんの言葉で、「なんだ、良かった、ちゃんと伝わっていた」と安心することができた。悩んでいることが馬鹿らしくなってきた。どうせなら、自己肯定できるほうのパラレルワールドに住みたい。

Ｍちゃんは続けて、私に対してはなんでも言えるし、何でも見せられると言ってくれた。その言葉が本当にうれしかった。他人に心を開けない私なんかに、そんなことを思っている人が、どこかにいるっていうのが分かっただけでも、私にとってはうれしかった。私もＭちゃんの良さをとても分かっている。

他人に弱みを見せたり、恥ずかしいところを見せられないと悩んできた私だけど、案外、人っていうのは私が開示しているように見てくれているのかもしれない。自分というキューブの中に押し込めてしまう癖のある私に、全く違う見方を見せてくれた。

悩みさえも、こだわらないで、これからは自由に生きようと思う。