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〈読書記録〉八秒で跳べ


なんと瑞々しい物語なのだろう。

遥か昔の高校時代を思い出させてくれた。
確かにそこにあった部活への情熱と淡い恋愛感情のようなもの。そして友情。

主人公の宮下景は淡々とどこか冷めた調子で部活をし、バレー部のレギュラーだが情熱らしきものは感じない。

ある日、漫画を描くという真島綾との出会いをきっかけにケガをしてしまい、1か月、まともに練習できなくなる。

その間に、補欠の北村がみるみるうちにうまくなっていく。
逆に、久々の試合でうまくプレーできない景。部活仲間の 梅太郎とも険悪なムード。

それを打破するきっかけが強豪校との練習試合。景が目覚める瞬間があったと思う。ライバル校の選手の言葉をきっかけに何かを掴む景。きっと彼はこれから変わっていくのだろう。

タイトル『八秒で跳べ』の八秒の意味がこのライバルの言葉で分かるのだが、これには納得。私は別の球技経験者だが、まさにその8秒に当たる時間が勝敗に大きく左右するのを知っている。

切っても切り離せないもの。確かに高校の時の部活はそうだった。懐かしいな。

どのスポーツもそうだと思うが、バレーボールも非常にメンタルに左右されるということがわかった。ふとした動揺でサーブミスをしたりいいトスがあがってもスパイクをネットしたりする。著者が経験者ということで、心理描写とプレーの姿がリアルに届いてくる。

今後の彼、彼女たちの未来を応援せずにはいられない。
ザ・青春小説。よかったです。



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