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レースの下着を履いていれば、性行為に同意したことになるのか

 アイルランドで起きたレイプ事件の裁判で、被害に遭った17歳の女性が当時レースの下着を履いたため、「性行為をする意思があった」と相手弁護士が主張。その後、男性は無罪となりました。これに対してネット上では、#ThisIsNotConsent(これは同意ではない)というハッシュタグで、様々な下着の写真をツイートする抗議活動が広がりました。


 実は17年前、2001年にスコットランドでも、レイプ被害に遭った17歳の女性が、事件当時身につけていた下着を裁判官や傍聴者の前で提示するよう相手側の弁護士から求められたことなどを苦に自殺しています。


 ここで考えたいのは「セクシュアル・コンセント」=「性的同意」という言葉です。一つの行為に同意したからといって、他も同意したことにはならない。家に来たから、密室で二人になったから、キスしたからといって、それはイコール、セックスに同意したのではない。性教育はこうした、コミュニケーションや人権の問題として取り組む必要があるのだと思うのです。

 こちらの記事では、性的同意について「紅茶」に置き換えた分かりやすい動画が紹介されています。

 性犯罪などで「拒否できたはず」という言葉を耳にしますが、本人も意識できない心理的支配や、密室状態での圧迫、恐怖感などを抜きにして、ただ「拒否できる」と言うことは、それ自体が暴力になってしまうはずです。

 他にも、加害者は直接被害者に対して謝罪するべき、という声を耳にすることもありますが、とりわけ性被害は、加害者が接触してくること自体が、被害者にとって恐怖を与え苦しませることになる可能性も考慮しなければいけないでしょう。望まれるのは弁護人などを通じ、しかるべき対応をすることのはずです。

 今報じられている広河氏の件でも、「自分に落ち度があったのでは」と声をあげられずにいる、あるいは広河氏本人から接触があるのではと怯えている方々はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

 報道機関に訴えず、司法の判断に任せればいいのでは、という見方もあるようですが、この記事にあるようなケースが日本の司法では殆ど裁かれてこなかった現状があります。だからこそ、声を届ける方法がメディアしか残されていなかったのではないでしょうか。

 もし、被害に遭い、いまだに真っ暗闇の中にいるような方が、この文章を読んでくれているのだとすれば、何度も、何度でも語りかけたいと思います。「あなたは悪くない。自分を責めなくていい」、と。

 この報道について書いた文章ではありませんが、父親からの性虐待を受けたという東小雪さんが、性被害に遭われた方への大切なメッセージと、相談先をここに書いてくれています。


※追記:性犯罪に関しては、報道や伝え方にも問題を感じることがあります。時折「いたずら」などの表現が使われているのを耳にしますが、受けた側にすれば性暴力。言葉の選び方によって、どこか軽い印象になっていないかといつも気になります。

 そしてこの記事では、加害者の衝動的な性欲ではなく、背景にあるのは「支配欲」であることも分かります。


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