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人生に絶望してベトナムに飛び立った話〜雑談・タクシードライバーとの会話〜

初のベトナム旅行でわたしがはじめて言葉を交わしたのは、貸切予約していたタクシードライバーの青年だった。

ホイアンまで向かうタクシーの車内、後部座席でスマホの動画を回してダナンの街並みを撮影していたところ、ドライバーから質問が投げられた。

「なんで一人で旅行するの?」
「え?なんでって…」

唐突なその問いにわたしは答えに詰まり、しばらく返事ができなかった。

「えっと、わたしはプランを立てて決まった所に決まった時間に行くよりは自分がその場で行きたい所に行きたいし、食べたいものを食べたい。それは一人じゃないとできないから。」

彼の問いに対してちゃんとしたアンサーになっているかわからなかったが、わたしはそう答えた。
そしてこの答えは明らかに、わたしが一人で旅をする本当の理由ではなかった。

「そうなんだね、一人で旅行する人をたまに見かけるけど、僕は家族や友達と一緒に旅する方が楽しいんじゃないかなと思ってね。」

確かにそのとおりだ。
本来、旅行は誰かと知らない場所へ行って、楽しいとか、美味しいとか、嬉しいとかそんな時間を一緒に共有することが醍醐味なのかもしれない。

わたしはよく国内でも一人旅をするけど、おいしいご飯やきれいな景色を見た時は誰かに伝えたくなることもある。

だけど、日常にどうしようもなく疲れたり、もやもやしたり憤りを感じたり。そんな時に非日常の世界に飛び込みたくなることがある。
自分のことを知らない人たちばかりの環境で、時に言葉の通じない環境で名前やキャラクターが決まっている(周りから決められている)人間ではなく、ひとりの人として、日本人として、人類として感じたいことや浸りたい感情があったりするのだ。

知らない世界に身を置いて自分自身と向き合う旅が、わたしにとっての一人旅である。

自分探しの旅なんてかっこいいものではないけど、なんとなくわたしの一人旅の答えはこれだ。

ドライバーとの会話はすぐにホイアンのおすすめの場所や料理の話題に変わったけれど、いつかまた彼に会えたらわたしが一人で旅をする理由をちゃんと伝えられたらいいな。

伝わらなくても理解されなくても、それがわたしの答えだから。

#わたしの旅行記

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