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脳性まひ研究・治療の最前線!Cerebral Palsy Alliance視察レポ

こんにちは!オーストラリア・シドニーにあるCerebral Palsy Alliance(以下、CPA)という施設を視察できる機会があったので、レポートにまとめます!

ここは世界的に有名な脳性麻痺研究が行われる研究機関であり、リハビリテーション機関であり、福祉施設でもある、脳性まひ児・者を対象とした複合施設です。

ゼミで読んでいた論文からこの施設の存在を知り、メールしてみたところ、一つ返事で見学をOKしてくれました。研究機関、リハ機関、療育機関、生活介護、障害者用スポーツジム、プール、入所施設、運営側(マーケティング部門など)、施設のまるごとを見ることができました。

目次
1.はじめに
2.研究機関としてのCPA
3.リハビリテーション機関としてのCPA
4.療育機関としてのCPA
5.福祉機関としてのCPA
6.余暇活動を楽しむCPA
7.さいごに

1.はじめに

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施設はとても広くて、ほとんどの部屋がガラス張り。海外映画でよく見る大企業のオフィスのような雰囲気で、テンションが上がりました。そしていたるところに写真のような文章が施されている。理念なんでしょうか。

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受付の横にはコーヒーやサンドウィッチなどの軽食が購入できるミニカフェがありました。ちなみにここは非営利団体(のはず)なんですが、潤ってる私立病院のような雰囲気を醸してますね。
子どもや親御さんが、楽しい気持ちでここに通えるような配慮がされているように感じました。

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↑外の公園。土地が広いからこそ作れるスペースな気もしますが、子どもたちも行くのが楽しみになりそうな場所ですね。

2.研究機関としてのCPA

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脳性麻痺研究で数多くの重要な論文を発表しているNovak氏を始めとして、熱心な研究者が多く在籍しています。実際に研究データをとっているところは見れなかったですが、Novakさんも施設内をウロウロしていました。

たまたま、私の滞在中に大きな研究発表会があり、参加させてもらいました。研究発表の英語を聞き取れるほどリスニング力がなかったので、スライドを眺めて雰囲気だけ感じてきました。女性研究者がめちゃくちゃ多い。というかセラピストも女性ばっかりです。

3.リハビリテーション機関としてのCPA

リハを受けに来ている方の写真撮影NGだったので、残念ながら写真はないのですが、リハ室、ジム室、プールがありました。いわゆるPT,OTは目的に応じて施設内のいろんなところ(リハ室、廊下、屋外、小部屋、etc)で施術を行なっていました。プールはもしかしたらPTも施術の一環で使用していたかもしれません。なんと、ジム室にはジム機器専門のセラピストがいました。(名前を忘れてしまいましたが、PT、OTとはまた別の職種が存在するようです。)施術の選択肢が多いのが魅力でした。

↓実際はもっといろんな場所があったのですが、リハで使用する部屋の一つ

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↑実際のプール。わたしも入っていいと言うことで、急いで水着を買って子どもたちとプールに入りました!

4.療育機関としてのCPA

日本でいう療育センターのような、未就学児の通園施設があります。ここはプログラムに参加させてもらえました。

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ここは発達障害か、脳性麻痺があっても軽症の子どもたちが通っているようでした。プログラム内容にも工夫があったかもしれませんが、特段日本との違いは感じませんでした。

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↑机が訓練台を兼ねているのは、新しい発想でした。笑
上手にできたら「Good Boy!!」と声をかけるのを覚えてひたすらグッボーイグッボーイと言うてきました。

5.福祉機関としてのCPA

施設には、日本でいうところの「生活介護」(=就労しない障がい者が日中活動を行なうためのサービス・場所)が併設されていて、見学できました。

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私が勤めている施設の利用者さんと同じような、重度の障がいの方(自力では移動できないような方)が活動していました。わたしが見た日は、お庭で園芸活動や、キャンバスに絵を描く創作活動をしていました。絵がとても素敵で、写真を撮れなかったのが残念。また別の日は、ギターやベルなどの楽器を演奏する職員(?)が2~3人やってきて、みんなで演奏を楽しむようなイベントもありました。

園芸活動で作ったものや絵は販売しているそうです。後にも書きますが、絵によっては1~2万の値段がつくこともあるそうです。

6.余暇活動を楽しむCPA

余暇活動として、スポーツを楽しめるような設備がありました。わたしはボッチャを見学させてもらって、ゲームの得点板担当もさせてもらえました。わたしがお会いできたのは、パラリンピックのオーストラリア代表を目指しているチームとのことでした。

(↓少しリハをしているところも写ってました)

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また、先ほども紹介した絵画制作ですが、ちょうどそれを展示販売するイベントも見学できました。↓のチケットに少しだけ絵画が写っています。

7.さいごに

研究は研究、医療は医療、福祉は福祉、と分断されがちな領域ですが、ここではそれらが脳性まひ児・者を中心にうまく連携されている、そんな理想的な体制を形にしている素敵な施設でした。

目の前にいる言葉を話さない子どもは、どんな治療を必要としているのか、どんな支援を必要としているのか。疑問に思いながらも、忙しいことを言い訳に、なんとなくの施術、支援をしてしまうことがあります。脳性まひの複雑さから、考えることを避けている部分もあったと思います。OTを見学させてもらったときにこの悩みを話したところ、「最初はみんなそう」という言葉をかけてもらいました。「脳性麻痺に対する施術が難しいことは世界共通なんだ。」「それでもこの施設ではその難しさから目を背けずに、できることを徹底してやりつくしてるんだ。」そう思ったことをよく覚えています。この日のことを思い出すと、難しさを言い訳に思考停止しない、100点がとれなくてもできることから手を動かそう、そんな気持ちにさせてもらえます。

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何はともあれ、どこの馬の骨とも分からない日本人の小娘を、メール一通で歓迎してくれたことに、感謝感謝です。成長した自分で、またいつか訪れたいなあ。

YouTubeがあったので、興味がある方は見てみてください。オーストラリアの脳性麻痺界隈のことが垣間見れると思います。

おわり


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