「映画好き」って言ってもいいですか?
映画を観るのが好きだ。
休みの日は家でネットフリックスで観るのが楽しみだし、映画館に足を運ぶし、ニッチな作品を上映する単館にもお世話になることもある。
気に入った作品があればパンフレットを購入してじっくり眺めるし、観た映画はスマホアプリで記録をつけるし、日記に感想を書く。好きなセリフはメモする。インターネットの考察サイトを巡回したり、SNSで同じ映画を観た人の感想を覗くこともある。
でも、それだけなのだ。
「あの監督の撮り方は〇〇だ」「今作はあの脚本家は趣向を変えてきた」とか、そういうのがさっぱり分からない。
そもそも観た映画の監督や脚本家の名前まで確認していないので、どんなに好きな映画でも「その人誰でしたっけ」となってしまう。
つまり、映画好きというより、映画を観るのが好きなだけなのかもしれない。
もちろん作品への尊敬はある。
「よくこんなお話思いついたな」「この女優さんの演技がまじでやばい」「色彩が豊かできれいだな」「サウンドトラックが神ってた」とか、そんな感じ。
逆に「なんかわかりづらくて難しかった」「あの人の演技が好きじゃない」みたいなことも思う。
でもそれを、文学的にというか、深い言葉で説明することができないのだ。
「面白かった」「面白くなかった」「すごい」「やばい」という感想しか沸いてこない自分の稚拙さにあきれる。
評論家の批評や、有名人がその映画を観た一言感想(新聞広告の煽り文みたいなやつ)なんて思いつかない。
それを読んで「なるほど、私もそう思う!」くらいなのだ。
だから趣味を聞かれても、胸を張って「映画鑑賞です」とは言えずにいる。深い話ができないし、知識もないのだ。
さらに私が観るジャンルは壊滅的にてんでばらばら。
洋画、邦画、韓国映画、ボリウッド、アニメ、コメディ、ヒューマンドラマ、ファンタジー、ラブコメ、宇宙系、アクション、犯罪系、ホラー、サスペンス…。
そのときの気分で選ぶし、どれも好きなのだ。
だから「好きな映画は?」と聞かれても困ってしまう。
1度、「人生で10本選ぶなら」と真剣に考えたことがある。
絞りに絞ったのは、順不同で
「山の郵便配達」(1999、中国)
「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989、イタリアなど)
「ライフ・イズ・ビューティフル」(1997、イタリア)
「マネー・ボール」(2011、アメリカ)
「Shall we ダンス??」(1996、日本)
「鉄道員」(1999、日本)
「軍中楽園」(2014、台湾)
「命ある限り」(2012、インド)
「トップガン・マーヴェリック」(2022、アメリカ)
…あと1本は決めかねている。
ほら、もう年代もジャンルもばらばら!
好きな理由を問われても「好きだから」としか説明できない。
映画好きなんて恥ずかしくて名乗れない。
でも、映画は私の感情を揺れ動かして、時に寄り添ってくれる。
傷ついたときは癒してくれるし、励ましてくれる。
人生の教訓を教えてくれる。
だから、映画を観る行為そのものが好きだし、作品が大好きだ。
そう言ってもいいですか?
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